楽しくツーリングを終えて帰宅後、首や肩が重い/腰まわりがミシミシと痛む……なんて経験をした人は多いハズ。そこで、「気軽に身体メンテ」企画の第3回目は、これまた簡単かつ効果的に疲労を和らげるストレッチを2つご紹介します。第2回目で紹介したストレッチのコツも参照にしつつ、実践してみましょう。

写真・まとめ/コイズミユウコ 講師:倉田 圭(あん摩マッサージ指圧師) 監修:浅谷健介(日本指圧専門学校)
※本企画はGoRIDE第13号の「身体メンテ」企画を再構成したものになります。

ツーリングで大きく疲労する筋肉は、実は日常生活にも大きく関わる!!

今回紹介する帰宅後にストレッチしておきたい部位は、大胸筋大臀筋(だいでんきん)。胸の筋肉とお尻の筋肉です。どちらも「大」とつくように大きな筋肉なので、この筋肉が硬くなってしまうとさまざまな部分に影響が出てしまいます。また、日常生活にも大きく関わり、何気ない生活習慣でも凝り固まってしまいやすい部位でもあります。

そこで、ストレッチをする前に、まずは大胸筋と大臀筋の大切さをなんとなくでも知っておきましょう。「ストレッチする筋肉を意識する」ことはストレッチで非常に重要。まずは、この2つの筋肉の特徴からご紹介します。

大胸筋

大胸筋は、肩関節をさまざまな方向に動かす筋肉です。腕の動きに深く関与する部位(胸骨・鎖骨・肩甲骨・上腕骨)に影響の大きい筋肉で、上部(鎖骨部線維)、中部(胸肋部線維)、下部(腹部線維)の3つのパーツに分かれています。

また、大胸筋は補助吸気筋としての役割もあり、通常時の呼吸が困難なくらい息が上がっている時(肩で息をしている時)に、息を吸うのを補助してくれます。

大胸筋が硬くなるとどうなるか?

大胸筋が硬くなってしまう原因として、ツーリングでの長距離での姿勢維持や、日常生活ならPC作業やスマートフォンの長時間使用などが挙げられます。つまり、「長時間前かがみになること」で、硬くなりやすい筋肉なのです。

このように大胸筋が硬くなると、肩まわりや腕の動きが悪くなり、胸を張ったり背中を伸ばす動作がしにくくなった結果、肩こりや首の痛みにつながってしまいます。この大胸筋が凝り固まった状態が続くと、姿勢がどんどん悪くなったり巻き肩になってしまうことも。

お尻の筋肉(大臀筋など)

大臀筋は、上半身を支え下半身との動きをつなぐ歩行に欠かせない筋肉です。足をついた時や踏み込む時に下半身を安定させ、歩行時や階段の上り降りなど足を後ろに蹴り出す時などに作用します。

お尻の筋肉が硬くなるとどうなるか?

お尻の筋肉が硬くなってしまう原因として、長時間の座りっぱなしや立ちっぱなしなど、股関節が動かされない時間が長い、姿勢の悪さや運動不足などが挙げられます。

大臀筋が凝り固まってしまうと骨盤が後ろに引っ張られて傾き、腰に大きな負担がかかる姿勢になり、腰痛の原因にもなります。また、股関節の可動域が狭くなり、バランスや身体パフォーマンスの低下も。

1日の最後にほぐしたい!! 簡単ストレッチ2選

ストレッチをするにあたって大切なことは、「伸ばす筋肉を意識する/呼吸を止めない/最低でも15秒はキープ/反動をつけない」の4点です。大胸筋ストレッチで腕の高さが分からない時は自分の身体に聞いてみましょう。「ああ、今ここが伸びているな」と違いが分かった瞬間、そこが正解!! 強さは「イタ気持ちいいくらい」がベストです。

お尻の筋肉(大臀筋など):シートによる尻痛や腰まわりに効く

お尻の筋肉をほぐすことで尻痛はだいぶ和らきます。また、お尻の筋肉が柔らかいと、腰まわりの筋や骨を変に引っ張られることもなく、腰にかかる負担が大きく軽減されます。


仰向けになり、伸ばす側のヒザを内側に折り、同じ側(伸ばす側)の手でヒザをロック(固定)する。反対の手で足首をつかむ。


この時、ヒザの位置は身体の中心より内側まで入るようにする。その位置でヒザを押さえ(ロック)、足首をジワッと上に寄せる。伸ばす筋肉を意識しながら呼吸を止めずに15秒〜20秒キープ

大胸筋:肩まわりの可動域UP&胸が開く効果

大胸筋の上部・中部・下部とそれぞれパーツごとに伸ばすことで、細かく刺激を与えられます。肩こりや首こりに効くほか、前側に縮こまってしまった胸を大きく開くことで猫背も解消できます。


上部(鎖骨部線維)のストレッチ。視線を前に向けてまっすぐに立った状態から、ヒジを曲げずに伸ばしたい側の手を壁につける。上部に効かせたい時は少し高めに。壁側の足を一歩前に出し、胸を張る。呼吸を止めずに15〜20秒キープ

中部(胸肋部線維)のストレッチ。視線を前に向けてまっすぐに立った状態から、ヒジを曲げずに伸ばしたい側の手を壁につける。中部に効かせたい時は肩くらいの高さに。壁側の足を一歩前に出し、胸を張る。呼吸を止めずに15〜20秒キープ

下部(腹部線維)のストレッチ。視線を前に向けてまっすぐに立った状態から、ヒジを曲げずに伸ばしたい側の手を壁につける。下部に効かせたい時はやや低めに。壁側の足を一歩前に出し、胸を張る。呼吸を止めずに15〜20秒キープ

自分の身体の部品を長く大切に駆動させるためにも!!

大胸筋も大臀筋も、スポーツをする人や鍛えている人以外は、日常生活ではほぼ意識をすることのない筋肉ですよね。意識しないということは、気付かぬうちに硬くなってしまっていたり、使わずに筋肉が落ちてしまっていたり、そこから各部に歪みが生じている可能性も高いです。

でも、どちらも長く身体を使っていくのに大事な筋肉のひとつです。故障したら替えのきくマシンとは違い、我々は同じ部品を何十年も大事に使っていかねばなりません。

大きい筋肉は、まわりの骨や筋肉との関係や及ぼす影響も大きくなります。毎日、簡単ストレッチで1日の疲れや歪みを修正するだけで、普段あまり動かない人でも日々の疲労やだるさが減り、バランスのいい身体を適正に保てること間違いなしです!!

 

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