
2026年シーズンのMotoGPが、タイのチャン・インターナショナル・サーキットで開幕した。
開幕戦を制したのは、スプリントレース、決勝レースともにドゥカティではなかった。スプリントレースではKTMのペドロ・アコスタ、そして決勝レースではアプリリアのマルコ・ベツェッキが優勝を飾った。
ドゥカティは、決勝レースで2021年イギリスGP以来、初めて表彰台を逃した。
そんなタイGPの日本人ライダーの戦いをお伝えする。
小椋藍、「残念」と語る決勝5位
タイGPは最高峰クラスデビュー戦となった2025年シーズン、小椋藍(トラックハウス・MotoGP・チーム)がスプリントレースで4位、決勝レースで5位を獲得した舞台である。
今大会を2年目のシーズンの開幕戦として迎えた小椋は、予選(Q2)で8番手を獲得し、3列目からレースに臨んだ。土曜日のスプリントレースでは、4位でゴール。
小椋は「スタートがよくなかった」とレースを振り返る。前日のスタート練習で、路面コンディションにより、多くのライダーがスピンしていた。このため、小椋は他のライダーがスタートでスピンをするだろうと考えていた。しかし、そうはならなかった。
小椋は「今日は(スタートで)スピンをしてしまってすごく後退してしまうのだけは避けようと思っていたんです。それで、結構スムーズにスタートしました」と言うことだった。小椋は1周目を7番手で終え、そこから周を重ねるごとにポジションを上げたが、13周のレースではスタートの差が響いた形となった。
翌日曜日の決勝レースでは、「小椋自身としては」スタートを改善した。ただ、4列目10番手のジョアン・ミル(ホンダHRCカストロール)が素晴らしいスタートを切って、1コーナーのブレーキングで小椋の前を位置取ったことで、小椋の選択肢がなくなった。小椋は11番手に後退を余儀なくされた。
その後、小椋はブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリーレーシング)の後ろでしばらく11番手を走り続けた。ビンダーは、小椋が「抜きづらいライダー」として挙げたことがある選手だが、今回は少し事情が異なっていた。
「今日はそこまで抜きづらいという感じではなかったんですけど、まだみんなにタイヤがあるとき、僕も彼らと変わらないくらいのペースでしか走れなかった。同じように(同じようなペースで)走るしかなかったです」
決勝日も気温、路面温度ともに上昇した。公式の記録によると、気温は33度、路面温度は52度となっている。もともとチャン・インターナショナル・サーキットはタイヤに厳しいサーキットであるが、レース後、多くのライダーがタイヤのマネジメントに苦しんだと語っていた。
ただ、小椋の強みは、こうしたコンディションであっても、レース後半まで他のライダーよりもラップタイムを落とすことなく戦うことができる。つまり、ライバルのタイヤが垂れてしまった状況で、小椋はより速く走ることができるのだ。今回もまた、そうだった。
16周目にビンダーをかわし、2022年、2023年チャンピオンのフランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)、2025年ランキング2位のアレックス・マルケス(BK8・グレシーニ・レーシングMotoGP)、ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(ペルタミナ・エンデューロ・VR46・レーシングチーム)などをパスして、24周目には5番手に浮上した。
だが、トップ3に追いつくには周回数が少し足りなかった。小椋は5位でチェッカーを受けた。
昨年と同じ5位。しかし、うれしさを抱いた昨年とは小椋の思いは異なっている。小椋は「今日は本当に、自分に残念で仕方がないですね。……本っ当に」と繰り返していた。
そこには小椋の「野心」が見え隠れしていた。シーズンはまだ初戦を終えたばかり。それが結実するチャンスは、また訪れるはずだ。
Moto2佐々木歩夢が好発進
Moto2クラスの決勝レースは荒れた展開になった。1回目のスタート後、クラッシュによって4周目に赤旗中断。2回目のスタート後、やはりクラッシュによって2周目に再び赤旗中断となった。3回目のスタートで、レースは当初の22周から7周に大幅に短縮されて行われた。
このレースを、Moto2クラス3年目の佐々木歩夢(モモヴェン・イドロフォリアRWレーシングチーム)は10位でゴールした。
佐々木によれば、路面コンディションがかなり悪かったという。タイGPの週末は、金曜日の午後に少しの雨が降ったりやんだりを繰り返したものの、それを除けば、昼間はよく晴れていた。ただ、土曜日の夜にスコールが降り、このため、コンディションが悪化していたのだ。
「1回目のスタートはうまく決まって、7番手まで浮上できました。ペースもよかったので、問題なければこのまま7位でゴールかな、とか思っていたんですけどね」
その後、2回の赤旗中断が発生して2回目にタイヤを交換した。そのタイヤのフィーリングが1回目のタイヤと異なっていた。特にリアのフィーリングが悪化したという。
「1周あたり0.2~0.3秒遅れてしまいました。7番手争いはできたと思うので、10位でのゴールは少し悔しいです。でも、昨年のタイGPのレースウィークに比べるととてもいい位置でゴールはできましたから。ここから積み上げて、頑張っていきます」
そして、今季からMoto2クラスにステップアップしたのが、古里太陽(イデミツ・ホンダ・チームアジア)だ。古里にとっては難しいMoto2クラスでのデビュー戦となったが、16位で完走を果たした。
この週末、古里太陽はブレーキングに問題を抱えていた。これはフロントサスペンションのセッティングの問題だと判明し、土曜日にはこれを解決したが、マシンはそれまでのフロントサスペンションに合わせたセッティングになっていた。このため、決勝レースは「問題を解決したフロントサスペンション」のセッティングで、ぶっつけ本番の形で挑むことになった。ただ、当初の予定よりも短いとはいえレースを完走したことで、レース中に様々な学びを得ることができたという。
Moto3クラスでは、8年目のシーズンとなる山中琉聖(イオンクレジット-MTヘルメット-MSI)が、3列目7番手からスタート。しかし、2周目に転倒を喫し、再スタートを切って24位だった。
また、タイGPがMoto3クラスのフル参戦デビューレースとなった三谷然(ホンダ・チームアジア)は、26番手からスタートして22位で完走を果たした。
「まったく力及ばず、って感じでしたね。元々のペースも今週はなかったです。でも、一回ペースが落ち着いてからそれぞれ自分の持っているタイムで走って、そこからさらにもう一段タイムを上げる時間が残り5周、3周あたりであるのですが、そこで僕は上げられない。そこが、まったく足りないと思いました」
なお、このレースには三谷が「監督」と慕う元WGP、MotoGPライダーの青木宣篤さんが駆け付け、愛弟子の世界選手権デビューを見守っていた。
MotoGP第2戦ブラジルGPは、3月20日から22日にかけて、ブラジルのゴイアニア・インターナショナル・レーストラック・アイルトン・セナで行われる。ブラジルGPは、22年ぶりの開催である。
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