photo/FIM EWC

いよいよ7月第一週の週末に決勝レースが行なわれる「2026ハチタイ」まで1カ月。5月31日には、ハチタイ参戦への第一次暫定エントリーリストが発表されました。暫定とはいえ、本戦はほぼこのリストどおりのチームがエントリーしてくるはずで、ライダーラインナップにやや修正がある程度になるでしょう。

ズラリ出揃った優勝候補

注目は、ここまでコラムで紹介してきた「ワンマッチワークスチーム」と「チャンピオンシップレギュラーチーム」、それに全日本ロードレースにエントリーする「チームジャパン」の三つ巴の戦い。

ハチタイの歴史の中で、優勝回数が多いのは、やはりワンマッチワークスチームで、それでも「ハチタイだけのために特別に編成されるワンマッチチーム」は減少する傾向にあります。ちなみに「近代ハチタイ」がスタートしたといわれる、あの“キング”ケニー・ロバーツがハチタイに初参戦した1985年、ワンマッチワークスチームは約10チーム。

それが、平忠彦さんが悲願の初優勝を遂げ、3日間合計28万6000人というハチタイ史上最高の観客動員を記録した1990年には約15チームに膨れ上がったものの、2000年には再び10チーム規模となり、2005年には5チーム、2010年にはワンマッチワークスチームというより、TSRホンダやハルクプロホンダ、ヨシムラスズキといったチームジャパンがメインで優勝争いをするようになります。

1980~90年代のワークスチーム全盛期のマシンたち。

そしてこの頃、ハチタイのエントリーリストに変化があらわれます。世界選手権とはいえ、ワンマッチワークスチームの参加などで、世界耐久選手権の一戦というより、日本での特別な一戦という位置づけに思われていたハチタイに、チャンピオンシップレギュラーチームの数が徐々に増え始めるのです。これは、ワールドタイトル獲得のために、遠く離れた日本大会、鈴鹿でもポイントを獲っておきたいというチームの思惑によるものでしょう。

チャンピオンシップレギュラーチームは2000年代初頭から、フランススズキを母体とするスズキの世界耐久チームがZongshenスズキやカストロールスズキ名でエントリーしていましたが、2002年にGMT94ヤマハ、05年にヤマハオーストリアが参戦し始め、2000年には3チームだけだったヨーロッパを母体とするチャンピオンシップレギュラーチームが、05年には8チーム、15年には10チーム、コロナ禍前の19年には15チームがエントリー。昨年の大会にも15チームがエントリーしています。

チャンピオンシップレギュラーチームの存在

そして今大会へのチャンピオンシップレギュラーチームのエントリーは、実に17チーム。TSRホンダやヨシムラスズキ、カワサキトリックスターという、日本にも拠点を置くチームも含まれるとはいえ、全53チーム中17チーム=約32%がチャンピオンシップレギュラーチームというのは、おそらく過去最大。もちろん、この中から優勝チームが出てきても、なんの不思議もない、近年はそんなハチタイなのです。

チャンピオンシップレギュラーチームの中でも優勝争いに食い込んでくるのは、26年の世界耐久選手権開幕戦、ル・マン24時間で上位に食い込んだ#1YARTヤマハ、#12ヨシムラSERT MOTUL、#11カワサキWEBIKEトリックスター、#76オートレース宇部レーシング、#5F.C.C.TSRホンダフランス、#37BMWモトラッドといった、ワークスサポートを受けるトップチームでしょう。

ヤマハオーストリアと名乗っていたころからのハチタイ常連のYART。

鈴鹿とフランスに本拠を持つTSR=テクニカルスポーツレーシング。ライダーは3人とも外国人。

世界耐久の名門SRCカワサキからチーム運営を引き継いだトリックスターレーシング。チーム監督は鶴田竜二さん。

26年大会には新型2026年型GSX-R1000Rを持ち込むヨシムラSERT。事前テストで早くも2分04秒台に入れる好調ぶり。

予定していたヨハン・ザルコの負傷により、3人目のライダーとしてWSBKライダーのソムキャット・チャントラを招聘したホンダHRC。

今シーズンから世界耐久フル参戦を始めたオートレース宇部レーシング。開幕戦ル・マンは決勝5位と、まずは上々の出足。

その中で注目したいのは、#37BMWモトラッドです。BMWモトラッドは昨シーズン、チャンピオン獲得に手が届いた最終戦、ボルドール24時間耐久レースで、2位を走行していた残り25分というところでマシントラブルが発生し、リタイヤ。そのまま走り切れば、日本メーカー以外で初の、そしてBMW初のワールドチャンピオンとなっていただけに、今シーズンにかける気持ちが大きいのです。

20年に世界耐久選手権にワークスチームとしての参戦を開始したBMWモトラッドは、コロナ禍明けの22年に鈴鹿8耐に初登場。公式予選ではトップ10トライアルに進出して9番手グリッドを獲得、決勝レースではマーカス・レイテルバーガーの転倒によりリタイヤしてしまいますが、23年大会では6位入賞、24年大会で5位、そして昨年の25年大会でも5位入賞と、コンスタントに結果を残すチームとなっています。

ワールドチャンピオンを狙うBMWモトラッド。昨年、代役としてハチタイに参戦したマイケル・ファン・デル・マークがレギュラーライダーとして参加。

BMWモトラッドがハチタイに初登場した2022年大会。ワークスチームとしての参戦で、初登場ながら公式予選でトップ10に入ってみせ、パフォーマンスを見せつけた。

「チャンピオンシップにおける目標は明確です、それはミュンヘンにワールドタイトルを持ち帰ること。ル・マンを終えて、我々は25年シーズンのいい流れのまま戦えている。25年は、シーズン最後の25分を除いて素晴らしいシーズンだった。素晴らしいマシンに、マーカス、スティーブン、そして新加入のマイケルという強力なライダーが揃っている。目標はただひとつ、ワールドチャンピオンだ。常に上位争いができると期待しているけれど、チャンピオンになるには少しの運も必要、運が味方してくれたら今シーズンもワールドチャンピオンを狙えると確信している」というのはチーム監督のワーナー・デーメン。

全日本ロードレースでもエントラントの多いBMW M1000RR。ワークスチーム同等のパーツを入手できる間口の広さも人気の秘密だ。

ハチタイ史上初の、外国車メーカーによる優勝が、すぐそこまで来ているかもしれません。

8耐第一次暫定エントリーリスト

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