
6月4日から6日にかけてベルギーのスパ・フランコルシャンで開催された2026年FIM世界耐久選手権(EWC)第2戦スパ8時間耐久ロードレースは、BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMがポール・トゥ・ウインを達成した。2位はYART Yamaha Official EWC Team、3位はKawasaki Webike Trickstarが続き、BMWにとっては2022年以来となるスパ制覇となった。
今大会はレースウイークを通して“スパウェザー”に大きく翻弄された。フリー走行から予選、決勝までコンディションが目まぐるしく入れ替わる状況が続き、安定したドライで走行できたのは一部セッションのみだった。天気予報すらあてにならない不安定なコンディションのなか、各チームにはリアルタイムの雨雲レーダーを基にしたピットの判断力が、ライダーにはスパ特有の刻々と変化する路面状況に対応する経験値が問われる8時間となった。
開幕戦ル・マンを制したYART Yamaha Official EWC Teamはランキング首位としてスパに臨み、ヨシムラSERT Motul、KWT、BMW、ホンダ勢が追う構図で第2戦を迎えた。
混乱の中で始まる予選アタック。BMWが速さを証明
Formula EWCクラスの予選は1回目が曇天、2回目は雨に見舞われるコンディションとなり、ほとんどのチームがタイムを更新できないままセッションを終えた。
それでもBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMがトップタイムを記録し、ポールポジションを獲得した。BMWの平均タイムは2分18秒703と唯一2分18秒台に入る速さを見せ、2番手のYART Yamaha Official EWC Team、3番手のF.C.C. TSR Honda Franceはいずれも2分19秒台にとどまった。さらに4番手以降も同じ2分19秒台に複数台が並び、2分20秒台へと続く中で、コンディションの影響を受けながらもタイム差が広がる結果となった。
前日の走行は断続的な雨により各チームがアタックをまとめ切れない難しいコンディションとなったが、その中でBMWは全ライダーが安定したアベレージを記録し、路面変化にも高い対応力を見せた。対するYART Yamahaも同様に安定した走りを披露し、決勝に向けて優勝候補の一角として臨む形となった。
一方Superstock(SST)クラスではTRT27 AZ motoがクラスポールを獲得した。2番手にRevo-M2、3番手にChampion-Hert Powered by MRPが続いた。BMW勢は上位争いに絡むことができず、ヨーロッパ勢を中心とした構図となった。
激動の8時間レース。転倒・雨・戦略が交錯した決勝
決勝レースは現地時間13時にスタート。ホールショットを奪ったのはヨシムラSERT Motulだったが、序盤はBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMが主導権を握り、1時間経過時点ではBMWが首位に立った。F.C.C. TSR Honda France、YART Yamaha Official EWC Team、Kawasaki Webike Trickstarが続く展開となった。
レース中は約3回にわたり天候が急変し、雨とドライが繰り返されるスパ特有の難コンディションとなった。各チームは短時間でウエットとスリックを切り替える判断を迫られ、戦略とピットワークがレースの行方を大きく左右した。
序盤からアクシデントも相次ぎ、ヨシムラSERT Motul、Team Etoile、AutoRace Ube Racing Teamと日本チームが転倒。AutoRace Ubeは2度の転倒を喫しながらも完走し、総合25位でチェッカーを受けた。
さらに残り4時間50分にはDafy-Kaedear-RAC41-Hondaの石塚健が転倒。またKawasaki Webike Trickstarも転倒を喫したが、迅速な修復作業により戦列へ復帰。表彰台争いへ踏みとどまった。
優勝争いではF.C.C. TSR Honda Franceが一時トップ争いに加わる速さを見せていたが、残り約3時間で技術的トラブルによりリタイア。昨年のスパ勝者が姿を消し、戦況は大きく動いた。
その後はBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMが安定したペースと戦略でレースを支配した。64周目以降は実質的にレースの主導権を完全に握り、ピット回数の少なさと安定したラップで着実にリードを拡大。変化するコンディションの中でもミスの少ない走行を続け、192周を走破して優勝を果たした。YART Yamaha Official EWC Teamに対して1分16秒差をつけ、2022年以来となるスパ制覇を達成した。
YARTは序盤に一時10位付近まで順位を落とす苦しい展開となったが、すぐに挽回しトップ争いへ復帰。激しく変化する天候の中でピット判断が難しい場面もあり、短時間で複数回のピットを強いられる場面もあり、ロスが発生した。それでも最後まで粘り強く走り切り、2位でフィニッシュした。
3位にはKawasaki Webike Trickstarが入り、転倒からの復帰を含む粘り強い走りで表彰台を獲得した。4位にはヨシムラSERT Motulが入り、序盤の転倒から驚異的な追い上げを見せたが表彰台には届かなかった。
SSTクラスはRevo-M2が優勝。2位はWojcik Racing Team #77 SST、3位はTEAM 18 POMPIERS IGOL CMS MOTOSTOREとなった。日本勢のTeam Etoileはクラス4位で表彰台にあと一歩届かなかった。
一方でChampion-Hert Powered by MRP、NATIONAL MOTOS HONDA FMAはリタイアとなり、Honda No Limitsは最終周回でのトラブルにより未完走扱いとなった。今大会は44台がスタートし、40台が完走。完走率は約91%となり、スパウェザーに翻弄されながらも多くのチームが生き残るサバイバルレースとなった。
ランキング争いの主導権と次戦鈴鹿へ
観客は悪天候にもかかわらず1万1000人以上が来場し、EWCの人気と定着を裏付ける大会となった。
なお、この結果によりシリーズランキングはYART Yamaha Official EWC Teamが91ポイントで首位を維持し、ヨシムラSERT Motul(69ポイント)、BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM(68ポイント)が僅差で追う展開となっている。
EWCは次戦、7月に日本で開催される鈴鹿8時間耐久ロードレースへと舞台を移す。今年は例年より約1カ月早い開催となるため、気温や路面温度の変化が大きく、タイヤマネジメントとセットアップ対応力が例年以上に問われる一戦となる。
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