バイクでアフリカ大陸を南へ――。

東アフリカ・ケニアを出発し、タンザニア、マラウイ、ザンビア、ジンバブエと南下してきたアフリカ縦断の旅も、いよいよ折り返し地点に近づいてきました。
今回の舞台は、世界三大瀑布のひとつビクトリアフォールズの町から、ボツワナ、そしてナミビアへと続くカラハリ砂漠北縁のルート。象の群れと出会い、「砂漠の大雨」に見舞われる、波乱と驚きの区間。
(編集部で一部加筆修正。為替レートや現地情報などは2013年当時のもの)

著・賀曽利隆(2025.10.23)

ビクトリアフォールズ、ドルが紙くずになった町

2014年1月1日。第5番目の国、ジンバブエのビクトリアフォールズの町に昼まで滞在した。スーパーマーケットや土産物店を見て歩き、レストランで「ライス&ビーフ」を注文。昼食代は2ドル(約200円)。クシャクシャの1ドル札を2枚差し出す。ドルはアメリカドルだ。

齢90になろうかというムガベ大統領の独裁が続くジンバブエでは、経済が破綻してハイパーインフレを起こし、自国通貨が崩壊。代わりにアメリカドルが使われている。それ以前の通貨は、いまや土産物店で売られている。非常に有名な事実なので、知っている人も多いがこの国にはかつて「ビリオン(10億)」紙幣があったのだ。

1ビリオン(10億)ドル紙幣、5ビリオン(50億)ドル紙幣――0がズラリと並んだ札を笑いながら眺める観光客。その滑稽さに、破綻した国家の現実がにじむ。

現在、ジンバブエで流通しているのはアメリカドル紙幣だ。だがこれも国内では使えても、他国ではまず使えない。両替しようとしても替えてもらえない。それほどボロボロのドル紙幣なのである。信じられないような話だが、世界には、こうした“通貨が死んだままの国”もあるのだ。

→全文を読む

情報提供元 [ Route! Powered by TOURRING MAPPLE ]

この記事にいいねする


コメントを残す