
健康やライディングスキルアップに興味はあるけど、「そこまでガチでやるほど時間も意欲も持てないよー」という人たちに向けた今企画の第4回目は、寝ながらヒョイっと簡単かつ効果的にトレーニングできる体幹エクササイズをご紹介します。
第1回目で紹介した「呼吸を意識するだけ」で体幹に効く、いつでもどこでもできる呼吸法=ドローインを参照しつつ、実践してみましょう。
写真・まとめ/コイズミユウコ 講師:倉田 圭(あん摩マッサージ指圧師) 監修:浅谷健介(日本指圧専門学校)※本企画はGoRIDE第8号の「身体メンテ」企画を再構成したものになります。
目次
体幹(インナーユニット)を鍛えることはメリットの塊!
体幹=インナーユニットを鍛えることで身体の土台が大きく安定します。身体の土台が安定することで、ライディング時のフォームがブレにくくなるだけでなく、滑ったり接触などで身体がブレてしまった場合でも素早くリカバリーできるようになります。
また、腰痛の予防や改善に加え、お腹まわりに自前の天然コルセットを巻いていることになるので、日常生活向上やスタイルアップ効果も抜群です。ほかにも老後の転倒防止や尿漏れ防止にもつながるなどさまざまな効果があり、少し鍛えるだけでもメリットだらけなんです。
インナーユニットを知り、鍛えるメリットも把握しよう
腹腔を構成し、腹圧を高める役割を持つ横隔膜、多裂筋、腹横筋、骨盤底筋、この4つのインナーマッスルをインナーユニットといいます。どうような筋肉なのか&鍛えるメリットを把握することで、エクササイズに必要な「鍛える筋肉を意識」しやすくなるハズ。
日常生活だけでは簡単には鍛えられないインナーユニットですが、やっていなかったことをやるだけで、ワクワクが止まらないくらい身体の芯から変化してきますよ!!
横隔膜
呼吸するたびに伸縮し、呼吸の活動の8割を担う胸腔(胸をとりまく骨格)と腹腔の間にある膜状の筋肉。
・腹圧が上がり、お腹まわりが引き締まる
・呼吸が深くなり、血行促進効果。睡眠の質も上がる
・逆流食道炎予防になる
・自律神経のバランスが整い、鬱々とした気分が改善
多裂筋
脊柱を伸ばす伸展(後方へ反る)、側屈(横に傾ける)、回す回旋(ひねる)に関わる、腹腔の背中側を支える背骨に沿って走る筋肉
・腹圧が上がり、お腹まわりが引き締まる
・腰痛の予防&改善の効果大
・姿勢が安定する
・上半身の動作を大きくサポートしてくれる
腹横筋
腹腔の前面から側面までコルセットのようにカバーする。腹直筋などの腹筋群で一番深い位置にある。胴体の屈曲(前方に曲げる)、側屈(横に傾ける)、回旋(ひねる)に関わる。
・腰痛の予防&改善の効果大
・身体の軸がしっかりして転倒防止につながる
・美しい腰のクビレ(天然コルセット)をゲット
・鍛えることで腸が刺激され便秘改善効果
骨盤底筋
骨盤の底で骨盤内の内臓の位置を支えるハンモック状の筋肉。骨盤の内臓が下垂しないように骨盤の底でハンモック状に広がり、骨盤内の内臓の位置を持ち上げ、支える。
・腹圧が上がり、お腹まわりが引き締まる
・尿漏れの改善
・肛門や膣の締まりがよくなる
・男性の大事な部分が元気になる
インナーユニットを部位別に簡単エクササイズ
これからインナーユニット=4つのインナーマッスル(横隔膜/多裂筋/腹横筋/骨盤底筋)の簡単楽チンな体幹エクササイズを紹介します。ただ何度も言うようですが、エクササイズを行なうにあたり大切なのが、それぞれの鍛えたい筋肉の存在を”自分の中ではっきりとイメージし、明らかにする”ことです。
メジャーどころのグローバル筋(アウターマッスル)は、いわゆる腹筋運動などで鍛えられる「目に見えて動きがわかる筋肉」。でも、これからエクササイズするローカル筋(インナーマッスル)は身体の一番奥にあり、筋肉の動きが目に見えないし感じるのも難しい筋肉です。
だからこそ、意識することがとても大切!! そして体幹エクササイズを無駄なく生かすのに重要なのが、ドローイン(呼吸法)です。このドローインをしながらエクササイズするのとしないのとでは効果が5割も違うので、その凄さが伝わりやすいと思います。といっても、ドローインは「お腹を凹ませたまま呼吸をする」ということなので、難しく考える必要なナシです♪
ちゃんと知ってから実践したい人は、第1回の「意識するだけで体幹に効く呼吸法」を参考にしながらエクササイズしてみましょう。
横隔膜を鍛える
仰向けに寝て、ヒザを立てる。頭と肩甲骨で支えながらお尻を浮かせる。肩からヒザまでが一直線になるように姿勢をキープ。その状態で呼吸しながら20~30秒キープし、脱力する。これを2〜3回繰り返す。
腹横筋を鍛える
仰向けに寝て、軽くヒザを立てる。頭の後ろで両手を組み、アゴを引く。
軽く上体を丸ながら肩甲骨を浮かせる。その状態で呼吸しながら20~30秒キープし、脱力する。これを2~3回繰り返す。
多裂筋を鍛える
仰向けに寝て、ヒザを立てる。肩からヒザまでが一直線になるようにお尻を浮かす(ここまでは横隔膜と同じ)。そこから片足を上げて足まで一直線で姿勢をキープ。その状態で呼吸しながら20〜30秒キープし、脱力する。これを2~3回繰り返す。
足を上げる時に腰が落ちてしまうor足を上げすぎてしまうと、違う筋肉のトレーニングになってしまうので注意。肩から上げた足まで一直線をキープしよう。
骨盤底筋を鍛える
仰向けに寝て、ヒザを立てる。丸めたバスタオルなどを両ヒザでしっかりと挟む。肩からヒザまでが一直線になるようにお尻を浮かす。その状態で呼吸しながら20〜30秒キープし、脱力する。これを2〜3回繰り返す。
まずは3週間!! メリットから選んで試すだけでもOK
ここまで紹介してきた4つのローカル筋=インナーユニットの存在を、意識できるようになりましたか? ライダーを悩ます腰痛の予防や軽減はもちろん、ブレや衝撃などに動じない身体作りに貢献し、身体を適正な位置に導いてくれるのだから、やらない手はないですよね。
何気ない日常で少しずつやってみるだけでもいいのですが、まずは3週間試してみてください。思い出した時や気が向いた時などしかできなかったとしても、少しずつでもインナーユニット全体の強化につながり、身体の芯が強固になり内側から身体が変化していくのが感じられると思います。
また、各部位ごとに目的を決めて鍛えてみるのも楽しいかもしれません♪ 腰痛に苦しむ人は腹横筋と多裂筋にスポットを当てる、胃の不調や逆流性食道炎に悩んだり、気分が鬱々とする人は横隔膜を鍛えると効果があります。横隔膜を鍛えることで深い呼吸を得ることができ、自律神経のバランスが整い血行も促してくれるからです。
今まで体幹エクササイズをなんとなく敬遠してきた人がいたら、ぜひこれを機に始めてみることをオススメします。
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