熊本県のHSR九州で開催されるイベントレース『鉄馬』。パドックに並ぶのは、最新のスーパースポーツではなく鉄フレームのネオクラシックやネイキッド。その中に、カフェレーサーとして人気のロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT650の姿もある。2026年は筆者(小川勤)がこのバイクで鉄馬に参戦して4年目のシーズン。走るたびにコンチネンタルGT650が愛おしくなり、筆者の中でその存在がどんどん大きくなっていく。
目次
ロイヤルエンフィールドはサーキットが似合わないかと思いつつ…
鉄馬は、いい。長く続けていると、人、バイク、音、匂い、全てが整合されていく。ロイヤルエンフィールドのコンチネンタルGT650で鉄馬参戦を続けて、4年目を迎えた。関東が拠点の筆者は1年に1度しか訪れることができないが、それでも毎年、知り合いが増えていく。気がつけば、鉄馬は競う場所でなく、仲間やロイヤルエンフィールドオーナーと絆を深める場所になっている。
マシン制作は、熊本のモトジャンキー。5月1日(金)に1年ぶりにHSR九州を訪れ、ゼッケン36のコンチネンタルGT650レーサーを始動する。昨年よりも軽やかに回るエンジンに心が躍る。心なしかエキゾーストノートからも活気が漲っている気がする−−。
エンジンはハイカムシャフトを投入し、少しだけキャラクターを変えてみようという試みだ。スロットルを開けると、新導入したスタック製タコメーターが気持ちよさそうに跳ね上がる。サイドカバーにはベア650純正の丸いゼッケンを装着し、装いも新たになった。
1年ぶりにコースイン。「1コーナーは何速だったかな?」という感じで、例年のんびりスタート。カッコいいバイクで、自分のスタンスで走る。無理せずに仲間との時間を優先し、その中で最大限に努力し、限界を高める。これがサーキット遊びを長く楽しむコツだと思っている。
この感性にコンチネンタルGT650は優しく寄り添う。カフェレーサースタイルの通り、ロイヤルエンフィールドの中では最もスポーティなモデル。ロイヤルエンフィールド傘下のハリスが設計に参画したフレームに搭載されるのは、648ccの空冷ツイン。サスペンションやブレーキを強化し、軽量化を進めてきた。
コンチネンタルGT650は、ノーマルでも走りを考慮したモデル。見た目だけのカフェレーサーじゃない。そこから各部をアジャストすると、どんどんスポーティな部分が輝きを増していく。これは鉄馬を走っていなかったら気が付かなかったかもしれない嬉しい発見だ。
そのスポーツ性を向上させるために今回導入したアイテムがある。それがKOODの前後アクスル&ピボットシャフトだ。「せっかくなら比較しましょう」とモトジャンキーの中尾真樹さん。練習走行の合間にノーマルから換装した。
すると車体のレスポンスが向上。ライダーの操作に忠実に反応してくれる感覚が強まった。フロントに関しては特に高速コーナーでブレーキを握って入っていく際に、フォークのヨレの少なさを感じることができグリップを出しやすい印象に。リヤに関してはサスがよく動いていることを実感でき、バイクの挙動が明らかに変わったのだ。ノーマルがコストをかけられない部分だけに、見た目も含めてその満足度は高い。
コンチネンタルGT650が参戦するのはACT18(エア・クールド・ツイン=空冷2気筒エンジンを搭載する18インチ車両)クラス。ライバルは、ドゥカティ、ハーレーダビッドソン、モトグッツィ、BMWなどだ。コンチネンタルGT650はクラス最小排気量。それでも、さまざまなバイクとの駆け引きが楽しい。
今年の鉄馬は、遠征組にはありがたいスケジュール。1日(金)が練習日、2日(土)が予選、3日(日)が決勝となり、休みを取る必要はあるものの、例年よりも走り込める時間が多い。懸念点はただ一つ。1週間以上前から3日の天気予報はずっと雨なのだ。

2025年のミラノショーに展示されていた、コンチネンタルGTレーサー。タンクには750の文字が!インドではコンチネンタルGTカップも開催。アメリカでもBuild.Train.Raceとしてロイヤルエンフィールドのワンメイクレースが開催されている。この雰囲気を日本にも伝えたい!
予選はトラブルがありつつも5番グリッドを獲得
2日から予選が始まり、本格的なレースウィークがスタートする。2026年から鉄馬はメインスポンサーを変更し、『鉄馬 with TSK 合戦の日』として開催。地元九州の高橋商事が鉄馬をバックアップすることとなったのだ。朝から絶好のレース日和。過去最大となる158名のエントラントで盛り上がる。
予選は各クラス2回、タイムが良かった方でグリッドが決まる。前日の手応えを持ちながらコースイン。しかし、3周目にミッションに不調が出てピットイン。再度コースインするが変わらず、走行を切り上げることにした。ミッション周りのトラブルだ。現場では修復が難しいため、中尾さんは、急遽ショップに戻ることとなった。
午後の走行はキャンセル。「大丈夫〜」「どうしたの?」皆が心配してくれる。夕方、中尾さんから連絡が入る。ミッションにトラブルがあったが対応できたとのこと。ありがたい。予選は2周目の1:19:724が記録として残り、決勝は5番手グリッドから挑むこととなった。
ただし、問題は天気だ。信じられない青空が広がっているのに明日は雨。すでに多くの参加者がレインタイヤへの装着を開始している。全予選が終了すると急遽、全参加者を集めてミーティングが行われることになった。
「明日は雨です。レインタイヤのない18インチタイヤのクラスを最初に持っていきます。さらに全クラス減周します」と鉄馬実行委員の上野武美会長。翌日も途中から昼休みをなくす超クイック開催に変更。参加者思いのこの臨機応変っぷりが鉄馬だ。
雨でも晴れでもコンチネンタルGT650は生き生きと走る!
3日、決勝日。朝から路面はウエット。ただし、それほど雨足は強くない。予選をマシントラブルで走れなかった参加者のために9:00から車両確認走行の枠が用意されているのもありがたい。問題なさそうだ。
すぐに決勝が始まる。HSRで雨のレースは初めて、ピレリのスポーツコンプRSで雨のレースも初めて。1周目にできるだけ頑張ろうと思った。雨用にサスペンションをアジャストしたのが効いている。コンチネンタルGT650は雨の中でも実に素直だ。
極力後ろに座って、前輪がステアする感覚を邪魔しないように走る。きちんと向きを変え、バンク角はそこそこに。リラックス、リラックス…、コーナーの度に自分に言い聞かせる。そんな走りのアジャストに、コンチネンタルGT650は瞬時に応えてくれる。
トップはハーレーダビッドソンのスポーツスター883、2位はドゥカティのスクランブラー。レース終盤、スクランブラーに少し追いつきそうな気もしたが、濡れた路面のグリップは限られ、ライン取りひとつで差が出るコンディション。無理はできない。3位でチェッカーを受けた。昨日のことを考えれば、上々の結果。18インチクラスを前倒ししてくれた実行委員会に感謝したい。
チェッカー後、ライバル達と談笑している間にハンター350が走るNC350クラスがスタート。応援に行く。このレースが凄かった。5連覇目前の金子美寿々さんが最終ラップで転倒。ハンター350を駆る中山恵莉菜さんと道岡嵩裕さんが何度も順位を入れ替える熱戦を展開したのだ。NC350クラスにハンター初優勝をもたらしたのは道岡さんだった。
例年、『ROYAL ENFIELD MEET in HSR九州』も鉄馬と併催され、ロイヤルエンフィールドオーナーの方々がレースを観ていてくれているのもとても嬉しい。
この雰囲気を知ると、ロイヤルエンフィールドとスポーツライディングの関係は、実に密接だということがわかる。この意外な真実を多くの方に知って欲しいし、是非ともリアルに感じていただきたい。
ロイヤルエンフィールドのコンチネンタルGT650ってどんなバイク?
1950〜60年代の英国スタイルを現代に継承するコンチネンタルGT650。648cc空冷ツインエンジンは270度位相のクランクを採用した不等間隔爆発で、味わいと気持ちのいいレスポンスを同居させる。単に機械としてのハイパフォーマンスを発揮するのではなく、乗り手の気持ちに寄り添った性能を手応えとして提供してくれるのだ。
カフェレーサーという世代を超えて突き刺さる魔法のキーワードを持ち、今の時代にこのスタイルが新車で購入できるのはとても貴重なこと。
細身の前後18インチタイヤが生み出すハンドリングも、エンジン同様ライダーの感性に沿ったもの。難しさを感じさせずに、軽く曲がることができる。
また、様々なカラーバリエーションを用意し、ホイールはスポークとキャスト、エンジンはブラックとシルバーを用意。ライダーの好みに細かく合わせたラインナップがロイヤルエンフィールドの魅力だ。
この記事にいいねする
































































