セパンでは合計6日を走り、小椋は1分57秒754が自己ベストだった©Trackhouse Racing

2月5日から7日、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットでMotoGP公式テストが行われ、ルーキーである小椋藍(トラックハウス・MotoGP・チーム)は3日間のテストを終えた。

6日間のテストを終え、開幕前最後のMotoGPマシン走行となるタイへ

2025年シーズンの幕開けが近いことを知らせる開幕前テストが始まった。マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットでは、1月31日から2月2日にかけて行われたシェイクダウンテストを皮切りに、3日間の公式テストが行われた。

このテストにルーキーとして臨んだ一人が、日本人ライダーの小椋藍(トラックハウス・MotoGP・チーム)だ。2024年、Moto2チャンピオンに輝いた小椋は、今季、インディペンデントチームであるトラックハウス・MotoGP・チームからMotoGPクラスにステップアップを果たす。走らせるのは、アプリリアのMotoGPマシン、RS-GPの2025年型である。

通常、レギュラーライダーは公式テストからの参加となるが、ルーキーとコンセッションの適用を受けた一部のメーカーのレギュラーライダーについては、シェイクダウンテストへの参加が許可されている。小椋も3日間のシェイクダウンテストに、テストライダーやヤマハのレギュラーライダーなどとともに参加した。

シェイクダウンテストのあと、2日を挟んで行われた公式テストでは、マシンやMotoGPでの走りへの適応を進め、走行中に作動させるライドハイトデバイス(車高調性装置)といったMotoGPマシンならではの機能への順応も進んだという。

2日目にはレースシミュレーションを行った。ロングランを行おうとした16時ごろに雨が落ちたため、予定していた20周連続走行はできず、15周となったが、ロングランとしての手ごたえはつかんだようだ。

「シェイクダウンテストよりもすごくよくなりました。大きな違いは、タイヤが最後に垂れなくなって、ラップタイムを維持できたことです」

小椋のラップタイムは、序盤に2分0秒前半、その後、1分59秒台後半のタイムを刻み、終盤は2分0秒前半というもので、タイムの落差を小さく留めており、すでにMoto2時代からのタイヤマネジメント、レースマネジメント巧者の片鱗を見せている。

なお、MotoGPクラスには土曜日午後に10周で争われるスプリントレースがある。小椋は、セパン、その後のブリーラムでも公式テストではスプリントレースのシミュレーションを行う予定はないという。まずはスプリントレースよりも決勝レースに照準を合わせている。

「スプリントレースでよくても決勝レースでよくない、ということはたくさんあると思うんですけど、決勝レースでよくてスプリントレースでよくないことは、逆の状況ほどは多くないと思うんです。だから、僕は決勝レースのほうを先に進めたいなと思っています」

3日目には、予定通りタイムアタックを実施。前日に1分57秒台に入れることを第一の目標としていた小椋は、午前中には1分57秒754を記録した。これが小椋のベストタイムとなった。なお、3日間のテストで最速はアレックス・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)の1分56秒493。小椋とトップとの差は1.261秒である。ルーキー勢トップは、フェルミン・アルデゲェルで(グレシーニ・レーシングMotoGP)、1分57秒401だった。

小椋のベストタイムは、ルーキーであることを勘案しても、もちろん悪くはないが、ずば抜けていいというわけでもない。3日目を終えて囲み取材に現れた小椋自身も、14番手のタイムに対し「よくも悪くもないと思います」と答えている。1分57秒7が、小椋にとって、壁だった。

ただ、「6日間、ちゃんと走りきれたのはよかったと思います。(公式テスト1日目に)転倒がありましたが、意味のないラップもあまりなかった。質のいい6日間だったと思います」とも語っている。ベストタイムとしても、昨年のバルセロナ公式テストではトップとの差は2秒以上あったが、セパンでは1秒台にまで縮まった。

全体として、テストは順調に進んでいる。つまり、MotoGPルーキーとして開幕戦を戦う準備は、着実に進んでいると考えてよさそうだ。

MotoGPは2月12日、13日、タイのチャン・インターナショナル・サーキットで2日間の公式テストを実施する。小椋にとって、この2日間が開幕前最後のMotoGPマシンで走る機会となる。

【2025MotoGPセパン公式テスト】ルーキー小椋藍、ロングランやタイムアタックを実施。充実のテストに ギャラリーへ (3枚) ギャラリーへ (3枚)

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