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MotoGP第22戦バレンシアGPが、11月14日から16日にかけて、スペインのリカルド・トルモ・サーキットで行われた。

このバレンシアGPが、2025年シーズンMotoGPの最終戦である。ここ20年ほどは、主にバレンシアのリカルド・トルモ・サーキットで最終戦が行われている。ただ、昨年はバレンシアを襲った洪水の被害により、最終戦はバルセロナ-カタルーニャ・サーキットに変更された。このため、リカルド・トルモ・サーキットでの開催は、2年ぶりとなった。

今季、MotoGPクラスでは日本GPでマルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)が、Moto3クラスではインドネシアGPでホセ・アントニオ・ルエダ(レッドブルKTMアジョ)がそれぞれチャンピオンを獲得している。

唯一、最終戦にチャンピオン争いが持ち込まれたのはMoto2クラス。ディオゴ・モレイラ(イタルトランス・レーシング・チーム)とマヌエル・ゴンザレス(リキモリ・ダイナボルト・インタクトGP)による一騎打ちとなり、日曜日の決勝レースの結果、モレイラが史上初のブラジル人チャンピオンに輝いた。なお、2026年、モレイラはMotoGPクラスにステップアップし、ホンダLCRから参戦する。

MotoGPクラスでは、ミゲール・オリベイラ(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)とソムキアット・チャントラ(イデミツ・ホンダLCR)が最後のレースとなった。オリベイラとチャントラは、来季はスーパーバイク世界選手権(SBK)に戦いの場を移す。

また、決勝日の11月16日、ヤマハが2026年シーズンをV4エンジンで戦うと発表した。バレンシアGPにはアウグスト・フェルナンデス(ヤマハ・ファクトリー・レーシングチーム)がV4プロトタイプマシンでワイルドカード参戦した。

そんな2025年最終戦を、日本人ライダーたちはどう戦ったのだろうか。

小椋藍、1周目のアクシデントで後退が響く

小椋藍(トラックハウス・MotoGP・チーム)は、初日午後のプラクティスを5番手で終え、今季4度目となるQ2ダイレクト進出を果たした。プラクティスの中盤には転倒を喫したが、その理由は「ゼブラとコースの間にフロントを入れてしまい、それで切れ込んでしまっただけ」とのこと。転倒すると少しばかり尾を引く傾向にある小椋だが、今回は5番手タイムが表すように、影響はなかった。

リカルド・トルモ・サーキットはあまり好きではなかったものの、初日好スタート。小椋はその要因について「走り出しからある程度、よかったんです。そのまま少しずつ詰めていきました」と語っていた。

ただ、土曜日のQ2では想定していたほどタイムを詰めることができなかった。小椋はQ2で12番手。スプリントレースでは、9位でゴールした。

日曜日の決勝レースでは、1周目4コーナーで発生したアクシデントの影響を受けた。4コーナー進入で、ヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)がフランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)に接触し、バニャイアが転倒。小椋はこのアクシデントの真後ろにおり、避ける形で後退を余儀なくされたのだ。

ただ、ペースは悪くなかった。17番手にポジションダウンしたところから、小椋は5周目には15番手まで浮上している。しかし、それだけに焦りもあったという。7周目、1コーナーで転倒し、小椋は最終戦をリタイアで終えた。

「(1周目に)かなり順位を落としてしまいましたが、フィーリング的にはよかったんです。ポジションを上げていこうと頑張っていて、前のライダーを次のコーナーで抜こうと考えて準備していたときに転んでしまいました」

小椋は最高峰クラスのルーキーシーズンを、ランキング16位で締めくくった。

追い上げている最中の転倒。けがはなく、火曜日の公式テストにも参加している©Trackhouse Racing

Moto3古里太陽が3戦連続の表彰台獲得

Moto3クラスの決勝レースでは、古里太陽(ホンダ・チームアジア)が躍動した。古里はQ2で9番手を獲得し、3列目から決勝レースをスタートした。レース序盤には表彰台圏内にポジションを上げ、順調に周回を重ねた。

「最初に少しポジションを上げないとな、とは思っていました。でも、焦る必要もないとも考えていました」

レース終盤は、トップに出ようと考えていたという。ただ、エイドリアン・フェルナンデス(レオパード・レーシング)、マキシモ・キレス(CFMOTO・Valresa・アスパーチーム)との接戦となり、古里は前を走るフェルナンデスだけではなく、キレスとの2番手争いを演じることになった。

残り2周の最終コーナーではキレスが古里をパス。最終ラップにフェルナンデスに勝負を仕掛けたい古里は、最終ラップ1コーナーでキレスをかわして2番手を取り戻した。しかし、惜しくもフェルナンデスのオーバーテイクには至らず、2番手でゴール。最終ラップにトラックリミットをオーバー(※フロントまたはリアタイヤがコース外に出ること)したため、1ポジションダウンのペナルティを受けて、最終結果は3位となった。

「最後はフェルナンデスとの一騎打ちになると思っていました。余裕もあったし、まだいけると思っていたのですが、マキシモとバトルをしていたので厳しくなってしまいましたね。(トラックリミットオーバーは)フェルナンデスを抜くにはアクセルを開けないと、と思って開けたら滑り出して少しワイドになってしまったんです。仕方がなかったと思います」

マレーシアGPでの優勝、ポルトガルGPでの3位に続き、3戦連続の表彰台獲得を果たした。ただ、優勝したかった思いがあるだけに、「うれしい」とは言い切れない部分もある。

「いい内容ではありましたし、うれしいですけど、最後のレースは勝ちたかった。少し残念ですね」

古里にとって、これがMoto3クラスでの最後のレースだったのだ。とはいえ、表彰台獲得という形で、古里はMoto3でのラストレースに花を添えた。2026年はイデミツ・ホンダ・チームアジアからMoto2クラスに参戦する。

古里にとって、最後のMoto3表彰台となった©Honda Team Asia

國井勇輝、バレンシアで世界選手権に別れ

Moto2クラスでは、國井勇輝(イデミツ・ホンダチームアジア)が26番手からスタートして20位でゴールした。國井は今季をもってMoto2クラス参戦を終えるため、これが最後のレースとなった。

「今シーズン通してあまり位置が変わらないところを走りましたが、たぶんこれが今の自分の全力だったのかなと思います。もちろん、勝つまでは納得のいくレースではないとは思いますが、僕としてはいい経験になったと思います」

来季については「ライダーとしてはまだまだ歩んでいくので、これは一つのステップだと思って、また次のステップでも頑張りたいですね」ということだった。続報を待ちたい。

國井(#92)はMoto2を戦った今季の経験をもとに、新しい戦いへ©Honda Team Asia

同じくMoto2ライダーの佐々木歩夢(RW-イドロフォーリャ・レーシングGP)は、初日午前中のフリープラクティス1で転倒し、右足のかかと3か所を骨折したため、欠場となった。

「土曜日も走りたかったのですが、ドクターストップがかかってしまいました。思ったようなシーズンではなかったし、思ったような終わり方ができなかったので、ものすごく悔しいです」

「去年に比べれば成長できたシーズンだったと思いますが、もっと成長したかった、というのが本音です。自分の悪いところやバイクについて、どこを改善しなきゃいけないかはわかっています。冬には腕上がりの手術をするのですが、足と腕をしっかり治して、そのあとたくさんトレーニングして、来年に向けて準備していければなと思います」

佐々木は、来季も引き続き、RW-イドロフォーリャ・レーシングGPからMoto2クラスに参戦する。

最終戦は負傷により欠場となった佐々木© RW-Idrofoglia Racing GP / Rafa Marrodán

Moto3クラスに参戦する山中琉聖(フリンサ-MTヘルメット-MSI)は、マレーシアGP後に左手小指を手術したため、ポルトガルGPに続きバレンシアGPを欠場した。山中は来季もフリンサ-MTヘルメット-MSIからMoto3クラスを戦う。

また、ポルトガルGPに続き、三谷然がホンダ・チームアジアから参戦した。三谷はバレンシアGPを24番手からスタートし、14周目に転倒を喫してリタイアに終わった。

「序盤にまったくペースが作れず、(19番手付近の)集団の先頭を争いながら周回を重ねていました。(転倒した11コーナーは)ギャップがあるのですが、それはわかっていました。いつも通りにアクセルを開けたつもりだったんですけど、前のライダーを抜こうとしてクロスライン気味に立ち上がったこともあって、いつもよりもその挙動が大きくなって転倒してしまいましたね」

「スピードがまったく足りない。オフシーズン中にもっと自分にプレッシャーをかけて練習していきたいです」と、語っていた三谷。来季はホンダ・チームアジアからロードレース世界選手権Moto3クラスのルーキーシーズンを迎える。

三谷(#2)は今季、FIMジュニアGP世界選手権とレッドブルMotoGPルーキーズカップを戦い、来季のホンダ・チームアジアのライダーに抜擢された©Honda Team Asia

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