『生形秀之という生き方 前編──悔しさと挫折』

2025年全日本ロードレース選手権鈴鹿。生形秀之の引退レースだった。
雨の鈴鹿、土曜日のレース1が終わった夕方のパドックが騒がしくなる。生形に内緒で引退式が準備されていた。妻であり、ヘルパーであり、チーム運営をサポートする麻美が、生形を誘導する。
ピットの両脇にライダーや関係者が花道を作っていた。その先にマシンが置かれ、驚いている生形が進むと拍手が沸き、労いの声が次々と湧き上がる。マシンに辿り着くと、特大の花束やバルーンが贈られた。
晴れていたら、レーシングコースで行う予定だった。生形を応援するファンにも見てもらいたかったが、雨で叶わなかった。
涙を見せる者もいたが、それでも、ぬくもりいっぱいの温かな笑顔があふれた。

■文・佐藤洋美 ■写真:赤松 孝 ■写真提供:生形秀之

日曜日にレース2が行われた。JSB1000決勝が行われる午後に天候が崩れた。気温も下がる中で、豪雨により視界を確保することが難しいスリリングなレースとなる。レース続行が困難と判断され、序盤にセーフティーカーが入る。
ピットで見守る麻美は、セーフティーカーが解除された時、路面もタイヤも冷えた状況からの再スタートの危険性を知っていた。心配から、スマホを持つ手が、寒さのためだけでなく震えていた。

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情報提供元 [ WEB Mr.Bike ]

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