いよいよ10月2日からMotoGP・日本グランプリ。先日、友人の付き添いで筑波サーキットのスポーツ走行に行っていたところピットで、なんだか見慣れた顔を発見。あれは……中上貴晶選手??

●写真と文:中村浩史

遊びに行った筑波で中上貴晶発見!

私・フリーライターの中村浩史が、筑波ロードレース選手権に出場する友人Nの付き添いで筑波サーキットへ行った時のお話です。9月12日に開催される、筑波ロードレース選手権を前に、練習走行とセッティング出しに行くというので、ついでに「たまには写真でも撮ってよ」とお願いされてノコノコと同行したのです。

平日とはいえ、筑波の二輪スポーツ走行は人気が高く、朝5~6時にはピットが埋まってしまいます。そのため友人はひと足先に筑波入り。ヤジ馬の私は8時前ごろに合流したのです。

合流した早々、Nが興奮気味に言ってきます。

「26番ピット行って来てみ? スゴいひといるぜ」と。

ナンダナンダと26番ピットを訪ねてみると、黒×グレーのカッコいいCBR600RRが一台。56レーシングのメカニックAさんが走行前整備をしています。その隣に、私服姿のライダーが。あれ……?タカ?

最小限のスタッフで練習に来ていたタカ。旧知の56レーシングのAさんにお手伝いをお願いしていました。

 

「あれ、中村さん、どーしたんですか?」と驚いてくれたのは、現HRC開発ライダーの中上貴晶選手。選手というのは、この10月に行なわれるMotoGP・日本グランプリにワイルドカード参戦するからですね。

実は中上選手、私の顔くらいは知ってくれていて、そういえば初めて彼を取材したのも、ここ筑波サーキットでした。あれは彼が全日本選手権に参戦を始める前、スゴい中学生がいる! って取材に来た2004年くらいだったかな。もう20年以上前、彼が中学生、12~13歳のころの時から知り合いではあるんです。

1992年生まれの、5歳からポケバイを始めたタカももう34歳! しっかりオトナになりました。

 

――タカどしたの?今日走るの?

「はい。海外のMotoGPテスト終わって、次のテストまで時間が空いたから、練習しようと思って」

――あれれ、そうなのか。んじゃあとで少しお話聞かせて、写真撮ってもいい?

「え、写真撮ってくれるの? ありがとーございます! お話、いいですよー」

ロードレースデビュー前から筑波を走り込んでいるタカ(この後はもうこうやって書きますね)ですが、今回はほとんど5年前くらいに少し走ったっきり。MotoGPライダーなのに筑波のライセンスも期限切れだった(当たり前か)ため、筑波職員の方が手配してくれての走行なのだそうです。

ST600仕様っぽいCBR600RRで走行したタカは、CBRが降ろしたてらしく、仕様の設定からスタートしていました。1本目を走り終わったあとピットに出向くと

「このCBRは、なにかの撮影で使っただけで、スポーツ走行の設定もしてなくて。シフターが使えないし、シフトダウンで急にエンブレが来ることがあって……。サスもなにもイジっていないし、1本目は体ならしで終わっちゃいました」

2本目の走行でも、まだシフターは効いたり効かなかったり、エンブレも来たり来なかったり、オートブリッピングもあったりなかったりで、まるできちんとは走れていなさそうでしたが、本人いたって楽しそう。いやー、まいっちゃいましたよ、なんて猛暑の筑波を走り終えて、ニコニコ顔でした。

マシンはCBR600RR、ST600仕様。レース設定も不十分、サスペンションもノーマルのままの走行でした。

最後のMotoGPワイルドカードへ

ミサノやムジェロでのMotoGPテスト終えて帰国したタカ。今シーズンはHRCの開発ライダーとして、2027年シーズンから走る、注目の850cc新MotoGPマシンを仕上げている最中です。8月のメーカー合同のムジェロテストでは、ホンダの新850ccマシンでトップタイムをマークしてニュースになりましたね。850ccのことも……聞いちゃおう(笑)。

――久しぶりに筑波走ってみて、どーお?

「いやー、楽しかったです。筑波を走るの、4~5年ぶりかな、その時も撮影かなんかで走っただけだから、ちゃんと走ったのはGPに行く前だから、2010年とか2011年じゃないかなぁ」

「久しぶりに筑波を走れてチョー楽しかったです。また時間が空いたら練習に来たいです」(中上)

 

――なんでまた今回、練習?

「久しぶりにテストがない期間だったんで、体のコンディション作って準備しとこうって。うまく時間ができたので来たんですけど、マシンが降ろしたてで準備不足でした(笑)」

――それでシフター設定してなかったんだ(笑)

「そーなんですよ(笑)。きょう帰ったら早速ちゃんと準備しなきゃ」

おろしたて、未セッティングのマシンでこの走り。さすがMotoGPライダー!

 

――もてぎの日本GPの練習の意味もあったの?

「そうですね、やっぱりいつもマシンに乗ってないと不安っていうか、落ち着かない」

――今年のもてぎワイルドカードは1000ccでしょ? ここんとこずっと850ccに乗ってるから、そういう意味で乗り換えの大変さはないの?

「850ccのこと聞きたいんでしょ(笑)」

――あ、バレた?(笑) 話せないことは話さなくていいよ。

「大丈夫ですよ。新しい850ccはね、乗っててチョー楽しいの」

――え?どーゆーこと?

「排気量が小さくなって、さすがにストレートでは1000ccに適わないけど、コーナリングスピード高いんですよ。コースによっては1000ccといい勝負できるんじゃないかなぁ」

――エアロもずいぶんなくなるんだよね。

「そうですね、今のエアロよりウィングとかの大きさが小さくなるんですけど、でもエアロの効果は引き続き使っていきたい方向で開発してます」

――もう、最近はマシンはフロントだろうがロアだろうがテールだろうが、あちこちフィンついてるもんね。

「そうですよね、でもそれがすごい効果があって、フロントのウィングレットだけじゃなくて、全体でマシンを押しつけようって。それ以上に、今はウィングをいかにコーナリングに使うか、とか、そこまで進んでるんです。チームに空力専門のエンジニアさんがいるくらいですからね」

――あとはタイヤも変わるんだよね、タカはGP行ったとき2ストのGP125からで、そのあとMoto2、MotoGPでしょ? タイヤもダンロップもブリヂストンもミシュランも知ってる、貴重なテストライダーだよね。

「あ、そう言われてみればそうかも! ピレリも、この段階でぜんぜん普通に走れてて、問題なく進められてます。ピレリも2027年用のレース仕様を決めてる段階だと思います」

――日本GPはどんなマシンで走るの? 2026年型というか、2027年型のプロトタイプとか?

「僕もまだ知らされてません。ただワイルドカードっていうのは、次の仕様のスペックをテストする意味合いもありますから、2027年型仕様を入れ込むというか、なにかしら実戦テストしたいものが入ってるかもしれないですね」

――実戦は去年の日本GP以来だから1年ぶりだね。

「レースに出られる、しかもそれが日本ってことでチョー楽しみです! 来年はワイルドカード参戦ってルール自体がなくなっちゃうから、日本のみなさんの前でGPを走るのはこれが最後になるのかもしれないですね。それ寂しいなぁ。テストって意味でも850ccマシンの初年度なんだから、たくさん出られたらいいのにね」

セットが決まっていないマシンで、体ナラシにしかならなかったけれど、実に楽しそうに筑波を走っていたタカ。相変わらずきれいなラインでまるで攻めていないんだけれど、そのタイムは軽~く0分58秒台。一緒に走っていたスポーツ走行に来ていたライダーたちは、タカ走行後には、

「えっ?ナカガミくん?本物?」ってザワついていました。

日本GPでのタカの活躍、期待したいです!

軽〜く走らせて58秒台! ちなみに筑波のST600コースレコードは57秒764。タイヤなどが異なるとはいえ、さすが!

 

急きょスポーツ走行にあらわれたゼッケン30番が筑波サーキットをザワつかせました。

 

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