はじめに:2年目の挑戦

2025年シーズン、FIM EWC世界耐久選手権に参戦2年目を迎えたチームエトワール。最終戦となる第4戦 Bol d'Or 24時間レースは、チームにとって特別な意味を持つ戦いとなった。前年、この地でシリーズチャンピオンに手が届く位置にいながら、午前10時台のエンジントラブルにより無念のリタイア。24時間完走という目標すら達成できなかった苦い経験が、チーム全体の大きな原動力となっていた。

今季はシリーズポイントでも前年より高い位置につけており、年間シリーズチャンピオン獲得が現実的な射程に入っていた。その目標達成のため、チームは最終戦 Bol d'Or に万全の体制で臨むこととなる。

チーム体制:総勢26名の結束

Bol d'Or には、4名のライダー体制で臨んだ。大久保光選手、渡辺一樹選手、伊藤元治選手、そして奥田教介選手がライダーとして名を連ね、チーム監督の市川貴志を中心に、総勢26名の体制が構築された。

チームスタッフはほぼ全員が日本人で構成され、このレースのために日本から駆けつけたメンバーと、現地フランス人スタッフが協力する形となった。メンバーはそれぞれが本業を持ちながら、休暇を取得できる範囲でスケジュールを調整し、世界選手権のレースを支えた。月曜日から入るメンバー、水曜日から入るメンバーと参加時期は様々だが、全員が同じ目標に向かって一丸となっていた。

レース前の準備:マシンとライダー

マシン準備の課題

チームエトワールは日本に2台、フランスに3台、合計5台のマシンで年間を戦う体制を採用している。この方針により日仏間でのマシン輸送は行わないが、第2戦 SPA・フランコルシャン終了後は第3戦鈴鹿8耐のテスト直前という慌ただしいスケジュールとなり、フランスのマシンは十分な整備ができないまま保管されていた。

Bol d'Or の1週間強前に現地入りし、メンテナンス対象のマシンが手つかずの状態から24時間耐久レースに向けて走行可能な状態に仕上げる作業が始まった。メカニックチームは複数のグループに分かれ、レースウィーク移動日の1週間前から準備を開始。それ以外のスタッフは基本的にレースウィークのみ参加し、フランスのワークショップに寄ることなくサーキット集合、サーキット解散というスタイルが取られた。

ライダーの準備

奥田教介選手にとって、Bol d'Or は Le Mans 以来久々の1000ccクラスでの参戦となった。普段乗車する機会のないマシンでの走行に向け、トレーニング内容に工夫が施された。フラットトラックを中心としたトレーニングに加え、より高出力のモタード車両に乗車し、体感覚をハイパワーマシンに適応させる時間を増やした。

24時間という過酷なレースに向けた体調管理も重要な課題だった。奥田選手は一昨年、3人体制で Bol d'Or を経験しており、その過酷さを熟知していた。今年は4人体制となるため相対的に負担が軽減されることが期待されたが、それでも休息可能な時間には確実に休息を取ることが最優先事項とされた。レース開始後は、ピットに戻った際には極力無駄な行動を避け、元気な状態であっても横になって休むことが徹底される方針が立てられた。

レースウィーク:天候と環境

南フランス特有の気候

ポール・リカールサーキットでの1週間は、概ね良好な天候に恵まれた。しかし前年は搬入説明日にホスピタリティのテントが強風で設営できず、屋根なしで夕食を摂るというハプニングもあった。今年の天候は非常に良好で走行しやすい1週間となったが、前年は特に風が強く、ライダーは風の有無によって走行方法を変更する必要があり、対応が困難だった。

南フランス特有の気候として、日中はからっとした気候で気温が高く、直射日光を浴びるとかなりの暑さとなる。一方、夜間はキャンピングカーの中でサーキット敷地内で就寝していると、深夜はかなり冷え込み肌寒くなる。このような寒暖差が特徴的で、スタッフの体調管理にも影響を与えた。

ミストラルの影響

この地特有の「ミストラル」と呼ばれる強風は、ライダーたちを悩ませる要因となる。今年は前年ほどの強風ではなかったものの、風向きによって高速コーナーでの挙動が大きく変化した。内側から風を受けて外側へ押し出される場合もあれば、逆に内側へ風が吹き、前日と同じタイミングでアクセルを開けても立ち上がりのラインが大きく変わってしまう現象が発生した。

比較的風は弱い年であったが、それでもポール・リカールは風の影響を強く受けるコースであることが改めて認識された。ライダーは常に風向きを意識し、それに応じて走行ラインやアクセルワークを調整する必要があった。

FP初日:限られた時間での適応

火曜日のFP初日は、ライダーにとってコースに慣れる貴重な機会だった。しかし今年は赤旗中断が多発し、セッションが早期に終了。急遽昼休憩時間に追加セッションが設定されるなど、予定外の展開となった。

伊藤元治選手は初めてのポール・リカールサーキット、奥田選手は2年ぶりの走行となった。限られた時間でいかにサーキットに適応するかが課題となったが、走行時間が限られているからこそ、事前準備の重要性が際立った。

現在はYouTubeで上位ライダーの車載動画が公開されているため、それを徹底的に視聴することで、実際の走行開始時における違和感や車両との差異を最小限に抑える工夫がなされた。奥田選手の場合は Bol d'Or が初参戦ではなかったため、実際の乗車時における高低差や、体感するGフォースといった感覚的な部分の記憶を保持していた。その感覚を想起しながら動画を視聴することで、実際の走行開始時の違和感を最小限に抑えることができた。

一方、元治選手のように初参戦のコースでは、動画視聴によりレイアウトは概ね把握できていても、実際の勾配、傾斜、バンク角などの感覚は大きく異なる場合がある。そこへの適応が、各ライダーにとって最も困難な課題となった。

予選:トップ3獲得への戦略

明確な目標設定

予選ではポールポジション獲得が目標として掲げられた。EWCでは予選上位5チームにポイントが与えられるため、最終戦でシリーズチャンピオンを狙うチームにとって極めて重要だった。

作戦は明確だった。大久保光選手と渡辺一樹選手に新品タイヤを投入し、2名に素晴らしいタイムを記録してもらうというもの。一方、伊藤選手や奥田選手は、火曜日の走行時間が非常に限られていたこともあり、コースへの完熟、感覚の獲得に重点を置いて予選に臨む方針が取られた。

波乱の展開

しかし予選では波乱が起きた。第1セッションで大久保選手が転倒、さらに伊藤選手も転倒により負傷してしまう。チームにとって少なからずダメージとなる結果となったが、最終的には予選2でマシンを修復し、大久保選手は自己ベストを更新するタイムを記録した。

最後は渡辺選手が素晴らしいタイムを記録。そしてグリーンライダーとして登録していた奥田選手が、決勝用マシンのセットアップを進めながら、決勝に向けて非常に高いアベレージラップを記録することができた。両名とも素晴らしいタイムを記録し、奥田選手が決勝に向けて高いアベレージを示すことができた予選となった。

結果は予選3位。シリーズチャンピオン争いにおいて重要な3ポイントを獲得することができた。

決勝序盤:優位性の発揮

スタートからの好展開

土曜日15時(現地時間)、24時間の戦いが始まった。チームエトワールの強みである燃費性能が早速効果を発揮する。当チームは他チームと比較して燃費性能に優れているため、1時間ごとに発表される途中経過順位において、1時間経過時点、2時間経過時点、3時間経過時点と、スティント、給油タイミングおよびライダーの走行速度を総合的に勘案すると、SSTクラスの中で1位を維持するという良好な展開となった。

ラップタイムについては、ゼッケン9番の Tecmas MRP が当チームより速いタイムを記録していたが、無理にそこでペースを上げてリスクを負うのではなく、淡々と24時間レースをまずはしっかり完走することをベースとしながら、その中でできるだけコンスタントなラップタイムで走行することを基本方針とした。

燃費性能がもたらす優位性

燃費性能の優位性は、耐久レースにおいて大きなアドバンテージとなる。燃費が優れているため1スティントあたりの走行時間は長くなり、ライダーにとって1スティントの負担は増すものの、他のライダーが走行している間の休息時間も長く確保できるため、総合的には体力を回復しやすい。また、リスク管理のために多少ペースを抑えて走行しても、ピット回数が少ないことで順位の優位性を保つことができる。これはライダーにとって非常に走りやすく、大きな強みとなった。

ピットワークの完成度

メカニックによるタイヤ交換、給油作業等のピットワーク時間も、SSTクラスの中でトップクラスの速さを実現できた。前戦鈴鹿8耐では優勝したものの、2位との差は僅差であり、特に8時間の中で数回のロスタイムが発生していた。そのロスタイムの中で大きかったのがピットワークのミスで、チェーン脱落等により合計3分から4分程度のタイムロスが発生していた。

今回はそういった事態を避け、完璧な作業を実現するために、メカニックが自主的に事前の入念な訓練、練習を重ねてくれた。その結果、Bol d'Or に関しては、前戦鈴鹿での印象を完全に覆すような、非常に完璧で安定した高速なピットワークを実現できた。序盤は安心してレース展開を見守ることができる状況だった。

8時間経過:チャンピオンへの道

重要なポイント獲得

8時間経過時点でチームは2位を記録した。EWCでは8時間経過時点でも上位にポイントが与えられるため、これは極めて重要な結果だった。予選では3位を獲得し、8時間経過時点では2位という結果により、それぞれポイントを獲得することができた。

シリーズチャンピオンの可能性

当然ながら上位であることが重要だが、当チームが真に対峙していたのは、シリーズチャンピオン、シリーズポイント獲得という観点から、ゼッケン55番のチーム、およびゼッケン41番のチームだった。レースウィーク開始前は、実質的に当チームが3位の位置にあった。

これらのチームに対してより上位で通過することが重要となる。したがって予選においても、決勝の8時間経過時点においても、それを達成することができた。レース前はトップとの差が17ポイントだったが、予選および8時間経過時点のポイント獲得により、24時間完走に向けて、シリーズチャンピオンの可能性が十分に高まった8時間経過時点であったと言える。

レース中のトラブル対応

小規模トラブルへの対処

最終的にはエンジン破損によりリタイアとなったが、そこに至るまで、比較的安定してロスタイムもなく走行を継続できた。ただし24時間耐久レースは、マシンに対しても非常に大きな負荷がかかるため、全くトラブルなく走行を完了するということは、基本的に各チーム想定しづらい。何らかの部品が破損し、それに対する修復を行いながら走行するというのが24時間レースの特性である。

当チームでも、修理時間は約15秒程度で済む部品の破損が発生した。それをどのスティントで修理するのが、チームとして安全面、および競技としてシリーズチャンピオン獲得に向けて最適なタイムで走行できるかというバランスを考慮しながら判断する必要があった。

コミュニケーションの課題

ライダーが走行してピットに戻った際、奥田選手がトラブルの状況をチームおよびメカニックに伝えた。その場で修理することが最善なのか、あるいは次のライダーが走行し、その間に次回以降のスティントで最短時間でパーツを修復する計画を立てるかという二つの選択肢を迅速に判断する必要があった。

そこのコミュニケーションに10秒ほど要してしまったが、まずは一度その場では送り出し、改めてその後、次回以降のスティントで修理をするという対応が取られた。今後に活かせる改善点として、まさにその場で修理が必要なのか、次回以降のスティントに延期可能なのかという判断に10秒を要してしまったため、次回はこの10秒をなくすようなコミュニケーションルールを確立したいと考えられている。

こういった点がまさに24時間耐久レースにおいて、走行時間以外の数秒をいかに削減して24時間を完走するかという戦いであり、ライダーが高速走行するだけではない耐久レースの魅力である。こういった改善を進めていくことに、大きなやりがいが見出されている。

無念のリタイア:11時間での終焉

順調に周回を重ね、シリーズチャンピオンが視野に入ってきた11時間経過時点。無情にもエンジンが破損し、チームは万事休すとなった。

2年連続のエンジントラブルだった。対策として昨年から回転数を抑制し、スプロケットをロング化するなど、エンジンへの負荷を軽減する様々な対策を講じてきた。しかし残念ながら前年よりも短い時間、11時間経過時点でエンジンが破損するという結果となった。原因は外観からの観察だけでは判明しないため、この後詳細に調査を進める予定となっている。

ライダーパフォーマンス:3人体制の連携

予期せぬ3人体制

今回は予選で伊藤元治選手が負傷して離脱したため、3人体制となった。基本的にはマシンに大きなトラブルは発生しなかったため、ライダー交代の度に、前走者から注意すべきポイントをひと言ふた言もらいながら、順調にローテーションを継続することができた。

高いペースの維持

ペースに関しても、渡辺一樹選手、大久保光選手が非常に高速で走行してくれており、奥田選手も予選タイムを早々に更新し、ベストタイムを走行ごとに更新できていた。本当に順調に周回を重ねることができた状況だった。

各ライダーの評価

伊藤元治選手は、今回ポール・リカールサーキットへの初参戦だったが、最終的には負傷により離脱することとなったものの、フリープラクティスから予選まで良好なペースで走行できた。

予選のペースに関しては、ゼッケン777番とゼッケン9番が当チームより明らかに速く、単発のタイムアタックという観点では辛うじて3位という結果となった。しかしレースにおいては、3人の合計タイムとしてしっかりトップ争いを展開できており、非常に安心して見守ることができる決勝展開だった。

データ活用:チームの技術的優位性

ITツールの戦略的活用

チームエトワールの強みの一つが、データとITツールの活用である。EWC参加全チームが希望すれば利用可能なものだが、ITS Live というタイミングモニターシステムがあり、ITS Chrono Software より有料でAPIによるデータ提供が行われている。

そのAPIから自チームのデータ、およびライバルチームのデータ、走行タイム、ピット時間等、あらゆる情報がデータとして、かつリアルタイムで取得可能である。

発展途上の取り組み

当チームが活用しているのはその中の一部に過ぎず、まだこの取り組みを開始したばかりである。したがって、現在は大量のデータが取得できているものの、その中の一部しか活用できていない状況を、より24時間レースの進行において戦略的に活用できるよう、アプリケーションを改善していきたいと考えられている。

将来的にはそのデータを基にAIに戦略判断をさせ、それを人間が最終的に承認して実行するというようなチーム体制を構築できれば理想的だと考えられているが、これはまだ数年先の展望である。

まずはその大量のデータの中からレースにどのように効果的に活用していくかというところを試行錯誤している段階だ。ただしその範囲内でも十分に活用可能なデータが多いため、当チームは他チームと比較して、情報とデータに基づいたレース戦略を構築できていると考えられている。

総合的な戦略準備

マシンのセットアップや決勝レースに臨むまでのメカニックの活動、そしてマシンをセットアップするエンジニアの技術力、そしてライダーがそれを評価するという面においては、チーム一丸となって良好なマシンを決勝グリッドに並べることができた。

そして戦略面においては、当チームが本来強みとしているITツールの活用がある。こういったITツールやWebデータなどを使用して事前に計算、予測、過去データからの引用、こういった手法を用いて戦術面において準備を行った。例えばセーフティカー導入時にはピットインすべきか否かという判断など、詳細をお伝えすることは困難だが、様々な局面への準備が行われた。

そして、決勝中にそういったトラブルが発生した場合や、どのような燃費性能、そしてライダーのアベレージラップで戦うかというところにおいても、十分な事前調整を行った上で、決勝レースに臨むことができた。11時間で決勝レースをリタイアするまでの間は、完璧とは言い難いものの、非常に良好な形で決勝レースを展開できていた。課題はいくつか今後の振り返りの中で明確になる部分もあるが、当チームが目指していたレース展開がまずは実現できており、課題はそれほど多くないという印象である。

2025シーズンの総括

数字で見る結果

最終的なシリーズ結果は5位、86ポイント。1位は前年に続きゼッケン55番の National Motos が125ポイントを獲得し、約40ポイント差となった。年初に掲げていた目標は、前年達成できなかったシリーズチャンピオン獲得だったため、最終戦のリタイアにより達成されず、最終的には86ポイント、5位という結果となった。

チーム力の向上

数値目標、定量的な目標としては達成できなかったものの、その一方で初年度と比較して大きな成長があった。心の準備、レース戦略、レースに向けた準備、それからレース中にイレギュラーな事態が発生した際の迅速な対応力、そしてメカニックのレース中のピットワーク時間についても、全般的に当チームのチーム力は2年目で大幅に向上した。

結果だけを見ればシリーズ5位という結果に終わったが、24時間レースの完走はできなかったものの、第1戦では Le Mans 24時間を4位で完走することができ、第3戦の日本でのホームラウンドである鈴鹿においては優勝を果たすこともできた。充実した1年であったと総括できる。

来季への展望と決意

基本方針の継続

2026年シーズンも引き続きスーパーストッククラスで参戦し、シリーズチャンピオン獲得を目指す。2025年が終了したばかりで、2026年の具体的な計画はまだ策定段階だが、引き続き今年と同様のスーパーストッククラスでの参戦、および2年連続で達成できなかったシリーズチャンピオン獲得を目指すことは基本方針として明確である。

その上でさらにどの部分を強化していくか、またSSTクラスはエンジンがノーマル仕様のため、今年のようにエンジンが破損した場合に、EWCクラスのように例えばエンジンを設計段階から見直すということもできない。当チームが実施できる対策は比較的限られている。

そのような制約の中で、特に最終戦 Bol d'Or をいかに完走するかというところは困難だが、チャレンジのしがいがある課題だと位置づけられている。

日本のファンへの期待

世界耐久選手権は、このような当チームの配信や発信、また様々なチームが日本人選手を出場させたり、同じBMWを使用するチームが Bol d'Or に参戦したりと、鈴鹿8耐と縁のあるチームは多数ある。しかしシリーズ全戦にも徐々にチャレンジするチームが、過去にもこれからも出てくると考えられる。

より日本のファンには、耐久レースというものが親しみやすく身近に感じていただけるのではないかと期待される。できれば現地まで Le Mans や Bol d'Or、SPA といった会場まで足を運んでいただき、また現地に足を運びにくい場合においても、シリーズ戦を当チームの活動を通じて一緒に追いかけていただきながら、鈴鹿8耐を迎えたり、そしてチャンピオンの行方までをシーズンを通じてより注目していただけると、参戦するチームも増え、より日本人が盛り上がる世界選手権となるのではないかと考えられている。

おわりに

2年連続で Bol d'Or での無念を味わったチームエトワール。しかし、その過程で積み重ねた経験、データ、そしてチーム力は、確実に次のステージへの礎となっている。耐久レースの魅力は、速さだけでなく、戦略、チームワーク、そして24時間という時間との戦いにある。

2026年、チームエトワールは再び世界の舞台に挑む。今度こそシリーズチャンピオンのトロフィーを手にする日を信じて。

Team Etoile 2025 Final Results
・第1戦 Le Mans 24時間:4位
・第2戦 SPA・フランコルシャン24時間:4位
・第3戦 鈴鹿8時間耐久:優勝
・第4戦 Bol d'Or 24時間:エンジン故障によりリタイヤ
・シリーズランキング:5位(86ポイント)

ライダー 大久保光

「ポイントランキングの状況から、最低限、常に41番と55番の前方を走行する必要があることは認識していました。スタートから119番のライダーが良いペースで走行しており、以前一緒に走ったことのある速いライダーでしたので、後方を確認しながら我々2台が一歩抜け出した状態を保ち、燃費を稼ぎエンジンを温存する走行を心がけました。追い抜くことも可能でしたが敢えて抜かず、良いペースメーカーを得た形となりました。最終的にチームが予想していた以上の燃費効率を達成し、2~3周長く走行できたため、第1スティントでは良い仕事ができたと考えています」

「第2スティントは中古タイヤでの走行でしたが、1分55秒前半でラップすることができ、SSTクラスの中でも良いペースで走行できました。夜間にはブレーキトラブルが発生し、ペースを上げることはできませんでしたが、粘り強く走行を続け、1分55~56秒で周回することができていました。良いペースを維持できていただけに、リタイアという結果に終わったことは非常に悔しく思います。今回は世界一を獲得する意気込みでレースに臨んでいたため、本当に悔しいの一言に尽きます」

ライダー 渡辺一樹

「序盤はCHAMPION-MRP-TECMASが非常に良いペースで走行しており、トータルでは遅れをとる形となりましたが、自分のスティントでは多少の差を詰めながら走行できた場面もあったため、自分の役割は果たせたと考えています。ただし、8時間時点でポイント首位を獲得できなかった点を考えると、より大きなアドバンテージが必要だったため、自分自身の力不足も感じています。何よりも完走できなかった時点で、我々に何が不足していたのか、レース終了後からずっと考え続けています」

「(エンジンが故障した時は)ケアを受けながら画面を見ていましたが、暗い映像が映し出された時点で、白いツナギにアライヘルメット……。非常にショックでした。このEWCは年間4戦しかない中で、24時間レースの占める重要性は極めて大きいです。今年はル・マンで完走を達成したところから始まり、反省すべき点は多数ありましたが、昨年からの対策としてアルファレーシングもチームも様々な準備をしてくれた上で今回のイベントに臨んでいたため、結果に繋がらなかったことは、全員が悔しい思いをしていると考えています」

映像を見た時点である程度はリタイアを覚悟していました。ボルドールはレース開始前からそのような可能性を十分に考慮すべきレースですので……。全てを整理できているわけではありませんが、終了した瞬間から現時点までストレスを感じています。映像を見た瞬間から、何ができたのだろうと考え続けています。2年連続でのリタイアであり、良い戦いができている中での"またか"という状況は、精神的に非常に厳しいものがあります」

ライダー 奥田教介

「終始1位2位を争う展開が続いていました。チーム・エトワールは燃費効率が良好だったため、他チームよりもピットストップ回数が少なく、8時間経過時点では2位で通過することができました。その後2~3時間経たずしてマシンが停止してしまいました」

「3コーナーのブレーキング時にシフトダウンした際、異音が発生し、トラクションコントロールが作動し続けているような音でした。トラクションコントロールをオフにしても改善されなかったため、エンジントラブルだと判断し後方を確認したところ、サイレンサーから煙が出ていました。これでエンジンが故障したと確信しました。サイレンサーからのみ煙が出ていたため、どうにか早めにピットへたどり着こうとコースの端を走行していましたが、あの煙の量ではオレンジボールの提示は避けられませんでした」

「渡辺選手も大久保選手も極めて良いペースで走行しており、私自身も予選のラップタイムを更新するペースで走行できていました。メカニック陣もほぼトラブルなく、他チームより速いピットワークを遂行してくれていたため、本当に順調でした。その矢先にエンジンが故障したため、非常に悔しく思います。これが24時間レースの厳しさですので、来年機会があれば、再びリベンジしたいと考えています。皆様、ご声援ありがとうございました」

チーム代表 市川貴志

「2年連続でボルドールでのエンジントラブルによるリタイアとなり、シリーズチャンピオン獲得という目標を達成できませんでした。予選3位、8時間経過時点で2位と、レース展開は理想的でしたが、11時間でエンジンが破損し万事休すとなりました。昨年から回転数抑制やスプロケットのロング化など様々な対策を講じましたが、結果に繋がらなかったことは痛恨の極みです。しかし、チーム力は初年度と比較して大幅に向上しており、ル・マンでの4位完走、鈴鹿8耐での優勝など、充実したシーズンでもありました。SSTクラスではエンジンへの対策が限られますが、この制約の中でいかに24時間を完走するかは、困難であると同時にチャレンジのしがいがある課題です。来季も必ずシリーズチャンピオンを獲得し、この2年間の悔しさを晴らしたいと思います」

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