【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

前回:賀曽利隆の「1万円旅」(東京~鹿児島往復編)1998年

「東京~鹿児島」の往復はじつに面白い。距離の長さが魅力だし、いろいろなルートが考えられるし、「東京~鹿児島」を往復すれば「西日本一周」になる。

ということでカソリ、2015年9月17日から9月24日までの「東京~鹿児島往復」では、Vストローム1000で3963キロを走った。
2017年4月20日から4月30日までの「東京~鹿児島往復」では、発売直後のジクサー150で4907キロを走った。
2018年9月12日から9月22日までの「東京~鹿児島往復」では、日本一周マシンのVストローム250で5007キロを走った。
(これらは「ウエビックバイクニュース」の「賀曽利コラム」で掲載していますので、50㏄カブの「1万円旅」での「東京~鹿児島往復」と合わせてお読みください)

【関連コラム】
V-STROM(ストローム)1000で行く日本(1)2015年
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「ジクサーで行く 九州一周5,000キロ」(2)2017年
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賀曽利隆の国道1号から10号を走り繋ぐ「12345678910ツーリング」第1回目123編 2018年
「1万円旅」(東京~鹿児島往復編)1998年

そのほかにもDR250SHでの林道経由の「東京~鹿児島往復」や、DR-Z400S、V-Maxでの高速一気走りの「東京~鹿児島往復」もある。

昨年は「日本16端紀行」の「東日本編」(10月4日~10月11日)を終えたあと、Vストローム250で「東京~鹿児島往復」(10月21日~10月31日)4369キロを走った。この2019年版の「東京~鹿児島往復」を前後編の2回に分けてお伝えしよう。

鹿児島での講演に「バイクで行きます」

2019年版の「東京~鹿児島往復」は1通のメールから始まった。それは鹿児島県の「指宿青年会議所」からの講演依頼で、10月23日の19時からというものだった。

「バイクで行きます」
と伝えると、担当の方は相当、驚いていた。

▲東京・日本橋を出発。目指せ、鹿児島!

ということで、10月21日9時45分、日本橋を出発。相棒のVストローム250に「さー、行くぞ!」と一声かけて走り出す。首都高から東名に入り、我が家のすぐ近くの中井PAで昼食。「かき揚げそば」を食べた。

▲東名の中井PAで「かき揚げそば」を食べる

11時30分、中井PAを出発。ここからは高速道の一気走りで下関を目指す。
14時30分、新東名の岡崎SAで給油。
16時10分、新名神の土山SAでコーヒータイム。このころからすさまじい天気になった。台風20号の影響で大雨、大風の中を行く。
18時30分、山陽道の三木SAで夕食。「カレーライス」を食べ、そのあとで給油。21時00分、山陽道の福山SAでコーヒータイム。この頃になってやっと雨は上がった。
24時40分、中国道の下関ICに到着。日本橋から1033キロ。今晩の宿、下関駅東口の「東横イン」に到着したのは1時だった。

▲山陽道の三木SAで「カレーライス」を食べる

▲中国道の下関ICに到着

10月22日。「東横イン」の朝食を食べ、7時に出発。向かうのは本州最西端の毘沙ノ鼻。「日本16端紀行」の時は日が暮れてからの到着だったので、そのリベンジだ。 下関駅前から日本海沿いの国道191号を行き、20キロほど行った「吉母入口」の交差点を左折。吉母漁港に寄って毘沙ノ鼻に到達。駐車場にVストローム250を止め、岬の突端まで歩いていく。そこにはミニ灯台のモニュメント。岬の展望台からは蓋井島が見える。

▲早朝の下関駅前通り

▲毘沙ノ鼻近くの吉母漁港に寄っていく

▲本州最西端の毘沙ノ鼻にやってきた!

▲毘沙ノ鼻の展望台

毘沙ノ鼻からの眺めをしっかりと目に焼き付けたところで来た道を引き返し、下関ICから高速道に入った。関門橋を渡って九州に入ると、九州道を行く。久留米を過ぎた広川ICで九州道を降りると、そこからは国道3号を南下。八女を通り、小栗峠を越えて熊本県に入った。

▲中国道の壇之浦PAから見る関門橋

▲国道3号の小栗峠を越えて熊本県に入る

道の駅「植木」では名物の「いきなりだんご」を食べた。この名前が、なんともおもしろいではないか。サツマイモを輪切りにして生のまま、いきなり、団子の皮で包み込んで蒸したものなので、その名前があるらしい。バイクを停めて、ちょっと一休みの軽食には最適だ。

▲国道3号の道の駅「植木」で食べた「いきなりだんご」

熊本、八代、水俣を通って鹿児島県に入った。ここまで来ると、「いやー、遠くまできたものだ!」という実感がする。道の駅「阿久根」では、「ラムネアイス」を食べながら東シナ海に落ちていく夕日を眺めた。

▲国道3号で鹿児島県に入る

▲東シナ海に落ちていく夕日

▲「ラムネアイス」を食べながら海に落ちる夕日を見る

鹿児島到着は18時15分。東京から1451キロを走っての到着。鹿児島中央駅東口の「東横イン」に泊まった。シャワーを浴びてさっぱりしたところで鹿児島の繁華街、天文館を歩き、ラーメン店で「薩摩ラーメン」を食べた。

▲鹿児島に到着。今晩の宿は鹿児島中央駅東口の「東横イン」

▲鹿児島の繁華街、天文館のラーメン店で「薩摩ラーメン」を食べる

10月23日。夜明けとともに「東横イン」を出発。鹿児島中央駅の駅前を走りだす。まずは照国神社を参拝。照国神社前の交差点が国道3号の終点。国道10号もここが終点になる。交差点の角には九州の2大幹線の終点碑が建っている。さらにここは薩摩半島縦貫の国道225号の終点にもなっている。

▲早朝の鹿児島中央駅前を出発

▲鹿児島の照国神社前の交差点が国道3号の終点

鹿児島からは国道225号→国道226号で指宿へ。鹿児島湾を見ながら走る。指宿に到着すると、JR指宿枕崎線の指宿駅前でVストローム250を止めた。

日本橋から1501キロ。さー、ここからは「指宿探訪」の開始だ。

▲指宿に到着。さー、「指宿探訪」の開始だ!

まずは山川港に行き、対岸の大隅半島の根占港に行く「フェリーなんきゅう」を見る。 つづいて薩摩半島最南端の長崎鼻へ。その途中では日本最南端駅の西大山駅に立ち寄る。中国人観光客の団体を乗せた観光バスが来ていた。ホーム越しに開聞岳(924m)を見る。薩摩富士とも呼ばれる開聞岳は、日本の郷土富士の中でも間違いなくベスト10に入る美しい山容だ。

▲日本最南端駅の西大山駅から見る開聞岳

▲薩摩半島最南端の長崎鼻の灯台

長崎鼻では「龍宮伝説」の残る龍宮神社を参拝し、岬突端の灯台まで歩いていく。ここから見る海越しの開聞岳も美しい。

長崎鼻から国道226号に戻ると枕崎方向へ。開聞岳に向かって走る。開聞岳の山麓にある薩摩の一宮の枚聞神社を参拝。境内には樹齢1000年を超える大楠。枚聞神社の「枚聞」は「ひらきき」と読む。開聞岳の「開聞」も今では「かいもん」だが、かつては「ひらきき」といわれていた。枚聞神社のご神体は開聞岳だ。さすが南国、晩秋になろうかというのに境内には、ブーゲンビリアの花が咲いていた。
国道226号で指宿市と南九州市の境まで行き、そこで折り返す。

薩摩の一宮、枚聞神社を参拝する

体長2メートルの大ウナギが生息するという池田湖を見て、鰻池へ。
湖畔の鰻温泉の共同浴場に入る。ここではうれしい出会いがあった。先客が一人いて、その人に「カソリさ~ん!」と声をかけられた。鹿児島のバイクショップ「バイクフォーラム」の方だった。「温泉めぐりの日本一周」(2006年~2007年)ではバンディット1250Sで九州を一周したのだが、リアのタイヤがすり減り、あわやバーストという危機に見舞われた。そのとき、鹿児島の「バイクフォーラム」に助けられたのだ。

鰻温泉の共同浴場はいい湯だ。薄緑色をした半透明の熱い湯で硫黄泉。加温ナシ、循環ナシ、入浴剤ナシ、消毒ナシの最上の湯に200円で入れる。
鰻温泉から国道226号に出ると、JR指宿枕崎駅の山川駅前でVストローム250を止める。この山川駅は有人駅としては日本最南の駅。駅前の「くり屋」で昼食。「かつおのたたき定食」(1000円)を食べた。山川といえばカツオ。山川は「かつお節」の本場だ。ということでもう一品、「かつおのハラ皮」(600円)を食べた。ともに山川を感じさせる味だった。

▲鰻温泉の共同浴場に入る

▲有人駅では日本最南端駅の山川駅

▲山川駅前の「くり屋」で「かつおのたたき定食」を食べる

指宿に戻ると温泉をめぐる。
まずは共同浴場「元湯温泉」(入浴料300円)の湯に入る。熱めの湯と温めの湯、2つの湯船。ほぼ無色透明で塩分を含んでいる。つづいて「砂むし会館 砂楽」(入浴料1100円)の砂むし温泉に入る。全身に熱い砂をかけられ、その中で過ごす短い時間は至福の時だ。

▲指宿温泉の共同浴場「元湯温泉」に入る

▲「砂むし会館 砂楽」の「砂むし温泉」に入る

指宿の名物温泉を堪能したところで、今晩の宿、「指宿コーラルビーチホテル」へ。宿の大浴場の湯にどっぷりつかった。

今晩の宿、「指宿コーラルビーチホテル」に到着

▲「指宿コーラルビーチホテル」の大浴場

18時、迎えの方が車でやってきた。講演会の会場の「指宿ふれあいプラザ なのはな館」へ。指宿青年会議所の例会が終わると、カソリの講演会の始まりだ。題目は「ロマンあふれるバイク旅」。冒頭で東京から指宿までの1500キロをバイクで走ってきましたと話すと、みなさんからは驚きの声とともに拍手がわき上がった。
そのあとは今日一日、指宿市内をおもしろく走った話をすると、「うんうん、そうだよな」といった顔でうなずいてくれる方が多かった。指宿を知り尽くしているみなさんに指宿の話をしたのである。1時間半の講演会が終わると、市内の「旬彩」という店で懇親会。薩摩焼酎を酌み交わしながら、指宿を背負う若きみなさん方とおおいに語り合った。

▲ここがカソリの講演会の会場。テーマは「ロマンあふれるバイク旅」

10月24日、「指宿コーラルビーチホテル」の朝湯に入り、朝食を食べ、8時30分に出発。

▲指宿の夜明け

▲「指宿コーラルビーチホテル」の朝食を食べる

▲「指宿コーラルビーチホテル」を出発

「コスモス幼稚園」の園内にVストローム250で乗り込んでいく。体育館には園児のみなさんが集まってぼくを待ち構えていた。園長の池永大地さんは指宿青年会議所の会長で、幼稚園での講演会を頼まれたのだ。

カソリ、幼稚園での講演は初めての経験。バイクで世界を駆けまわるおもしろさを幼稚園児に語りかけたが、池永さんが大喜びしてくれるほど好評だったようだ。
「コスモス幼稚園」を出発する際には、幼稚園児のみなさん一人一人とハイタッチして走り出すのだった。

指宿から鹿児島までは指宿スカイラインを行く。その途中で知覧に寄っていく。知覧は「薩摩の小京都」といわれるほどの城下町。きれいな石垣と生垣が目に残る武家屋敷を見てまわった。それもうひとつ、知覧といえば神風特攻隊の出撃基地。「知覧特攻平和会館」を見学し、若くして命を落とした特攻隊員たちを偲ぶのだった。

▲知覧にやってきた。ここは知覧の武家屋敷

▲「知覧特攻平和会館」に展示されている「零戦」の残骸

▲「知覧特攻平和会館」前の特攻勇士の像

▲指宿スカイラインを行く

12時30分、鹿児島に戻ってきた。鹿児島中央駅前でVストローム250を止めたが、「鹿児島→鹿児島」の「薩摩半島周遊」は209キロ。これで日本橋からの距離は1660キロになった。ここからは「東京~鹿児島往復」の復路編の開始だ。

▲鹿児島中央駅前に戻ってきた

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