鈴鹿ハチタイを前に、ここまで2戦を終えた世界耐久選手権。初戦はYARTヤマハ、2戦目をBMWモトラッドが制し開幕戦2位のヨシムラSERT、ホンダのトップチームTSRとともに世界耐久選手権チャンピオンの有力候補とみられているがこの2戦で連続して3位表彰台に登壇したチームがあります。それがKWT。Webikeがサポートするカワサキのトップチームなのです。
名門SRCカワサキの後を継ぐカワサキのトップチーム!
世界耐久の本場といえば、ル・マンとボルドールという二大24時間耐久レースを開催するフランス。いきおい、その本場に本拠地を置くビッグチームが多いのですが、ハチタイの初期、1970年代から80年代初めにかけて、その勇名をとどろかせた“無敵艦隊”と呼ばれたホンダフランス、グランプリにも参戦していたシデムカワサキ(=カワサキフランス)、現在はワールドスーパーバイクに参戦しているGMT94、そしてSERTのチーム名で知られる、現在ヨシムラとチーム運営をしているスズキエンデュランスも、みんなフランスが本拠地です。
そのひとつに2022年まで、カワサキのトップチームだったSRCカワサキがあります。SRCカワサキは、世界耐久で7回のワールドチャンピオンとなった名門で、2010~13年にル・マン24時間を4連覇、2011~14年にボルドール24時間を4連覇と、24時間耐久にめっぽう強かったチームです。日本でも1988年のハチタイでteamロバーツ、ヨシムラスズキに続いて、P・E・サミン/アドリアン・モリラスが3位表彰台に立ったこともあります。
そのSRCカワサキは、22年いっぱいで名物監督ジル・スタフラーさんが勇退を発表。そのカワサキトップチーム運営を23年から引き継いだのが、鶴田竜二さん率いる日本のトリックスターレーシングでした。トリックスターは20年からSRCを技術支援し、チームを共同運営。そのチームを弊社がサポートしてカワサキ・Webike・トリックスター、頭文字をとってKWTと呼ばれているのです。
「22年のハチタイ終わりにジル監督の引退の意思を聞いて、カワサキの世界耐久トップチームがなくなってしまう、トリックスターと共同運営してきたチームはどうなってしまうんだ、と思っていたら、ジル監督からチーム引継ぎを打診されたんです。トリックスターレーシングとして、2013年にル・マン24時間に挑戦して10年が経って、次の段階に入るきっかけになりました」と、チーム運営を引き継いだ時に語ってくれた鶴田さん。26年シーズンはKWTとなって4年目のシーズンを迎えています。
そのKWTは、23年にランキング6位、24年にランキング10位、そして昨年はランキング3位を獲得。デビューレースとなった23年のル・マン24時間で5位入賞を果たすと、翌24年のル・マンで4位と最高位を更新、そして25年のル・マンで初表彰台2位に登壇。2度目の表彰台が、今シーズンの開幕戦ル・マンで、やはり24時間耐久に強いチームだという印象ですが、今年の第2戦、スパ・フランコルシャン8時間耐久で、耐久レースの中では短期決戦である8時間耐久でも3位を獲得。長丁場でも短期決戦でも強いチームになりつつあるのです。
今シーズンも連続登壇中! 鈴鹿はダークホースとして浮上なるか?
今シーズンの世界耐久へは、ロマン・ラモス、グレゴリー・ルブラン、クリスチャン・ガマリノ、エンゾー・デラベガの4人で、マシンはモデルチェンジを受けた2026年型ZX-10RR。開幕戦ル・マンでは予選8番手からのスタートで、一時2番手に浮上し、常にトップグループで周回を重ねますが、レース開始17時間ごろにマシントラブルが発生し、それでも4番手でレースに復帰。残り2時間で3番手に浮上してそのままフィニッシュしました。
「開幕戦で3位表彰台はいいスタートですね。残り6時間半ごろにトラブルが起こって、グレゴリーがマシンを押してピットに戻ってきたときはチームに緊張が走りましたが、マシン修復も速かったし、交代するライダーの準備も整っていない中、グレゴリーがすぐに連続走行に出てくれた。チーム全員があきらめることなく最後まで走ったからの3位表彰台だったと思います」(鶴田監督)
続くスパ8時間は、事前テストの段階からスパらしい不順な天候に見舞われ、予選5番手からのスタート。レース序盤は一時トップに立つシーンもありながら、レース中盤に降り始めた雨に翻弄され、開始5時間ごろにタイヤ交換のためにピットに向かっていたガマリノがスリップダウン。マシンは左側ハンドルを破損し、マシン修復とウェットタイヤへの交換を済ませて3番手でレースに復帰したものの、路面が乾いてピットインし、スリックタイヤを交換したと思ったら、その20分後にはまた雨が降り出してウェットタイヤに交換と、わずかな判断の狂いが順位を大きく左右するコンディションで、3人はつねに上位を走り、開幕戦に続いて3位でフィニッシュ。
「2戦連続で3位入賞できたことは嬉しいです。今回の大きな収穫は、今年型のマシンの戦闘力を発揮してトップグループと戦えたことで、さらに燃費性能もよく、一時はトップを走るなど、自分たちが目指すレースを展開できるようになりました。レース中盤には雨→転倒→タイヤ交換→また交換とアクシデントがありましたが、メカニックの作業も速かったし、スタッフの交換タイヤ判断も的確でした。あらためてチームの成長を感じましたね。次はいよいよ鈴鹿ハチタイ。フランスに続く、私たちの第2のホームレースですから、優勝を目指してがんばりたいです」(鶴田監督)
チャンピオンチームであるYART、鈴鹿ハチタイの代名詞ともいえるヨシムラ、スパ8時間を勝ったBMWという優勝候補が居並ぶ中、ハッキリ言ってKWTはまだまだダークホース。しかし、ダークホースが上位に上がってくることもまた、耐久レースの醍醐味なのです。
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