写真・文/中村浩史
ようやく猛暑も収まった感のある10月。いよいよ全日本ロードレースも残り2戦、第6戦・岡山大会は今週末10月4~5日に行なわれます。JSB1000クラスでは“絶対王者"中須賀克行による13度目の全日本チャンピオン獲得が確実視されるなか、ここまで目立った活躍ができなかった「アノ選手」が表彰台登壇を狙っています。
中須賀がレースを支配し、野佐根、津田、水野が迫る
前戦オートポリス大会で2戦2勝(=ダブル)を決めた、ヤマハファクトリーレーシングの中須賀克行。これで4戦7レースのうち4勝を挙げてランキングトップをキープ、2戦3レースを残して、ランキング2番手の浦本修充(オートレース宇部レーシング)に86ポイントの差をつけています。
つまり、この岡山大会で8ポイントを獲れば中須賀のチャンピオンは決定。8ポイント獲得は8位なだけに、アクシデントがない限り、中須賀が8位以上でフィニッシュするのはほぼ確実。さらに、タイトル決定の対象である浦本が、ボルドール24時間耐久帰りで、予定どおりに岡山大会を欠場すると、その時点でタイトル決定の対象者が伊藤和輝(ホンダドリームRT桜井ホンダ)にかわり、今度は2ポイント獲得=14位フィニッシュでタイトル確定となります。
「計算上のタイトルのことはもちろん考えていないけど、天候や予選状況、それにレース中のどんな状況でも対応できるようにしっかり準備をして、その状態で最高のパフォーマンスを出せるように走るだけ。その結果が優勝だし、その結果でチャンピオンが決まるなら、そんなに嬉しいとこはないです」と中須賀。13回目のタイトルとなると、もちろんタイトルに向かって努力はするものの、準備をして、それを結果にして、そのエンディングがレース順位というわけでしょうね。
現在の勢力図から見ても、レースはやはり中須賀を軸に進み、野佐根航汰(AstemoプロホンダSIR)と津田拓也(チームスズキCNチャレンジ)、水野涼(DUCATIチームカガヤマ)がトップ争い、そこに伊藤や岩田悟(チームATJ)が絡んでくる展開となりそう。そして最後には中須賀が……というのが岡山大会の見立てです。
期待したいのは、いまだ菅生大会の事前テストで転倒、負傷の影響を引きずっているように見える水野です。水野は鈴鹿8耐を経て、1レースごとに走りがケガ以前に戻っている印象を受けますが、オートポリス大会ではケガの影響はもちろん、それ以外にも車体セットアップに手間取り、レース1で11位、レース2で4位という結果に終わりました。これは、水野本来の走りではありません。
ここから先は完全に筆者の妄想なのですが、ケガ、特に肩の負傷は、特にブレーキングに負担がかかるものです。水野が得意とするハードブレーキングができない状況では、ブレーキングポイントが変わり、タイヤのパフォーマンスが引き出せず、車体のセットアップにも影響が出てくるものです。
かのバレンティーノ・ロッシが2010年のイタリアGPで転倒して脛骨を骨折し、肩を負傷したのちに「脛骨はサッカーをやるわけではないから大丈夫。それより肩の負傷のほうが、走りのリズムを作れない」と言ったあの時と同じ状況に思えるのです。
今は無理をせず、万全の状態での水野のスピードを、また見たいと思います。
得意なコース、不利が消える季節
そして、もうひとり別の注目ライダーがいます。それが、ダンロップタイヤを履く長島哲太(ダンロップレーシングwithYAHAGI)です。長島は、現在の全日本ロードレースでは少数派であるダンロップタイヤの開発をかねて実戦出場していて、レースごとに上位を走る時間が多くなっているな、という印象。いよいよ気温が下がり始める岡山大会こそ、長島のジャンプアップのチャンスなのです。
現在、ダンロップタイヤが、圧倒的多数であるブリヂストンタイヤ勢に劣っているのは、やはりタイヤライフ。レース序盤はペースがよくても、周回を重ねるごとに消耗が大きく、レース後半に勝負ができない、というシーンがよく見られます。
その要因のひとつが気温と路面温度です。タイヤがグリップし、タイヤライフにもかかわってくるのは、やはり路面舗装のグレードと路面温度で、ダンロップタイヤの強い面は、やはりタイヤの温まりが早いこと。このウォームアップ性とタイヤライフがバランスで、ダンロップタイヤはウォームアップが早く、ライフが短いとされているのです。
思い起こせば2024年の開幕戦・鈴鹿2&4。ウィーク中に雪もちらつく低温となったこのレースで、予選日前のフリー走行で、長島はトップタイムをマークしました。この後、予定されていた公式予選は、路面温度の低さを理由に中止されてしまいましたが、あのコンディションでの長島の速さは、やはり現在のダンロップタイヤのストロングポイントを証明するものでした。
その長島は、鈴鹿8耐明けのもてぎ大会、オートポリス大会と、一時的ながらトップグループを走る時間帯が増え、その時間もレースごとに増えている、そんな印象です。
もちろん、その走りは長島のスキルがあっての話なのですが、岡山国際サーキットといえば、2023年の大会で、ST1000クラスにスポット参戦した長島が、いきなりトップ争いをしたサーキット。その時に「岡山国際サーキットは海外のコースっぽいレイアウトで、かなり好みです」と語っていたのを思い出します。
岡山大会の決勝日、気温が低く、路面温度が下がれば、これは長島のジャンプアップするシーンが見られるかもしれませんね。
いよいよ25年の全日本ロードレースも残り2戦。観戦するには最高の季節の岡山大会にぜひ、おいでください。
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