8月3日(日)の2025FIM世界耐久選手権(EWC)第3戦「鈴鹿8時間耐久ロードレース」。EWCシリーズの一戦だが、このラウンドはフル参戦チームのみならず、ロードレース選手権MotoGPやスーパーバイク世界選手権(WorldSBK)、もちろん日本国内のライダーも参戦する世界的に注目を集める夏のレースだ。EWCとしては最終戦に向けてチャンピオン獲得の可能性があるチームが絞られる。そんな鈴鹿8耐の開催直前の今、レースの見どころや注目チームをピックアップしてレポートしたい。
目次
■鈴鹿8耐の基本情報とレースの見どころ
開催地は日本の三重県にある鈴鹿サーキット。フランス、ベルギーで他のEWCラウンドが行われるためヨーロッパチームとしてはフライアウェイで、日本チームが多く出場する。日本から見れば夏の祭典としてメーカー直結のファクトリーチームも出場するため鈴鹿8耐のみ一気に注目度が上がる。世界的にもそれが特殊なようでMotoGPやWorldSBKファンも鈴鹿8耐が好きな方が多い。
二輪レースのコースは一周が5.821km(四輪レースは5.807km)、コーナー数が20ある。四輪レースとほぼコースレイアウトは同じだが、ヘアピン後に二輪専用シケインがあり、最終のAstemoシケインは二輪が手前、四輪が奥とラインが違い、2カ所のみ異なる。また、立体交差が設けられており8の字のレイアウトで、右回りと左回りの両方の要素を持つことでこのサーキット自体が珍しい。
歴史のある大会で、1978年から開催されているが、2020・2021年のコロナ禍のみ中止に。2022年からはカレンダーに復帰しており、今年2025年が46回大会となる。開催時期は例年7月下旬から8月上旬の夏。近年は猛暑のため開催時期の変更が検討されており、まだ夏の開催はしばらく続きそうだが、秋以降の開催になる前に一度は現地での観戦をオススメしたい。
直近3年のウイナーはTeam HRC(今年のエントリー名はHonda HRC)。最多周回数は2024年の220周、ベストラップは予選が2022年にTeam HRCの長島哲太が記録した2分04秒934、決勝は2019年にKawasaki Racing Teamのジョナサン・レイが記録した2分06秒805だ。
メーカー別勝利数はホンダが30回、ヤマハが8回、スズキが5回、カワサキが2回。海外メーカーの優勝はないが、近年はBMWやドゥカティも速さを示しているためいつ勝ってもおかしくない状況だ。
■レースウイークのスケジュール
2025年は7月28~29日(月火)が搬入日、30日(水)に公式テスト、31日(木)に車検が実施され、8月1~3日(金土日)の3日間がレースウイークとして設定される。1日(金)はフリー走行、2回の予選、ナイトフリー走行、2日(土)はフリー走行とトップ10トライアル、3日(日)はウォームアップ走行と8時間の決勝レースだ。
トップ10トライアルは鈴鹿8耐のみ行われるセッションで、予選上位10チームのみが1台ずつ走行してグリッドを決める珍しいタイムトライアルだ。コース外でも2・3日は音楽ライブやトークショーを観ることができる8FESステージ、前夜祭、ピットウォーク、決勝後ホームストレート開放などがあり、現地ではさらに楽しめる。現地に来られない方はテレビ観戦やライブビューイングもあるため是非検索してほしい。
■エントリーチーム情報
2025年の鈴鹿8耐は55チームがエントリーした。コロナ禍前は60チーム越えが当たり前で、2022年は45チーム、2023年は50チーム、2024年は46チームと少し減ったが、今年は昨年から9チーム増となった。
●ファクトリーチーム
メーカーが直接運営するレーシングチームはHonda HRC(ホンダ)、Yamaha Racing Team(ヤマハ)の2チームだ。参戦クラスはFormula EWCだ。
Honda HRCはコロナ禍以降、直近で3連覇しており優勝候補の1チームだ。今年は最多優勝回数の記録を持つ高橋巧、MotoGPライダーのヨハン・ザルコ、WorldSBKからイケル・レクオーナでエントリー。しかし、レクオーナは直近のレースで怪我をしたため同じくWorldSBKのチャビ・ビエルゲが代役で参戦する。ビエルゲは2023年にも参戦して優勝しているため、ライダー変更はあったが非常に強力なトリオで出場することが叶った。
Yamaha Racing Teamは2019年以来6年ぶりに復活した。2015~2018年まで連覇を遂げており、全日本ロードレース選手権では常にトップを走るチームだ。ライダーは全日本ロードJSB1000で何度も王者になっている中須賀克行、MotoGPライダーのジャック・ミラー、WorldSBKからアンドレア・ロカテッリが参戦する。チームとしてブランクがあるためどこまでマシンのセットアップが詰められるかがカギになるが、ライダーラインアップはHonda HRCと同様に豪華だ。また、YAMAHA FACTORY RACING TEAMではなくYamaha Racing Teamとしてエントリーするのは、ヤマハ創立70周年で過去のレースをオマージュしており、マシンも赤と白をベースとしたデザインに変わる。
●フル参戦のトップチーム
Formula EWCクラスにエントリーする年間エントリーチームは9チームだ。そのなかでも常に表彰台やチャンピオン争いに絡むのはYoshimura SERT Motul、F.C.C. TSR Honda France、YART - Yamaha、Kawasaki Webike Trickstar、BMW Motorrad World Endurance Teamの5チームだ。
第1戦ル・マン24時間、第2戦スパ8時間の表彰台はこのなかのチームが獲得している。Yoshimura SERT Motulのみ今年はまだ表彰台に上がっていないが、昨年のチャンピオンチームであり鈴鹿8耐第1回大会から参戦している歴史あるチームのためこの5チームの熾烈な争いも注目だ。また、年間チャンピオン争いもしているため、EWCとしての戦いとしても覚えておいてほしい。
今年からこの5チームすべてがブリヂストンタイヤを履くことになった。鈴鹿8耐ではブリヂストンタイヤ装着チームが2006年から17大会連続で優勝しているため表彰台を狙うなら真夏のスペシャルタイヤを使用することが絶対条件となる。
そのほか、Tati Team AVA6 Racing、ERC Endurance #6、ELF Marc VDS Racing Team/KM99とプライベーターながら元MotoGP、元WorldSBK、海外選手権チャンピオンなどを揃えたチームもシングルフィニッシュを狙ってくるため見逃せない。また、Motobox Kremer Racing #65は鈴鹿8耐では大阪のFavorite Factoryと組んで戦う。
●強力な日本チーム
フル参戦チームやファクトリーチームを含めてFormula EWCは36チームがエントリーする。上記の他、25組の日本チームも上位の争いに加わることは間違いない。昨年は序盤にトップにも浮上して決勝中のベストラップを記録したSDG-Ducati Team Kagayamaはプライベーターではあるものの、イタリアのドゥカティとも連携をとっており、2023年のWorldSBKで走ったファクトリーマシンを昨年から走らせている。耐久レース用のパーツはスーパーフォーミュラからの技術も応用して、チームが製作しており、片持ちスイングアームのパニガーレV4 Rの進化は止まらない。
BMWワークスエンジンを搭載したAutoRace Ube Racing Teamも全日本ロードJSB1000でいきなりトップ争いを展開するなど一気にトップチームに上り詰めた。フル参戦のBMW Motorrad World Endurance Teamと同様のパフォーマンスを見せることだろう。毎度シングルフィニッシュに入るS-Pulse Dream Racingは生形秀之の引退レースになるが、トップチーム経験者の濱原颯道、KTM MotoGPのテストライダーを務めるジョナス・フォルガーを起用するなど集大成として見逃せないチームだ。
2023年の表彰台獲得チームであるSDG Team HARC-PRO. Hondaは、昨年Team HRCで走った名越哲平、全日本ロードST600で2年連続王者の阿部恵斗、全日本ロードST1000王者で今年はMoto2を走る國井勇輝のラインアップとなり、日本の若手トップライダーを揃えた。Astemo Pro Honda SI Racingは全日本ロードJSB1000元王者の野左根航汰、全日本ロードST600元王者の荒川晃大、Moto3を走る山中琉聖の3名でホンダチームはどこも強い走りを披露するだろう。
その他、全日本ロードJSB1000チームであり、鈴鹿8耐にも常連のSanmei Team Taro Plusone with SDG、Honda Suzuka Racing Team、KRP Sanyoukougyo&RS-Itoh、TeamATJ with docomo Business、Marumae Team Kodama、Team BabyFace Titanium Power、Honda Dream RT Sakurai Hondaといった国内の上位の走りも観戦できる。
●スーパーストッククラス
マシンの改造範囲が狭く、タイヤはダンロップのワンメイクであるSUPERSTOCKクラスも忘れてはならない。チャンピオンシップとしては全4戦中の好成績3戦を合計する有効ポイント制をとるため、ヨーロッパ3戦のみの参戦が多いが、日本人ライダーを擁すチームとランキングトップのNational Motos Honda FMA、常連のWojcik Racing Team EWC #777 SSTもエントリーした。フル参戦は6チームで、日本からは12チームと計18チームが争う。
注目は昨年優勝して今年はエヴァンゲリオンレーシングとコラボしたTONE Team 4413 EVA 02 BMWで、星野知也、吉田愛乃助とWorldSBK経験者で第2戦スパ8時間では優勝しているレアンドロ・メルカドを起用するため2連覇を目指す。また、ピットストップタイムも非常に短く、このチームを超えるのは至難の業だ。
昨年2位のTeam Étoileはフル参戦チームとして大久保光、渡辺一樹、伊藤元治のトリオ。大久保と渡辺は海外経験が豊富でどんなコンディションでも乗りこなせる。伊藤は雨に強く第2戦スパ8時間では2スティント連続で走行したほどチームから信頼されている。昨年3位のTaira Promote Racingは若手の柴田義将、樽見隼、そしてイタリア選手権を走る川﨑祥吾を選んだ。
2023年のストッククラスの表彰台はNCXX Racing with Riders Club、Kawasaki Plaza Racing Team、Team Tatara Apriliaだったため、今年の展開は読めない。石塚健を擁するDafy-RAC 41-Honda、鳥羽海渡と芳賀瑛大を擁するHonda No Limits、21点差をつけてランキングトップを走るNational Motos Honda FMAなどの走りも気になるところだ。
●エクスペリメンタルクラス
Experimentalクラスからは今年もTeam Suzuki CN Challengeのみエントリー。スズキエースライダーの津田拓也、他のレースではヨシムラSERT Motulで走るエティエンヌ・マッソン、Moto2からアルベルト・アレナスを呼んだ。
今年はカーボンニュートラル燃料を40%から100%にし、ウイングレットの装着、カウルは天然繊維ボディだが着色をせずにマシンを作り上げた。環境性能を上げた走りを堪能できそうだが、なんといっても表彰台を狙えそうなタイムで走るのだから大注目だ。
■まとめ
Honda HRCが連覇を果たすか、復帰一発目でYamaha Racing Teamが頂点に返り咲くのか、それとも近年強力なEWCフル参戦勢か日本のトップチームなのかどこが表彰台に立ってもおかしくない2025年の鈴鹿8耐。スーパーストッククラスの争いも激しくなること間違いなし。しかし、週末は台風が近づいており天候もまだわからない状況だ。さらにこの週末からワンメイク燃料のELF MOTO2 FIMを使用することになるので多少の燃費計算が異なることだろう。
転倒なく、トラブルなく、そして最後に1番にチェッカーフラッグをうけるのはどのチームだろうか!?
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