(c)Pertamina Enduro VR46 Racing Team

MotoGP第6戦カタルーニャGPが、5月15日から17日にかけて、スペインのバルセロナ-カタルーニャ・サーキットで行われた。

スプリントレースで優勝したのはアレックス・マルケス(ドゥカティ)。決勝レースは2度の赤旗中断が発生するなかで3回目のスタートでファビオ・ディ・ジャンアントニオ(ドゥカティ)が優勝を飾り、ホンダのジョアン・ミルが2番手でゴールを果たした。

また、日本人ライダー小椋藍(アプリリア)は、スプリントレース、決勝レースともに持ち味の追い上げを見せた。

スプリントまでは順当なライダーがトップ3獲得。しかし…

カタルーニャGPの会場となるのは、スペインのバルセロナ-カタルーニャ・サーキットである。その名の通り、スペイン第二の大都市と言われるバルセロナから30kmほど北上した場所にある。

今回のカタルーニャGPでは、2025年チャンピオンであるマルク・マルケス(ドゥカティ)が欠場した。マルク・マルケスは前戦フランスGPのスプリントレースでの転倒により右足の第5中足骨を骨折し、手術を受けて療養中である。

予選ではペドロ・アコスタ(KTM)がポールポジション(1番手)を獲得し、2番手にフランコ・モルビデリ(ドゥカティ)、3番手にアレックス・マルケス(ドゥカティ)というドゥカティ勢が並んだ。MotoGPクラスに参戦する唯一の日本人ライダーである小椋藍(アプリリア)は、18番手だった。

土曜日のスプリントレースは12周で行われ、アレックス・マルケスが優勝した。高速コーナーを強みとするアレックス・マルケスのライディング・スタイルはこのサーキットを得意としており、この結果はある意味で順当と言える。

2位はポールポジションのアコスタ、3位はファビオ・ディ・ジャンアントニオ(ドゥカティ)が獲得した。

小椋は6列目18番手からスタートし、12周の間に10ポジションを上げて8位でゴールした。スプリントレースはその名称の通りに少ない周回数で争われるレースであり、加えて世界最高峰のライダー22名で争われるMotoGPクラスではポジションを上げていくことは容易な仕事ではない。この8位には順位以上の価値と内容があると言っていいだろう。

決勝レースでは2回の赤旗中断が発生

日曜日の決勝レースは、2度の赤旗中断が発生した。

1回目の赤旗中断は、最初のスタート後、12周目の9コーナーと10コーナーの間のストレートで起きたアクシデントが原因だ。

このときトップを走っていたアコスタのマシンに、9コーナー先のストレートでトラブルが発生した。アコスタのすぐ背後を走っていた2番手のアレックス・マルケスは、スロットル全開で走るストレートで失速したアコスタに直撃することは避けたものの、アコスタの左側に高速で接触し、バランスを失って激しく転倒した。

その転倒はマシンの大小のパーツがコース上に飛び散るほどに激しいものだった。また、飛んできたアレックス・マルケスのタイヤに当たった5番手走行中のディ・ジャンアントニオも、転倒を余儀なくされた。

レース後、アコスタがMotoGP.comに語っていたところによると、電子制御の問題が発生したということだ。

アレックス・マルケスは救急車で病院に搬送され、第7頸椎の軽微な骨折と、右鎖骨の骨折を負った。当日、チームのSNSで発表されたところによると、右鎖骨の骨折については日曜日中にプレートによる固定手術を行う、ということだった。

2回目の赤旗中断は、2回目のスタート直後に発生した。2回目のスタートは、1回目のレースの11周目時点のポジションがグリッドとなり、ポールポジションは変わらずアコスタ、2番手はラウル・フェルナンデス(アプリリア)、3番手がホルヘ・マルティン(アプリリア)だった。小椋は4列目11番手からのスタートである。

アクシデントが発生したのはスタート直後の1コーナーである。5番手からスタートしたヨハン・ザルコ(ホンダ)、9番手からスタートしたルカ・マリーニ(ホンダ)、10番手からスタートしたフランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ)が転倒する多重クラッシュとなった。

この転倒によりザルコは病院に搬送され、左足の前十字靱帯および後十字靱帯、内側半月板を損傷し、足首付近の腓骨にも小さな骨折を負った。

2回の大きなアクシデントによって中断された後、レースは12周で再開された。3回目のスタートである。グリッドポジションは、2回目のスタートと同様となった。

このレースでは、ホンダのジョアン・ミルが好走を見せた。1周目に2番手に浮上し、トップのアコスタを追走する。前を走っていたアプリリアライダー二人のクラッシュもこのポジションアップの要因ではあったが、ミルの好スタートと、アコスタを追走できるペースがあったことは確かだった。

負傷を抱えてディ・ジャンアントニオが勝利。ホンダのミルは2番手ゴール

このレースで優勝したのは、6番手スタートから追い上げたディ・ジャンアントニオである。ディ・ジャンアントニオは最初のレースでの転倒により左手を痛めていたが、2023年カタールGP以来となる優勝を飾った。

ミルは、見事、2番手でゴールを果たした。しかし、レース後にタイヤの空気圧違反が確認された。これは、ミルのタイヤ空気圧がミシュランの定める基準値を下回っていたというものである。このためミルは結果に16秒加算のペナルティを受け、最終結果は13位となった。

ペナルティが科されたのは表彰式や記者会見後。惜しい2位になったが、2番手ゴールは事実だ(c)Honda Racing Corporation

しかし、ミルが2番手でゴールしたという事実は変わらない。ここ数年──2025年以前まで苦況にあったホンダにとって、カタルーニャは特に苦戦を強いられるサーキットだった。カタルーニャでホンダライダーがトップ3でゴールしたのは、2019年にマルク・マルケスが優勝して以来である。そんなサーキットで達成したミルの2番手フィニッシュは、ホンダの進化を示しているだろう。

なお、このレースではミルを含めて合計5名のライダーがタイヤの空気圧違反となっている。通常のレースでは、レース前にチームが各ライダーのペースやグリッド、周りのライダー、コンディションなどからレース展開を予測し、レース中に規定値に収まるようにタイヤの空気圧を設定する。今回に関しては、5名のライダーがペナルティを受けている状況を鑑みると、2回の赤旗中断やコンディション(3回目のスタートは、当初のスタート時刻の約1時間15分後だった)、変更されたグリッドや周回数など様々な要因が“適切な”空気圧の設定を難しくしたのではないかと考えられる。

そして、3位を獲得したのはフェルミン・アルデゲル(ドゥカティ)。2025年インドネシアGP以来となる表彰台に立った。

小椋は、このレースでも彼らしい追い上げのレースを展開した。最終ラップには4番手を走るアコスタに迫り、最終コーナーでアコスタをかわして4番手でゴール。しかし、この追い抜きがアコスタの転倒を引き起こしたとして、小椋はロングラップ・ペナルティ(※)に相当する3秒のタイムペナルティ(結果に加算)を受けた。最終的な結果は、8位だった。

ペナルティを受けたものの、小椋は12周のレースで4番手にまで浮上した(c)Trackhouse Racing

次戦となる第7戦イタリアGPは、5月29日から31日にかけて、イタリアのムジェロ・サーキットで行われる。

※ロングラップ・ペナルティ…
レース中にコース外に設定された大回りのルートを通らなければならないペナルティ。カタルーニャの場合、このペナルティは3秒に換算されている(『レース・ディレクション・インフォメーション』より)。今回、小椋が受けたペナルティは、「本来はロングラップ・ペナルティが科されるところだったが、対象アクシデントが最終ラップの最終コーナーで消化できなかったため、換算タイムの3秒が結果に加算された」というものだ。

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