鈴鹿サーキットでは、いよいよ公式事前テストも始まり、いよいよ日本のロードレースは鈴鹿8耐(=ハチタイ)モードに突入していきます。6月7~8日には、世界耐久選手権・第2戦「スパ・フラコルシャン8時間耐久」も終わり、第3戦「鈴鹿8耐」がやってくるのです。

すでにご存じの通り、ハチタイは全4戦で行なわれる世界耐久選手権シリーズの第3戦。ここまで、シリーズはル・マン24時間、スパ8時間が終わり、ハチタイとボルドール24時間耐久を残すのみです。
ここまでの2戦、実に世界耐久らしい荒れた天候のなか、勝ったのは初戦がYARTヤマハ、そして第2戦はTSRホンダフランスが優勝。2戦を終えてのランキングは下記のとおりですが、これらのトップチームもハチタイに向けて準備を進めているのです。

世界耐久選手権 シリーズラキング(2戦終了現在)

① YARTヤマハ 88P
② カワサキWEBIKEトリックスター 70P
③ BMWモトラッド 69P
④ F.C.C.TSRホンダフランス 58P
⑤ ERCエンデュランス 58P
⑥ ヨシムラSERT MOTUL 52P

ランキング5位のERCエンデュランスのハチタイ参戦はなさそうですが、このトップチームが8月の鈴鹿に向かうのは確実。そのワールドランカーを迎え撃つ日本勢の陣容も徐々に明らかになってきました。
まず、今シーズンから全日本ロードレース参戦をスタートしたBMW M1000RR+浦本修充(オートレース宇部レーシング)の体制発表がありました。浦本を軸に編成されたチームは、日本でもおなじみのロリス・バズ、ハンネス・スーマーがトリオを結成。バズはチーム結成したての頃から「ハチタイに出たい」とアプローチがあったようで、スーマーは本業はBMWモトラッドのリザーブでしたが、先のスパ8耐にも別チームから出場していました。昨年のハチタイにはTONE RTから出場していましたね。

早速ライバルチームに脅威を与えたオートレース宇部! TeamATJ、桜井ホンダ、ハルクプロにも注目

チーム結成、世界耐久挑戦を発表してから、各国のライダーからジョインしたいとの連絡があったというオートレース宇部。事前テスト1回目では総合トップタイム! 写真:オートレース宇部SNSより

オートレース宇部はハチタイのあとボルドール24時間に挑戦! そのため次の全日本ロードレース参戦は最終戦・鈴鹿大会となりそう。写真は開幕戦・もてぎ大会のもの。

このオートレース宇部が使用するBMW M1000RRですが、何度もお伝えしている通り、BMWワークススペックのパワーユニットを搭載しています。そのおかげもあるのでしょうが、全日本ロードレースのデビュー戦となったもてぎ大会ではいきなりの3位表彰台を決め、続く第2戦・菅生大会では、ポールポジションまで獲得。走るたびにサプライズを見せてくれるオートレース宇部ですが、鈴鹿の公式事前テスト2日目に、なんとホンダワークスチーム、ヤマハワークスチームをしのいでトップタイムをマーク! もちろん、ホンダやヤマハがタイムアタックをしていたのか、オートレース宇部がどうなのかはわかりませんが、事前テストとはいえ、ライバルチームに脅威を与えたのは確実です!

TeamATJは岩田悟&鈴木光来にTOHOレーシングの國峰啄磨が合流。写真は開幕戦・もてぎ大会のもの。

桜井ホンダは昨年同様、伊藤和輝&日浦大治朗にジョシュ・ブルックスが加入! 写真:桜井ホンダSNSより

次に体制が明らかになったのが、全日本ロードレースにもレギュラー参戦しているTeamATJと桜井ホンダ、ハルクプロ。この3チームは全日本に参戦しているライダーを軸にラインアップを組む常套手段を取っています。
まずATJは全日本のレギュラーである岩田悟&鈴木光来に、TOHOレーシングからST1000クラスに参戦している国峰啄磨が合流。事前テスト2日目には一時2番手タイムをマークするなど、総合力の高そうなチームです。
桜井ホンダは全日本レギュラーの伊藤和樹、先の全日本ロードレース菅生大会のレース1で3位入賞を果たした日浦大治郎に、オーストラリア人ライダー、ジョシュ・ブルックスが加わってトリオを結成。昨年、桜井ホンダは伊藤と日浦の2人体制で参戦していましたが、やはり酷暑のハチタイ、3人ライダーの方が有利と踏んだのでしょう。

ハルクプロは全日本ロードレース、アジア選手権、世界グランプリのライダーが集合! 写真:
本田重樹会長SNSより

Astemoホンダからハチタイ参戦しそうなダブルコータ。

ハルクプロは全日本とアジア選手権、Moto2のライダーでトリオを組んで、名越哲平を軸に、今年はアジア選手権を戦う阿部恵斗、さらにMoto2デビューを果たした國井勇輝がハルクプロに里帰り。このチームも総合力が高そうで、注目に値しますね。
もうひとつのホンダ系有力チームであるAstemoホンダドリームは、まだ正式発表はありませんが、おそらく全日本ロードレースのレギュラーである野佐根航汰と荒川晃大の“ダブルコータ"を軸に、第3ライダーのオーディションを行なっているようです。事前テストでは、Moto3ライダーの山中琉聖が走っていました。ハチタイ初参戦、なるかな?

SSTクラスで優勝争いを繰り広げるチームが続々体制構築

NCXXレーシングは原田哲也監督(右から2番目)がSSTクラス優勝を至上命令に! 写真:豊島怜SNSより

KRP三陽工業&RS ITOHは、新庄雅浩と優人&勝人の佐野兄弟がチームを結成。

TONE RT Syncedge4413BMWはハチタイ用のダンロップタイヤを開発する星野知也が出場!

TeamTAROは左から亀井雄大、関口太郎、中村竜也がトリオを結成。写真:関口太郎SNSより

ワークスチーム参戦で話題を呼ぶヤマハ勢では、常にSSTクラスで優勝争いを繰り広げるNCXXが井手翔太&豊島怜&岡部怜がトリオを組みそう。このチームは、昨年に引き続き“クールデビル"こと原田哲也が監督を務めます。
台数的にちょっと寂しいカワサキ勢ではトップチームと呼んでいいSSTクラスのカワサキプラザレーシングに、岩戸亮介&彌栄郡と中山耀介が合流してトリオを結成。KRP三陽工業&RS ITOHは、新庄雅浩と優人&勝人の佐野兄弟がチームを結成します。
これもSSTクラスの優勝争いの常連であるTONE RT SYNCEDGE 4413 BMWは、全日本レギュラーの星野知也と吉田愛之助、ジェデゲ・ゼカライヤクワミのトリオで、同じくBMWを走らせる信州REN With TOTECは東村伊佐三&中村修一郎&中島陽向がトリオを結成。BMWユーザーチームでいえば、TeamTAROも、関口太郎/亀井雄大/中村竜也のトリオと発表がありました。

組み、唯一アプリリアを走らせるTeamTATARAは、和田留佳に綿貫舞空、芳賀瑛大(あきと)がトリオを組みます。

発表が待たれるトップチームの体制に期待

正式発表はまだながら、ヨハン・ザルコのハチタイ参戦は確定。3人目は? 写真:ブリヂストンモータースポーツ

TeamSUZUKI CNチャレンジ号は、2025年モデルでウィングレットが大型化しています。写真:津田拓也SNSより

ヤマハレーシングチームの3人目のライダーは、WSBKミサノ大会が行なわれる6月15日に発表されます。写真は6年ぶりのハチタイ参戦となる中須賀克行。 写真:ヤマハ発動機

徐々に明らかになってくるハチタイの全容ですが、TeamHRCやTeamSUZUKI CNチャレンジ、DUCATI TEAM KAGAYAMAといったトップチームの陣容がまだ未発表です。
TeamHRCは高橋巧を軸に、ヨハン・ザルコが確定、3人目に予定していたルカ・マリーニは、ホンダのプライベートテストで転倒し負傷、MotoGPも欠場することから、ハチタイ参戦も間に合わそうな状態です。3人目に、昨年同様の名越哲平を、という予想もありましたが、名越はハルクプロからの参戦が発表されましたから、おそらくHRCの3人目もWSBKかMotoGPを走る外国人ライダーになりそうです。
TeamSUZUKI CNチャレンジも、Vol02でお知らせした津田拓也とエティエンヌ・マッソンの2人まで発表。3人目は後日発表とのことでしたが、昨年同様の濱原颯道は、鈴鹿の事前テストでエスパルスドリームのマシンを走らせていましたから、CNチャレンジからのエントリーはなさそうです。

6月第3週には公式事前テストの第2弾も予定されているので、その近辺にはまた続報をお届けできると思います。お楽しみに♪

ギャラリーへ (13枚)

この記事にいいねする


コメントを残す