
6月7日(土)の2025FIM世界耐久選手権(EWC)第2戦「スパ8時間耐久ロードレース」。日本で7月に開催される第3戦「鈴鹿8耐」を含むEWCシリーズの戦いだが、このラウンドで今年の勢力図、そしてチャンピオン獲得チームの可能性も見えてくるだろう。そんなスパ8時間の開催直前の今、レースの見どころや注目チームをピックアップしてレポートしたい。
スパラウンドの基本情報とレースの見どころ
開催地はベルギーのスパ・フランコルシャン。二輪レースのコースは一周が6.985km(四輪レースは7.004km)、コーナー数が20あり、アップダウンが激しいレイアウトかつ最終セクターは6速全開の高速コースがあるだけに攻略が難しいサーキットだ。
四輪レースではスパ24時間レースやF1ベルギーGPで馴染み深い。EWCとしては1973年から2001年までリエージュ24時間として同地で行われていた過去があり、シリーズから外れてもレースは2003年まで続けらていた。その後、EWCのスパラウンドとして2022年から10年契約でカレンダーに復帰を果たしている。また、2022~2023年の2年間は24時間レースとして開催されたが、2024年からは8時間に短縮。“スプリント耐久”へと変貌を遂げたため、昨年はミスをしたチームが遅れを取る展開となった。
タイムスケジュールは他のラウンドと異なり、火曜日または水曜日のプライベートテストは設定されておらず、6月5日(木)にプラクティス、6月6日(金)にフリー走行、予選1回目、予選2回目、6月7日(土)に決勝レースがあり、走行は3日のみ。公式セッションとしては金土の2日のみという短いレースウイークとなる。決勝レースが開催されるのは土曜日のため、観戦日はお間違えのないように。
また、この週末は天候が悪くなる予報で、スパ・フランコルシャン特有のスパウェザーに翻弄されそうだ。レースウイーク直前の木曜日には小雨が降ったり止んだりが繰り返され、路面もハーフウエットからドライとタイヤ選択が難しいセッションとなった。そのため、この週末に履くタイヤ選択、天候が変わった際のピットタイミングでも順位が大きく入れ替わることだろう。
そのほかに、予選日まで本格的な走行ができたチームがおらず、マシンのセッティングはどこも満足いくまで進んでいないことが確認できているため、例年と違った展開となりそうだ。
過去3年のポールはYAMAHA、決勝優勝はBMWとYAMAHAが2連勝
ポールポジションは3年連続でYART YAMAHAが獲得しており、昨年は2番手がF.C.C. TSR HONDA France、3番手はYOSHIMURA SERT MOTUL、4番手はBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMと上位陣の顔ぶれは変わらない。しかし、今年はBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMとKawasaki Webike Trickstarがブリヂストンタイヤにスイッチして、タイヤだけはライバル勢とイコールコンディションとなったためどこまでポジションが上がるかは未知数だ。
一日中の雨はないだろうが、予選においてはコンディションの細かい変化によりタイムアタックができないこともあるため、ポジション取りや路面には気を付けながら速く走る必要が出てきそうだ。
決勝においては2022年のトップ3がBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM、TATI TEAM BERINGER RACING、F.C.C. TSR Honda France。2023年はYART Yamaha Official EWC Team、F.C.C. TSR Honda France、BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMだ。8時間となった2024年はYART - YAMAHA、YOSHIMURA SERT MOTUL、TATI TEAM BERINGER RACINGとやはりトップチームが上位につけるが、表彰台のチームは変わる。
第2戦スパ8時間のエントリーは全44チームで、Formula EWCクラスは16チーム、SSTクラスは22チーム、プロダクションクラスは6チームだ。開幕戦からワークス勢のライダーラインアップに変更はないが、8時間レースのため第4ライダーの登録はない。
使用されるバイクは1000ccのスーパースポーツでヤマハ、ホンダ、スズキ、カワサキといった日本国内メーカー。そしてBMW、アプリリア、ドゥカティといった海外メーカーのマシンだ。
日本勢の表彰台の可能性は確率高め!?
SSTクラスに参戦して2年目のTEAM ETOILEは伊藤元治、大久保光、渡辺一樹のラインアップ。開幕戦ル・マン24時間では転倒が続いたが、昨年のスパではポールポジションを獲得しており、決勝はガス欠で後退したがそれまでは優勝争いを展開していた。また、鈴鹿8耐では2位表彰台を獲得しているだけに、今回のスパでの順位は期待できるところが大きい。
Dafy-Rac 41- Hondaの石塚健は第1戦ル・マン24時間でSSTクラスの2位表彰台に上がっているため、今大会も期待が膨らむチームだ。日本チームだとEWCクラスのKawasaki Webike Trickstarも第1戦で総合2位と同体制となってから初表彰台という好成績を収めているため、やはり昨年と勢力図が変わっており、楽しみなところ。
そのほか、F.C.C. TSR Honda Franceから羽田太河、Honda No Limitsから鳥羽海渡、Aviobike WRSから芳賀瑛大がエントリーしているため日本人ライダーの応援にも身が入ることだろう。
ハイペースなレースとなること間違いなしのスパ8時間。今回ポールポジションを獲得するのは、そして表彰台に上る3チームはどこになるのか予想してみて欲しい。
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