5月9日〜10日の2日間、茨城県の筑波サーキットにて、テイスト・オブ・ツクバ「皐月(さつき)ステージ」が開催された。今回の注目はテイスト最速クラスのハーキュリーズが2つに分けられ、「ヒュドラー(HYDRA)」クラスが新設されたこと。この2クラスの様子をレポートする。

ハーキュリーズはキャブのみに。FI車はヒュドラーへ移行

2026 TASTE OF TSUKUBA SATSUKI STAGE

日本一人気のある草レース「テイスト・オブ・ツクバ」の皐月ステージが5月9日(土)、10日(日)に快晴の筑波サーキットで開催された。土曜日は風が強かったものの、日曜日は風が弱まり観戦日和に。今回も思い思いのバイクで多くのエントラントが集まり、それぞれ見応えのあるレースが繰り広げられ、多くのお客さんが楽しんだ。

今回の注目は最高峰クラスのハーキュリーズ(HERCULES)が大きく変化したこと。まず、インジェクションの使用がNGとなり、キャブレター車のみが参戦可能にに。さらにタイヤは従来の溝付きからスリックタイヤの使用も可能となった。

そして時代の変化に伴いヒュドラー(HYDRA)クラスが新設。こちらは鉄フレームならばFIも含めて何でもOK(スリックタイヤも)となっており、今回は6台がエントリーし、土曜日に予選・決勝が行われた。

新設ヒュドラークラスはハイレベルの戦いに

オリジナル鉄フレームにハヤブサのエンジンを搭載し、ハーキュリーズを盛り上げてきたTeam KAGAYAMA・加賀山就臣の鐵隼(テツブサ)は今回ヒュドラークラスに。OVER Racing ProjectsのOV-46(OVERフレーム+CBR1000RR-Rエンジン)の松本隆征、フクダテクニカの奥田教介(OVERフレーム+ZX-10Rエンジン)、K'zFACTORY&ASIAの松原泉(ニンジャH2)、アサヒナレーシングの朝比奈正(オリジナルフレーム+ZX-14Rエンジン)といった常連組に、Team TATARA-BLUE THUDERSの和田留佳が唯一の新規参戦となり、ヒュドラーは計6台とやや寂しい初開催となった。

初開催となったヒュドラークラス。エントリーは6台だったが、レベルの高い走りを見せた。

 

ただしレベルは高い。全日本ST1000クラスを戦うTeam TATARA apriliaが制作したTATARA-001は、オリジナルの鉄フレームにaprilia RSV4 Factory 1100のエンジンを搭載。前週にシェイクダウンしたばかりだったが、金曜日の練習走行から速さを見せ、56秒4という驚異的なタイムをマーク。公式予選では強風の影響もあり56秒625に留まったが、初参戦でポールポジションを獲得。決勝も好スタートを切ると、一度もトップを譲らずポールtoフィニッシュを達成した。

「すごく緊張しましたが、チームがいいバイクを用意してくれたので、集中して走るだけでした。久しぶりの優勝なので嬉しかったです」と和田。MotoGPもリードするアプリリアがヒュドラーの初代ウイナーとなった。

圧倒的な速さを見せヒュドラー初代ウイナーとなった和田留佳。

 

その後方では、鐵隼を駆る加賀山就臣とOV-46の松本、OV-43の奥田が2位争いを繰り広げていたが、加賀山はジャンプスタート、奥田はスタート手順違反でライドスルーペナルティが適用され、松本が単独2位でゴール。奥田は、5番手まで下がるが、2台をかわして3位でフィニッシュしている。4位朝比奈、5位松原、6位加賀山というヒュドラー初レースとなった。

加賀山のライディングする鐵隼は今回1500cc(正確には1476cc)までボアアップし、フロントまわりをパニガーレV4R、リアはJ-GP2で使用していたスイングアームに換装。TOT史上最大排気量をメインテーマに、オートバイの祭典であるTOTファンに楽しんでもらえるカスタムを敢行してきた。

とは言え、事前にある程度は分かっていたそうだが、強いエンブレや驚異的なトルクはタイムを出すには難しいものだったという。それでも加賀山だからこそ、観衆を沸かせる走りができたのは間違いない。次回はどんな仕様の鐵隼が登場するのか、今から楽しみなところだ。

1500ccまでボアアップしてきた鐵隼で迫力のライディングを見せる加賀山就臣。

2026 TOT SATSUKI STAGE「HYDRA」RESULT

日曜開催のハーキュリーズは混戦!

日曜日に開催されたハーキュリーズは、ZRX1200Sを駆るFirst☆Starえびす屋商事ACTIVEの新庄雅浩が予選をリードし、58秒057でポールポジションを獲得。ZX-10RRエンジンのOV-43をキャブ化してエントリーしたOVER Racing Projectsの梶山知輝が58秒103で続き、混走となるスーパーモンスターEvo.クラスの宇川徹が、空冷エンジンのCB1100Rにも関わらず58秒362で総合3番手に食い込む速さを見せた。

また、前回まで3連勝を飾っていたTeam YELLOW CORNの國川浩道は、2017年以来となる空冷カワサキZエンジンの“ハムステーキ3”でスーパーモンスターEvo.にエントリー。宇川との戦いが注目されたが、今回は予選で転倒。決勝ではシフトロッドが折れてリタイアと、うまく行かない週末となってしまった。

9年振りに乗った空冷Z“ハムステーキ3”は「おもしろいけれど、難しさもある」と國川。

 

トップ争いは、新庄、宇川、梶山が三つ巴のバトルを繰り広げた。好スタートを決めた新庄がレースをリードし、宇川、梶山が追う。レース中盤を過ぎると宇川のペースが落ちてくるが、これを見た梶山は最終コーナー進入で2番手に上がると、バックストレートから最終コーナー進入で新庄もかわしてトップに浮上する。

新庄も意地を見せ、1コーナーのブレーキングで抜き返すが、再び最終コーナー進入で梶山がトップに立つ。残り2周となり、チャンスがあれば勝負したい新庄だったが、ダンロップコーナーからアジアコーナーへの進入で痛恨の転倒を喫してしまう。

新庄は今回スリックタイヤにスイッチしたが、新品だとパワーが食われてうまく走れなかったため、フィーリングの良かったユーズドタイヤで決勝に挑んでいた。しかし、予想以上に路面温度が上がってしまいフロントが厳しい状態だったという。そんな状態でレースの大半をリードしていたが、悔しいリタイアとなってしまった。

レースの大半は#71新庄雅浩がリードしたが、ペースをつかんだ#43梶山知輝が前に出ていく。

 

これで楽になった梶山は、そのまま最終ラップを走り切りトップでチェッカー、嬉しいハーキュリーズ初優勝を飾った。「新庄さんも宇川さんも僕よりブレーキングのレベルが高いので、なかなか勝負できませんでした。周回を重ねていると自分のペースも上がってきたので、第2ヘアピンをメチャクチャ頑張って何とか抜けました。次戦は57秒台に入れて、ヒュドラーに負けない走りをしたいですね」と嬉しさを爆発させていた。

チームと共にTOT初優勝の喜びを味わう梶山知輝。

梶山が駆ったOVER RacingのOV-43は、ZX-10RRのエンジンをZX-9R用のFCR41φでキャブレター化している。

 

総合2位には宇川が入り、スーパーモンスターEvo.クラスでは優勝。総合3位にも同クラスの坂本宏正(XJR1200)が入ったが、30秒加算のペナルティが適用され総合10位に降順。これによりハーキュリーズ2位のD;REXの豊田浩史(オーバーOV-41+GSF1200エンジン)が総合3位に、同じく3位のライダーハウス宮島・宮島伸也(ZRX1100)が総合4位に繰り上がった。

総合でもトップ争いを繰り広げた宇川徹。「前週にコンロッドが折れ、金曜日にミッションが壊れたけれど、チームが睡眠時間を削って頑張ってくれた」とドタバタだったと語った。

2026 TOT SATSUKI STAGE「HERCULES」RESULT

もともとキャブ仕様だったPOWER-BUILDER&PRESTO CORSA(ZX-10Rエンジン)の渡辺一樹は今回、アジアロードレースが重なり欠場となったが、次戦には出場予定とパワービルダーの針替伸明代表が明らかにしていた。渡辺はすでに57秒台に入れており、スリックタイヤをうまく使えばさらなるタイムアップも現実的だろう。11月7日(土)、8日(日)に開催される次戦「神楽月(かぐらづき)ステージ」が今から楽しみなところだ。

Webikeからもテイスト参戦中!

今回のテイストにはWebikeを運営するリバークレイン代表取締役社長・信濃孝喜が2年振りにF-ZEROクラスに参戦。前回の参戦後に筑波の最終コーナーで転倒し、負傷して以来の本格復帰だったが、CB1000 HORNETでしっかり12周を走り切って13位でチェッカーフラッグを受けた。このF-ZEROクラスにはWebikeスタッフの熊谷祐麻もエントリーし、こちらは初優勝を飾っている。

リバークレイン代表取締役社長・信濃孝喜もしっかり完走!

以前はCB1000Rだったが、今回からマシンをCB1000 HORNETにスイッチ。3年振りのTOT参戦となった。

勝てそうでなかなか勝てなかった熊谷祐麻。MVアグスタのブルターレ1090RRでついに勝利!

好天に恵まれた筑波には数々の出展ブースも。写真はキャリパーやディスク、マスターシリンダーに加え、グッズ類も数多く展示していたブレンボのブース。最大44%オフのアウトレット品も!

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