最後のオートポリスは、勝利で終わらなかった。だが、そこには勝敗だけでは語れない、特別な時間が流れていた。今季限りでの引退を発表した中須賀克行にとって、北九州出身の自身を育んだ九州での戦いは、最後のオートポリスとなる。2レースとも2位。表彰台の頂点には届かなかった。それでも、最後まで勝利を諦めず、ライバルと激しく、そして美しく戦い抜く姿に、ファンは胸を熱くした。そしてレース後、父の姿を見つめていた次男・遥翔君の頬には、大粒の涙があふれていた。父は走り、息子は泣いた──。その光景が物語っていたのは、勝利数やタイトルだけでは測れない、中須賀克行が長年の戦いの中で残してきたものだった。
■文:佐藤洋美 ■写真:赤松 孝■写真提供:YAHAMA
最後のオートポリス、父は走り、息子は泣いた。中須賀克行の残したもの
2026年全日本ロードレース選手権(JRR)の開幕前、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの#1中須賀克行(YZF-R1)は、「今季限りでの引退」を発表した。ヤマハには45歳定年説があり、今年、中須賀は45歳を迎える。この事実は数年前からささやかれていた。だが、中須賀の速さに陰りはなく、タイトルを獲得し続けていた。だから、その事実をあまり真剣に受け止めていなかったように思う。だが、それが現実のものだった。
中須賀は「本当は何も言わずに、いつものシーズンとして懸命に挑み、そのまま終わりを迎えたかった。でも、『教えてくれたら応援に行ったのに』と思ってくれるファンもいるかもしれない」と、引退を公表した理由を語った。こうして中須賀は、最後の戦いという注目と重圧を背負うことになった。
開幕前のテストZEROでは、4回の走行のうち3回で中須賀がトップタイムを記録。残る1回は、SDG DUCATI Team KAGAYAMAの#88水野 涼(Panigale V4R)がトップに立った。DUNLOP Racing Team with YAHAGIの#45長島哲太(CBR1000RR-R SP)、Astemo Pro Honda SI Racingの#4野左根航汰(CBR1000RR-R)らも戦闘力を高めていた。
開幕戦もてぎは、中須賀にとって接触転倒という結果に終わり、勝利を挙げたのは水野だった。第2戦SUGOでは水野がダブルウインを飾り、中須賀はいずれも2位となる。
情報提供元 [ WEB Mr.Bike ]
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