
こんにちは! バイク乗りエッセイストの“コバユリ”こと小林夕里子です。バイクキャンプ歴約20年の経験を活かして、キャンプビギナーからキャンプテクニックをおさらいしたい経験者まで、ライダーの皆様にお役立ち情報をお届けするこの連載。今回は、前回に続き「荷物の積載」についてです。
「理論編」「道具編」とお届けしてきたので、今回は「実践編」! コバユリが実際に1泊キャンプに出かける場合の道具選びから荷造り、積載までの実際をお見せします。
せっかくなので、個人的に所有している大小2台のバイクそれぞれの場合について紹介したいと思います。まずは小排気量のバイク(クロスカブ110)からいってみましょう!
1「軽量コンパクト」なキャンプ道具をそろえる
小排気量車とはいえ、ホンダ・カブシリーズは大きなリアキャリアが標準装備されており、フロントキャリアを後付けすることもできるので、大きなバイクとほとんど変わらない量の荷物を積載することができます。でもだからといって、山のように荷物を積んでツーリングに出かけたなら、停めたバイクが荷物の重さに耐えきれず倒れてしまったり、坂道で充分な速度が出なかったりと、安全なツーリングの妨げになりかねません。
小排気量のバイクで快適にキャンプをするなら、それ相応の荷物にまとめることがポイント。ひとつひとつのキャンプ道具を「軽量コンパクト」の視点で厳しめに選ぶことをおすすめします。
以上のことを踏まえてコバユリが今回選んだ道具はこちら。
A:テント+キャノピーポール+保護シート B:ペグ+ハンマー C:テントの床に敷く防水シートと布
D:シュラフマット E:シュラフ F:枕 G:ヘッドライト
H:テーブル I:椅子 J:バーナー+燃料 K:コッヘル
L:カトラリー+調理道具 M:ランタン N:保冷バッグ O:焚き火台+トング
P:防寒着 Q:レインウェア R:着替え S:洗面道具など
T:救急セット U:サイドスタンドプレート V:レジャーシート+雑巾+ゴミ袋
2 荷物を「効果的に」パッキングする
今回、上に挙げた荷物をまとめるバッグがこちら。容量約60Lのダッフルバッグと、容量約52Lの振り分けバッグを組み合わせて使います。
左がツアラテックの振り分けバッグ「サイドバッグエンデュランス」
右がテンマクデザイン×ノマディカのダッフルバッグ「防水ダッフルバッグ イルジグ」
「どちらに何を入れるか」を決めるとき、私が基準にしているのは「バイクの重心をなるべく低く保つ」という積載の基本理論です。今回の積載の場合、腰より下に位置する振り分けバッグには、荷重を低くする効果もあるので、振り分けバッグにはなるべく重いものを入れるようにします。また、重くないものでもダッフルバッグに詰めるとデコボコしてしまうものや、荷締めベルトの圧で潰したくないもの、ツーリング中に取り出したくなるかもしれないものなどは、ダッフルバッグではなく振り分けバッグへ、左右の重さがなるべく変わらないように入れます。
では、まずはダッフルバッグのパッキングです。大きなものや軽いものを詰めていきます。
寝具類、椅子、着替え、洗面道具、カトラリーや調理器具などを入れました。
例えばランタンなど破損の心配があるものは、このようにシュラフなど柔らかいもので取り囲むように詰めています。
最後に、テントの床に敷く布を、上面のデコボコをならすような感じで敷き詰めます。上面がなめらかになっている方が、後でバイクに積むときバッグの形がきれいに出ます。
私はテントをバッグとは別に括り付ける派ですが、もちろんテントをバッグに入れてもOK。
それと、テーブルはバッグの底に詰めると、積載の際に土台の役割をしてくれて荷物が安定します(このバッグは底にテーブルを外付けできるつくりになっているので、バッグの中には詰めていません)
では次に、残った荷物を振り分けバッグに入れていきます。
写真上が進行方向で、右側にマフラーがきます。左には、必要になったときすぐに取り出したいもの(雨具、ヘッドランプなど)をメインに入れます。道中に買った食材を入れるための保冷バッグを左に入れたのは、右にはマフラーがあり食材が温まる心配があるから。そのほか、重いものとして焚き火台とペグ&ハンマーを左右に分けて入れました。
今回の荷物量だとバッグの中にかなり余裕がありますが、私はこのスペースに、道中に買った食材やお土産を入れたりしています。また、出発間際に何か忘れものに気づいたとしても、このスペースにポンと入れてしまえばいいので、荷をほどいてバッグを空けて、また括り直しているうちに出発がどんどん遅くなる…なんてこともなく、心の余裕にもつながっています。
3 荷物をバイクに「スッキリ」積載する
まず、荷物を左右均等に積載できるように、センタースタンドを立てます。センタースタンドが付いていないバイクの場合は、なるべく平らなところにバイクを停めて、左に傾いていることを念頭に置いてから始めましょう。
テントをフロントキャリアに括り付けます。クロスカブはヘッドライトガードがそのままキャリアとしても役立つので、荷重を前後に分散できることもあり、コバユリの場合ここがテントの定位置になっています。ただし、テントの収納サイズがこれより大きくなってくると、ハンドルを切ったときに干渉するので、走り出す前に問題がないか確認を。(テントを括り付ける順番は、バッグを積載した後でもOK!)
(所要時間:約1分半)
使用している荷締めベルトはロックストラップスの「BPストレッチストラップ」。
次に振り分けバッグを取り付けます。
走行中に車体からズレたり大きく振れたりしないよう、各所に付属のベルトを車体に絡ませて固定。
(所要時間:約1分半)
次にダッフルバッグを積載します。キャリアの左右中心にバッグを置いて、テンションコードでしっかりと括り付けます。このとき、パッキングを雑にしていると、ベルトの圧により形がいびつになり、スッキリした積載になりません。
幅のあるものを荷締めベルトで積載する場合、2本をクロスさせるより写真のように並行に使った方がより安定しますが、クロスさせて使う場合には、バッグを上から抑え込む力がクロスする地点1点のみになるので、その点が必ずバッグ上面中心にくるようにしましょう(そうでないと走行中にバッグがズレてしまいます)
(所要時間:約2分)
使用している荷締めベルトはロックストラップスの「MCストレッチストラップ」。
以上、合計5分ほどで積載完成です!
一歩下がって左右に偏りがないことを確認し、バッグを手で揺すってみて簡単にズレないことを確認したら、走り出す前に、以下のことも必ずチェックしてください。
・跨ってみる⇒荷物が乗車姿勢の妨げになっていないか(座面が狭くなりすぎているようなら荷物の積載位置を後方へ)
・取り回してみる⇒取り回り可能な重さか/左右のどちらかに重さが偏っていないか(重すぎたら荷物を削る/左右の偏りが感じられたらパッキングし直す)
問題なければ、夢のキャンプツーリングへ出発です。ご安全に!
次回は、大型バイクの場合の道具選びから荷造り、積載についてお届けします。
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