1990年代に国内外のロードレースでその名を轟かせた青木三兄弟の次男、青木拓磨氏。全日本で王座に輝いた後、世界グランプリの500ccクラスにステップアップし、これからという時に1998年のテスト中の事故で下半身の自由が効かない身体になってしまい、現在は車いすレーサーとして4輪レースへ転向し、2023年のアジアクロスカントリーラリーでは総合優勝も遂げています。
この夏も熱い戦いを繰り広げた鈴鹿8耐、「2025 FIM世界耐久選手権(EWC)第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会(8月1日~3日)」について語ってもらいます!
「青木拓磨のモータスポーツライフ」前回はコチラ!
“ケガ”に翻弄された鈴鹿8耐ライダー布陣
今年もいろいろなドラマが展開された鈴鹿8耐でしたね。大小さまざまなことが起きたかなと思いますが、そのキーワードとして挙げられるのが“直前のケガ”ではないでしょうか?
今年優勝した「ホンダ・レーシング(HRC)」は、MotoGPライダーのルカ・マリーニ選手の起用を考えていたんだけども、結局それが5月の事前テストで転倒して大怪我をしてしまって離脱。で、その後決まったイケル・レクオーナ選手が開催1週間前になってワールドスーパーバイク(WSB)第8戦ハンガリーのレース中に転倒して、やっぱり離脱。そのWSBチームメイトであるチャビ・ビエルゲ選手が、急遽招集されるが手続き上のトラブルにより参戦を見合わせとなって、最終的に高橋巧選手とヨハン・ザルコ選手の2人で戦うこととなりました。
さらに「オートレース宇部」も、今回浦本修充選手とロリス・バズ選手、ハンネス・スーマー選手という3名で参戦予定だったものの、スーマー選手がIDMスーパーバイク選手権で怪我をしてしまい参戦見合わせ。8耐本番直前の7月30日のテスト走行でチームは2名のライダーを召集しオーディションを行い、デイビー・トッド選手が決定。イギリスのマン島での覇者でもある彼が初めての鈴鹿で参戦をする形となりました。
と今回は鈴鹿にやってくる予定のライダーたちが直前にケガを負い、そんな中でのバタバタでのレースになったかなというのが正直な感想ですね。
例年稀に見る暑さの8耐、そして2人体制
今年は、ヤマハワークスが、6年ぶりに鈴鹿8耐に帰ってきて、そういう部分では、ホンダワークス、ヤマハワークスが久しぶりに揃ったレースとなりました。それによって、MotoGPライダーであるヨハン・ザルコ選手がホンダHRCから、YAMAHA RACING TEAMではジャック・ミラー選手が招集され、MotoGPライダーがこの8耐に来たっていうところでも話題になったのかなと思います。
決勝レースは、過去イチ、その気温も湿度も高かった。しかもレースウィークを通して雨が全く降らない一戦でしたね。そんな中、今回見てて思ったのが、平均ラップタイムが全体的に上がったなという印象です。その要因として挙げられるのが東コースの路面改修。これによって、今まで荒れていた3コーナーとか、デグナーとかの路面が非常に綺麗になって、グリップが上がったことによって、全体的なラップタイムの向上に繋がったんじゃないかなと思います。、ポールポジション獲ったHRCも2分4秒の前半という非常にいいタイムでしたし。こぞって2分4秒台から6秒台を連発してて、近年稀に見るそのタイムアップはありましたね。
そんな中始まった8時間耐久でしたが、序盤は「SDG Team HARC-PRO. Honda」の國井勇輝選手が気を吐いてトップを快走していました。今年Moto2で走っている彼ですが、そのMoto2では結果が出なくて、なかなか鬱憤が溜まっていたっていうところもあり、この8耐にかける意気込みというのは非常に高かったのかなっていう印象を受けましたね。
ホンダとヤマハのワークス勢も速さを見せ、一進一退の戦いをしていました。ただ、やっぱりレースを進行していく上で、HRCはヤマハに対して常にアドバンテージを持ち続けていたっていうところが今回のポイントじゃないかなと思います。レース終盤には2度のセーフティーカー(SC)導入がありました。
鈴鹿8耐って、僕が参戦していた1990年代は基本的には2人体制というのが当たり前でしたけど、2000年くらいから3人体制が主流になってきました。そんな中でHRCの2人体制は、やはり体力的にもきつかったということは聞いていますが、そのセーフティーカーがあったからこそ、なんとか持ったっていうことも言えるかもしれません。
高橋選手とザルコ選手は2人体制で走り切って優勝を成し遂げました。以前ならチームから2台、3台参戦させて、誰かが潰れても誰かが生き残るという作戦がありましたが、現在は1台体制で勝ってきていて4連覇がかかっていたわけで、すごいプレッシャーだったと思います。ライダーの力量はもちろん、その走りを支えるチーム力っていうのを、まざまざと今回見せつけたのかなと思いましたね。そのHRCに屈した形になってしまったヤマハもお見事、でした。レースが終わってからお互いを称え合えるようなシーンも見られたんで、すごいなんか清々しいレースだったかなという風にも思いましたし、またね、この熱い中現地に応援にかけつけて来てくれた人たちもすごい大変だったと思います。
予選3番手からスタートした「オートレース宇部」チームは、最初のスティントで2番手を走行して好調でした。急遽参戦となってその週に初めて鈴鹿を走ったデイビー・トッド選手にしてみればすごく不安なところもあったと思いますが、それでもたまに2分9秒台にまでタイムをあげながら、彼のパートをしっかりとこなして非常にいいパフォーマンスを見せてくれたんじゃないかなと思いました。ロリス・バズ選手とのやり取りや、チーム内でのコミュニケーションが非常によかったんじゃないかと想像できます。チームとしては初の表彰台獲得を目指していたのですが、過去の記録を更新することはできず、最終的には6位。でも上位が潰れていない中の6位ですからプライベーターチーム3年目の成績としてはすごい、のひと言。オートレース宇部ファミリーの僕としてもすごく誇りに思う結果だったかなというふうに思います。
青木拓磨のモータースポーツチャンネル
(https://www.youtube.com/channel/UC6tlPEn5s0OrMCCch-4UCRQ)
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