Photo/MotoGp news

1990年代に国内外のロードレースでその名を轟かせた青木三兄弟の次男、青木拓磨氏。全日本で王座に輝いた後、世界グランプリの500ccクラスにステップアップし、これからという時に1998年のテスト中の事故で下半身の自由が効かない身体になってしまい、現在は車いすレーサーとして4輪レースへ転向し、2023年のアジアクロスカントリーラリーでは総合優勝も遂げています。

その拓磨選手が、MotoGPクラスにステップアップした小椋選手について語ってもらいます!

「青木拓磨のモータスポーツライフ」前回はコチラ!

Moto2チャンプがステップアップ そんな2025年シーズンもスタートです

みなさん、こんにちは。昨シーズン、日本人としては15年ぶりとなる世界チャンピオンを小椋藍選手(Moto2クラス)が獲得しました。デビュー戦で堂々とした結果を残し、予選5位、スプリント4位、そして決勝5位という成績を収めるとは誰もが驚かされました。常勝チーム・ドカティの一角をもぎ取るという大金星を挙げたのは、まさに衝撃的です。

最近の新人で度肝を抜かれた、となると、昨年GASGASでMotoGPクラスに昇格したペドロ・アコスタ選手がいましたね。アコスタ選手はマルク・マルケスの再来とも言われ、彼の成績は素晴らしいものがあります。でも、そのアコスタ選手をも凌駕する結果を残し、その才能を証明した小椋選手という事実は、特に注目に値します。

そして2025年シーズンが始まりましたね。これまでMoto2クラスから昇格した選手のデビュー戦の成績を見てみると、過去10年間の中で小椋選手の成績は非常に特筆すべきものです。たとえば、2013年のマルク・マルケスは3位を最後に、2015年のマーベリック・ビニャーレスは14位、2024年ペドロ・アコスタ9位といった具合に、他の名だたる選手たちも初戦では高い順位にはいなかったことが分かります。その中で、小椋藍選手は、他の選手と比べても格段に高い順位を獲得したのは本当に見事な結果と言えるでしょう。

開幕戦5位を獲得した小椋選手 どう戦っている?

小椋選手が昨年Moto2クラスで使用していたのは、765ccのトライアンフエンジンを搭載したマシンで、ピレリタイヤ、ボスクスクーロシャーシを使用していました。フレームがカレックスからボスクスクーロに変わった1年目で、念願の初チャンピオンを獲得したことは、まさに彼の腕の良さと、長年彼を支えてきたチーフメカのノーマンのサポートの賜物です。

今年、MotoGPクラスにステップアップした小椋選手は、これまでのMoto2クラスとは全く異なる新たな挑戦に直面しました。まず、マシンのパワーがほぼ倍増し、エンジンの馬力やトルクは圧倒的に強力になりました。さらに、タイヤもピレリからミシュランに変更され、そのグリップ特性も大きく異なり、これらに適応するには相当な努力が必要でした。特に、タイヤのキャラクターの違いに慣れるまで予想以上に大変だったことだろうと思います。また、空力に関する新しいパーツへの順応も重要なポイントでした。MotoGPマシンにはエアロパーツが搭載されており、その影響を理解し、うまく活用することが求められます。この新たな要素に適応することが、トップ選手たちにとっても大きな課題でした。

とはいえ、小椋選手はその乗り込み重視の姿勢を崩すことなく、テスト走行を重ねる中で着実に経験を積み重ねていきました。他の有力選手たちは数種類の新しいパーツを試すことに多くの時間を割いており、それが原因でタイムアップに繋がらない場面が目立ちました。対して、小椋選手はパーツの選択に時間をかけすぎることなく、着実にマシンのセットアップを進め、速さを見出していった結果、最終的に決勝レース5位という素晴らしい成績を収めることができました。

このような状況でも結果を出すことができたのは、小椋選手の冷静なアプローチと、徹底的に乗り込み重視の姿勢を貫いたからこそと言えるでしょう。今後のレースでも、さらに成長していく姿が楽しみです。

青木拓磨のモータースポーツチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC6tlPEn5s0OrMCCch-4UCRQ

takuma-gp
http://rentai.takuma-gp.com/

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