日本最大級のクロスカントリーレースシリーズJNCCは、早くも第3戦が4月20日(日)に広島県テージャスランチで開催された。シリーズの多くをゲレンデで開催するJNCCにおいて、開幕戦の徳島県ビーチ、第2戦大阪のモトクロス系複合コースと並び、ここテージャスランチも特有のシチュエーションと言える。その名前が示すように観光牧場でもある施設で、広大な山間部を含むバリエーションに富んだコースである。

昨年度は肝入りの新設セクションを設けたものの大雨によるコースカットとなった。今年は小雨が降る予報が出ていたがその影響は少ないと判断され、「コースカットはなし」とアナウンスされた。例年以上に走りごたえのあるレイアウトがライダーを待ち構えることとなったのである。

FUN-GP 復活の嶋岡が圧巻のスピードを見せて優勝

FUN-GPスタートは岩井良宏選手のホールショットで幕を開けた。このコーナーを抜けたら、一気に駆け上がるヒルが待ち構える。

午前中行われたFUN-GP。こちらはCOMP-GP(9.0km)に比べて6.2kmとコース長は短く、難所が排除されているハイスピード系コースだ。レースはFUN-Aクラスの岩井良宏選手のホールショットで幕を開けたが、岩井選手は転倒し順位を落としてしまう。その後3位まで挽回するもマシントラブルでリタイアとなった。

オープニングラップから激しいバトルを展開したのは嶋岡虎汰朗選手と河原廉弥選手。一時河原選手がトップを走る場面もあったが、嶋岡選手は持ち前のスピードでリードし、全周回にわたってトップをキープ。圧勝で幕を閉じた。昨年の広島など小排気量車でトップを快走してみせた嶋岡選手は、今季は負傷により開幕戦、第二戦を欠場。そして今回フルサイズマシンに乗り換えて総合優勝、見事な復活を遂げたのだった。総合2位に河原選手。総合3位には渡辺学選手のメカニックとしても知られる馬庭隼人選手が入った。またFUN-Bクラスの武井優大選手がクラス優勝、総合でも4位と大健闘だった。

負傷からの復帰戦を見事優勝で飾った嶋岡虎汰朗選手。今季は小排気量からフルサイズに乗り換えての快走だった。

FUN-GP総合2位の河原廉弥選手もこのところ上り調子のライダー。優勝の期待も高まる。

スタート直後に待ち構えるヒルクライム。クロスカントリーらしい迫力のあるオープニング。

一際目立っていたオールドスタイルなライダー。旧車も十分楽しめるFUN-GP。

トップ争いを展開した嶋岡選手と河原選手。

今後のバトルにも注目したい。

FUN-GPホッテストアワードに参加した各クラス優勝ライダー。

COMP-GP 矢野と成田が渾身のベストタイムをぶつけ合いバトル!

COMP-GPのスタートを決めたのはモトクロスレジェンドライダーの成田亮選手。怪我からの復帰で、いよいよ天性の才能を発揮した。

午後からはCOMP-GPが開催。コースディレクターのJNCC萩原一氏も語るように、今回のコースはかなりタフな設定である。有名なヒルクライムセクションの「ラスベガス」に加えて、段上になっているヒルクライムなども用意された。結果として雨が降らず路面はベスコン状態のため大きな渋滞もなくレースは進行したが、仮に雨が降っていたら、赤土で滑りやすい路面ゆえに、大変なことになっていたかもしれない…。先日開催されたJEC(全日本エンデューロ選手権)開幕戦は大雨で大惨事となったが、JNCCはそうはならなかった。天気だけは人間の力ではどうすることもできない。まさに運なのだ。

ドライコンディションだったのでさほど渋滞は生じなかったが、これがマディだったら……。テージャスランチ特有の赤土は関東にはない土質で、とても滑りやすいのだ。

名物セクションのラスベガスはラインが限定され、難易度も増していた。ここは1回だけトライ(失敗したら降って迂回しないといけない)が許されているセクションだ。

さて、レースは渡辺学選手の華麗なスタートで幕を開けた。前人未到8度目のタイトルを狙う渡辺選手は、2周めには3番手へ順位を落とす。変わってトップ争いを展開したのは矢野和都選手と成田亮選手である。昨年もオーストラリアのステファン・グランキスト選手(今季開幕戦優勝)とトップ争いを展開した矢野選手にとって、テクニカルなマウンテンコースは得意な舞台。しかし今回はモトクロスレジェンドの成田選手がくらいついた。

昨年後半からライダーに復帰した成田選手は、今季2スト300ccモデルで闘うが、徐々に天才ライダーとしての実力が蘇ってきているのか、今回は最後までタレることなく、さらにミスも少なく走り切った。優勝は最終的に成田選手に46秒の差をつけた矢野選手。2位に成田選手。二人のベストタイムは肉薄していた。矢野選手の14分03秒945(9周め)に対して成田選手はラストラップ10周目に14分00秒756。レース終盤まで本気で攻め抜いた二人なのであった。3位には渡辺選手。4位に熱田孝高選手。モトクロスIAライダーや元ファクトリーライダーの中で堂々の走りを見せた渡辺敬太選手が5位に入る結果となった。

最終的には成田選手に46秒の差をつけて優勝した矢野選手。今年は初のJNCCチャンピオン獲得を狙っている。

全日本モトクロスV11王者の成田選手は、負傷の影響があった開幕戦から走りを取り戻し、見事2位を獲得してみせた。

ベストラップタイムでわずかに上回った成田選手は、ここぞとばかりシャンペンを矢野選手に浴びせかけた。シャンペンファイトは成田選手の勝ち(笑)。

昨年末のTV番組で本業の餃子店が紹介されて以来、超多忙を極める渡辺選手。

レースはきっちり3位で終えた。

かつて全日本モトクロスで成田選手と激しく争った盟友の熱田選手は、総合4位を獲得。全日本モトクロスのインタビュアー、実況解説の仕事も抱えるだけにフル参戦はできないが、常に存在感を放つライダーだ。

COMP-GPホッテストアワードに参加した各クラスの優勝者。

次戦第4戦ビッグバード(長野県X-JAM 高井富士)は、「初逆回り」開催が予定されている。年に2回開催される、JNCCではお馴染みの会場だが、フレッシュな感覚で走ることができるはずだ。

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