
皆さんこんにちは。モータースポーツ総合エンターテイナーを勝手に名乗ってる濱原颯道です。今回は僕にしては珍しく、本業であるロードレースの事について書こうかと思います。
Webikeの記事では僕は基本的にオフロードの事やオフロードタイヤについて書く事が多いですが、本業はロードレースというカテゴリで主にお仕事をしています。1000ccのスーパースポーツをかなり改造範囲が広いスーパーバイク仕様にした物に乗り、レースをしています。
昨年はSUZUKIのファクトリーチームが22年ぶりに鈴鹿8耐に復活し、エコやサスティナブルなアイテムを使用した「TEAM SUZUKI CN CHALLENGE」の第二ライダーとして参戦し、総合8位になりました。2021年には国内最高峰のJSB1000クラスでランキング2位になったりと、ロードレースではそんな経歴を持ちます。
目次
とんでもないタイミングでの乗車依頼
今年、僕はロードレースの乗車依頼が何もなく、全くの未定でした。2025年の鈴鹿8耐第1回テストが6/11.12に行われましたが、僕は6/5〜10までバルセロナにあるSTARK FUTUREの本社に行き、今後日本に入ってくるSTARK VARG EXモデルの話を聞いて、実際にそのEXモデルをバルセロナで乗っていました。なのでスペインに着いた時点で「今年の鈴鹿8耐はライダーとしての出番はないだろうな」と思ってました。
ですが最後の望みとして、帰国日を6/10の昼に成田空港に到着するように変更していました。6/11の夜に帰ってくれば30000円ほど安かったのですが(笑)
そうしたら、6/6の夕方にスペインの山でハードエンデューロをして遊んでいたところに突然着信が。今シーズン限りで鈴鹿8耐のライダーを引退される生形秀之さんから「11日のテスト、ウチのチームで走るの興味ある?」と聞かれ、二つ返事で「もちろんです!」と答えました。
そこからはもう大変で、10日の15時に成田空港に到着し、オフロードの装備を下ろしてオンロードの装備に積み替え、そのまま車で鈴鹿サーキットに向かいました。
舐めていた時差ボケ、そして昨年の8耐以来となるレーシングスピード
鈴鹿サーキット近くの宿につき、生形さん率いるエスパルスドリームレーシングの皆さんと軽く食事をしました。機内でも全然寝ておらず、疲れも溜まっていたので「今夜はぐっすり眠れるぞ」と思っていたのですが、時差ボケにやられて一睡も出来ずに走行日になってしまいました。
皆さん覚えておいてください、今いる場所より東に飛んで向かう時の方が時差ボケが起きやすいらしいです。今回とっても勉強になりました。
11日の9時から始まる1本目の走行の頃には眠気がピークでしたがそれとは関係なく、その日1日中雨予報だったので、エスパルスドリームレーシングとしては1本目の走行を見送りました。そして2本目のセッション。まずは生形さんが自らの手で組み上げたバイクを確かめるように走り始めました。
そして僕も乗り始める事に。約1年ぶりに乗る時速300キロ近く出るバイク、そして雨。時差ぼけによる眠気はさほど気にならなかったのですが、最初はやはり緊張しました。ですが僕は「このタイヤでこのバイクでこのバネレートなら何秒は出せる」って言う、半ば決めつけな思い込みが出来るので、そのタイムまでは比較的探らずに出す事ができます。計測1周目から比較的良いタイムが出せて、そのセッションは総合5〜6番手のSUZUKIのマシンでは最上位タイムでした(笑)
「最初から飛ばし過ぎ」と言われたり「やっぱ久々乗っても速いんだね」と言って貰えて、全ての言葉が僕にとって嬉しいものでした。
ドライコンディションでの2日目
2日目はドライコンディションとなりました。初日は雨だったので晴れよりは多少スロースピードからリハビリが出来ました(と言っても雨でも最高速は290キロくらい出ます)
計測1周目は2分11秒台。僕の中では「14秒くらいかな」と思っていたので順調な走り出しが出来たと思います。僕は今回エスパルスドリームレーシングのライダーとして採用されるかどうかのオーディションだったので、与えられた物を上手く乗ると言う事に徹しました。
その後も最近STARK VARGで鍛えたスロットルワーク(クラッチが無いから丁寧な操作が必要)を生かし、ニュータイヤを入れて人に引っかかりながらも2分7秒を出す事が出来ました。約1年ぶりなので8秒台が出せれば良いと思っていたので、僕としては今できる事はやれたかなと思っています。
そしてテスト後に生形さんから「今は8耐ライダーとしての合否を出せないけど、また来週のテストに来れる?」と言われて、6/18.19のテストにも参加する事に。
1週間後に行われた第2回8耐テスト
1回目の8耐テスト後にJNCC鈴蘭ラウンドに参戦しました。そして鈴蘭高原から直接鈴鹿サーキットに向かうと言う、中々ハードスケジュール。2回目のテストとなる6/18.19はいきなり気温が35度付近まで上がり、路面温度も60度以上となりました。8耐決勝にかなり近いコンディションだったので、僕としてはレースを想定したテストができると思って凄く楽しみにしていました。
18日の午後はロングランをこなし、2分8〜9秒で走り切れたので、体力的にも問題なさそうだなと思いました。つい2日前にJNCCを何事なく完走しきっていたので体力的には心配していません。ですがエンデューロは多少体重が重くても問題ないですが、ロードレースはなるべく軽い方が有利なので本番までには体重も落とそうと思っています。
19日の2日目にもロングランを行う予定でしたが、赤旗などもあり、決めていた周回数を走り切る事が出来ませんでした。あと最近心境の変化というか、以前桜井ホンダというチームで走ってた時は「ロングラン(25周)行ってこい」って言われたら本当に嫌がっていましたが、去年今年は「行ってこい」と言われたら「はい」と素直に応じるようになってました。大人になったのかなと思ってます。
結局この日はロングランが出来ずタイムアタックも出来なかったのでリザルトとしては下の方に沈んでいましたが、決勝を見据えたセットアップに作戦などを立てられたので、とても有意義な1日でした。
2回のテストを終えて
約1年ぶりにハイスペックなバイクをレーシングスピードで走らせても、今の僕の年齢だと割とすんなり乗れちゃうんだなって思いました。でもそれには「ここでブレーキ」「ここは何速で何回転回ってるはず」「このタイヤと車体の限界値は何秒」みたいな、決めつけという名の引き出しに、正確な情報を仕舞っておく事が最も大切だと思っています。コーナーやバイクに対して探りを入れつつ乗ってしまうと、テンポよくセッティングを進められないです。なので僕は今後もそんな感じで"探らないライダー"としてやっていこうと思いました。
エスパルスドリームレーシングから8耐に僕自身がライダーとして参戦するかどうかの発表は、もう少しお待ち下さい!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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