バイク乗りに多い腰痛。今回は自分でできる「腰痛対策ストレッチ」を紹介……の前に、まずは腰痛の原因となる"自らの骨盤の状態を知る"ことをレクチャーします。というわけで、気軽に身体メンテ企画第6回目は、腰痛撃退ストレッチ・前半として「自分の骨盤の状態の簡単チェック法」を紹介します。

写真・イラスト・まとめ/コイズミユウコ 講師:石塚洋之

腰痛の原因となる骨盤を知ろう!!

腰痛の大きな原因のひとつとして、骨盤バランスの崩れがあります。筋緊張(筋肉の縮み)により骨盤が前後どちらかに傾いていたり、なおかつ筋力不足や筋肉の柔軟性に問題があると腰痛になりやすいんです。

正常な骨盤の状態

適度に背骨(脊柱)がS字(生理的彎曲)を描いており、頭部や重力による力を効率よく分散できる。

骨盤の状態によるメリット・デメリット

骨盤は、自然体でいる通常時に"正常な状態である"ことが身体にとって一番です。ですが、"傾かせることによるメリット"もおおいに存在します。

ライディングやスポーツによっては、"敢えて骨盤を傾かせる"ことで優位な状態にすることができるんです。つまり、状況に応じて骨盤の状態を適切に前傾・後傾で使い分けることができれば、よりさまざまなスポーツに活かせるし、それはライディングスキルでも同じです。

まずは、前傾型と後傾型のメリット・デメリットを知っておきましょう。

骨盤が前傾型(伸展型)


脚の前面に位置する股関節の曲げやヒザ関節を伸ばす大腿直筋と、モモを上に上げる筋肉でもある腸腰筋が筋緊張することで、骨盤が前に引っ張られた状態。わかりやすい前傾型は「でっちり」。

メリット・デメリット
メリット 体幹・骨盤の可動域が広くなる/柔軟
デメリット 背骨の彎曲が強く(動的脊柱)、動きが大きい分、椎骨間の関節・椎間板ストレスが大きくなる。椎間関節腰痛・椎間板ヘルニアなどになりやすい

骨盤が後傾型(屈曲型)

脚の後面を作る筋肉・ハムストリングと、お尻にある臀筋の中でも最大の筋肉である大臀筋が筋緊張することで骨盤が後ろに引っ張られた状態。わかりやすい後傾型は「猫背」。

メリット・デメリット
メリット 身体を剛体化しやすい/腕や脚を曲げる力が強化
デメリット 背骨の彎曲が弱く(静的脊柱)、体幹・骨盤の可動域が狭い/頭部からの圧力が直に背骨にかかるため、老後に椎体の圧迫変形のリスクや四肢の関節ストレスあり

自分は前傾型or後傾型? 骨盤セルフチェック

自分が前傾型なのか、後傾型なのか気になりますよね。プロの整体師やスポーツトレーナーならば、目視または動きを見るだけで簡単にその人の骨盤の状態がわかるといいます。

ここで、そんな目を持っていない素人の我々でも簡単にタイプを把握できるセルフチェックをご紹介しましょう!

前傾チェック【壁と腰の隙間を見る!】

(1)凹凸のない壁に背中とお尻、カカトをつけて自然な状態で直立する。足の幅は肩幅くらい。(2)この時、壁と腰の隙間をチェックする。(3)壁と腰の隙間が開きすぎている(こぶしが縦、または横に入る)と前傾型と判断。逆に隙間が手のひらより狭いと後傾型よりと判断できる。(ちなみに写真の石塚先生は、前傾型) *ただ、女性の場合はお尻の出っ張りで隙間が通常よりできやすくなることもある。

後傾チェック【後傾してなければとても簡単!】


1.身体は真っすぐの状態で、手は真上(腕の重みをバランスから省くため)に、足は肩幅に開く。足裏はべったり地面につけ、カカトも浮かせない。


2.頭が前後にブレないようにその場で深く腰を落とす

後ろに倒れそうになったり、このように完全に両手を前方に突き出してしまうと、両手の重みでバランスが取れてしまうのでNG。後傾型と判断できる。*ただ、この深く沈み込むディープスクワットができない要因として、足首が固いということも考えられる。

骨盤の状態を正常にするためにできること

「自分の骨盤が前傾か後傾か?」これを知ることになんの意味があるのかな? と思う人もいるでしょう。じつは、前傾か後傾かが分かると、どういった要因で骨盤が傾いてしまっているか、傾いたことによって発生した腰痛の原因はなにか……を探ることができ、その要因をピンポイントに取り除く手段を取ることができるのです。

この探りかたや骨盤の傾き別に効き目のある解消法などは、次回の後半でお伝えします。まずは、自分の骨盤がどういう状態なのかをセルフチェックして判明させておきましょう!

<今回教えていただいた先生と施設はこちら>

石塚洋之先生
トップアスリートを相手に活躍する日本体育協会公認のアスレティックトレーナーであり、日本指圧専門学校で教鞭も取る。厚生労働大臣免許あん摩マッサージ指圧師、NSCA認定パーソナルトレーナーの資格も持つ。

 

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