
少しずつ明らかになって来た2025年の鈴鹿8時間ロードレース「ハチタイ」の参戦チーム。前回はヤマハが参戦させるワークスチーム「ヤマハレーシングチーム」についてお知らせしましたが、その追加メンバーが発表されました。それが、久しぶりの鈴鹿8耐参戦となる、ジャック・ミラー!
ヤマハレーシングの2人目はMotoGPよりの使者
この連載の第1回目にお伝えしたヤマハのワークスチーム「ヤマハレーシングチーム」のハチタイ参戦。最初に発表されたのは、全日本ロードレースの絶対王者こと中須賀克行と吉川和多留のチームマネージャー就任でした。第一報では、中須賀に加え、MotoGPとワールドスーパーバイク(=WSBK)から選抜してチームを編成する、との内容でしたが、その発表の第2弾が、MotoGPイギリスグランプリの会場で行なわれたのです。
発表されたヤマハレーシングチーム2人目のライダーは、ジャック・ミラー! 現在、プラマックレーシングヤマハからMotoGPに参戦しているミラーは、不振が続くヤマハ勢の中にあって、開幕戦タイグランプリから予選4番手につけ、第3戦アメリカズグランプリでは、その時点でヤマハ最高成績を挙げるなど、ヤマハの不振脱出のキーになっているライダーです。
ミラーのハチタイ参戦はこれが初めてではありません。2017年、当時ホンダ系のグランプリチーム「MARC VDS」からMotoGPに参戦していたシーズンに、ホンダ系トップチーム、ハルクプロホンダから参戦。高橋巧/中上貴晶とトリオを組んで、予選5番手から決勝レースでは4位を獲得。ちなみにその17年大会で優勝したのが、中須賀のいるヤマハファクトリーレーシングチーム(当時名)でした。
「鈴鹿8耐でヤマハを代表して走れることを誇りに思います。2017年にヤマハに敗れて4位となったときからずっと、もう一度挑戦したいレースでした。その権威あるレースで今回はYZF-R1を駆り、ファクトリーチームであるYAMAHA RACING TEAMの一員として戦えることは大きな喜びです。ヤマハのホームレースで好成績を獲得したいと思います。日本のファンの熱い応援も楽しみにしています」とミラー。ちなみにミラーのインスタは「@jackmilleraus」です。
これでチームマネージャー吉川と日本代表・中須賀、MotoGPからミラーの参加が決定したヤマハレーシングチームの2025年ハチタイ体制。残りひとりは、ヤマハに乗るWSBKライダーから選抜される、とのことでしたので、日本でも知名度が高く8耐経験もあるジョナサン・レイかドミニク・エガーターが有力! しかし、ヤマハWSBKチームには、かつてのハチタイ男ことワイン・ガードナーの息子、レミー・ガードナーもいますから、レミーの線も充分ありえそうですね。
ワイン「レミー、ハチタイに出られるなら出たらどうだ?」
レミー「そうしようか、パパ」
なんて会話が、ガードナー家で繰り広げられていると面白いんですけどね。
他チームに関してはなかなかラインアップが明らかになってはいないんですが、全日本ロードレース・菅生大会明けに、HRCが鈴鹿サーキットでハチタイテストを行なっているという情報があり、そこにハチタイの候補ライダーが来ているという話だったんですが、それがMotoGPライダーのルカ・マリーニ。この数年、ホンダはイケル・レクオーナ、チャビ・ビエルヘといったWSBKライダー、そして昨年にはMotoGPからヨハン・ザルコをハチタイライダーとして招聘。昨年には高橋巧/名越哲平/ザルコのトリオで優勝を果たしていて、今年も日本人ライダー+外国人ライダーの組み合わせで、日本人ライダーを1人+外国人ライダーを2人とするか、この数年と同じく日本人ライダー2人+外国人ライダー1人とするのかが注目されていました。
そして編集部が入手した情報は、全日本ロードレース開幕戦に、ハチタイテストとして参戦した高橋巧を軸に、ザルコとマリーニでトリオを組ませよう、という算段を立てていたようです。
しかし、上記の鈴鹿サーキットでのテストで、なんとマリーニが転倒し、負傷。左股関節を脱臼、左ひざの靱帯損傷、胸骨と鎖骨を骨折、右肺気胸という重傷を負い、イタリア帰国のために航空機にも乗れず、日本で治療と療養に入っているようです。
これでマリーニは、おそらくハチタイ参戦は不可能となり、高橋+ザルコにもうひとり、誰が組むかが注目されそうです。ハチタイ経験のあるレクオーナとビエルヘか、それとも――?
もうひとつのワークスチームであるチームスズキCNチャレンジは、全日本ロードレースの開幕戦と第2戦・菅生大会に連続出場した津田拓也が、その菅生大会で行なわれた2レースのうち、ダブルで3位入賞! レース1では黄旗区間での追い越しでペナルティを取られて降着となりましたが、両レースともレース後半で見事な追い上げを見せての3位入賞でした。
チームスズキは、この津田を軸に、昨年も同チームから参戦した、世界耐久選手権にヨシムラSERT MOTULから参戦しているエティエンヌ・マッソンの参戦が内定。マッソンが抜けるヨシムラSERTには、昨年と同じく渥美心が合流するようです。
では、津田とマッソンともうひとり、が注目されますが、ここには昨年同様で、スズキのCNチャレンジプロジェクトを知り尽くしている濱原颯道、スズキ社員で全日本ロードレースのST1000クラスに参戦している村瀬健琉も候補に入っているようです。
6月11~12日、6月18~19日には、ハチタイ事前テストが予定されています。ここで、主だったメインチームの体制が明らかになるでしょうが、全日本ロードレース菅生大会の事前テストで転倒、負傷したDUCATI TEAM KAGAYAMAの水野涼は、両肩の負傷の回復が長引くため、おそらく両テストを欠場。転倒で大きなダメージを受けてしまったドゥカティ・パニガーレV4Rを組み直し、その完成テストのために加賀山就臣監督がシェイクダウンする案が浮上しているようです。
<次回へつづく>
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