Webikeチームノリックヤマハから、全日本ロードレース選手権で活躍中の久川鉄平選手。次シーズンから「YAMAHA YZF-R3 スカラシップ」を獲得し、ヨーロッパで開催される「Yamaha R3 bLU cRU FIM World Cup」に挑戦することがヤマハから発表された。

久川鉄平選手が「YAMAHA YZF-R3 スカラシップ」を獲得し2025年から欧州に挑戦

現在、全日本ロードレース選手権では、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行選手と岡本裕生選手という日本を代表するライダーが日本の二輪モータースポーツを牽引する形で参戦している。このほか全日本のST1000では豊島怜選手や井手翔太選手、アジアロードレース選手権では南本宗一郎選手らが活躍中。

こうした先輩ライダーに続いて国内、アジア、そして世界を舞台に戦える日本人トップライダーを発掘するために、ヤマハ発動機は2023年から全日本ロードレース選手権に併催されるMFJカップ JP250選手権(以下JP250)で「YAMAHA YZF-R3 スカラシップ」を開始した。

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このスカラシップ制度はヤマハ車を使用して全日本選手権に参戦するクラブチームからJP250に出場する若手ライダーがエントリー。シーズンを通じての戦績や将来性などを鑑みて選抜したライダー1名をヤマハのグループ会「Yamaha Motor Europe N.V.」がオーガナイズし、スーパーバイク世界選手権に併催されている「Yamaha R3 bLU cRU FIM World Cup(以下R3 World Cup)」に1シーズンに渡って派遣するというものだ。

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昨年は高橋匠選手がこの権利を獲得して欧州へと旅立った。シーズン中は日本と欧州を行き来しながら6大会12レースを戦い、2位1回、3位1回と2度の表彰台を獲得してランキング6位。チャンピオンのみに与えられるスーパースポーツ世界選手権300へのサポート参戦権は獲得できなかったが、大きな成長と次の成長のための必要な課題を確認してシーズンを終えている。

2024年はbLU cRU AKENO SPEEDから岡田陽大選手と津田雄飛選手、bLU cRU ITO RACINGから奥貫翔選手、bLU cRU Team Baby Faceから片田泰志選手、bLU cRU Webike team Norickから久川鉄平選手と森山浬選手、bLU cRU GarageL8 Racing Teamから塚本龍選手が参戦。全員が10代の若手7名がエントリーした。

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このスカラシップはただ戦績を比較するだけではなく成長を支える機能もになっている。シーズン開幕前とシーズン中間で走行会を実施し、ライダーを集め同時に走ることで互いを意識する状況を作りながらJP250アドバイザーである前田恵助選手とJP250レーシングサービスの菅原陵が帯同し、技術面・データ面の両方からサポートして全体のレベルアップを図っている。

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こうした競争の中でシーズンをリードしたのは昨年に続き2年連続でのエントリーとなった久川選手。「赤旗、ライバルの転倒などラッキーな勝利」と振り返るが、得意な東日本エリアという地の利を生かして開幕3連勝で75ポイントを獲得し、2番手の森山選手に49ポイント差(※インター、ナショナルの総合順位でポイントを計算)という圧倒なリードを築いて前半戦を折り返した。

久川選手は長いインターバルを経て再開した第4戦でも2位、さらに第5戦岡山国際でも3位と安定してポイントを積み上げ、ポイント面では逆転が不可能な大量リードで最終戦に臨んだ。

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迎えた10月26日(土)、三重県の鈴鹿サーキットで開催された全日本ロードレース選手権の第56回MFJグランプリ スーパーバイクレース in 鈴鹿では、「ぐちゃぐちゃの混戦で勝ち切りたい!」という久川選手の狙い通り、bLU cRUのライバル岡田選手を含めた7台で欧州さながらの集団によるバトルを展開。毎周順位を入れ替える中で一時は7番手まで後退する場面もあったが、最後は2位でフィニッシュしインタークラスのシリーズチャンピオン獲得。同時に3勝を含む全レースで表彰台を獲得する安定感とチャレンジングな姿勢、レースへの情熱などを加味して2025年R3 World Cupのスカラシップを決定した。

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また、インタークラスでは岡田選手が後半戦3大会で2勝、2位1回の成績で九川選手にランキング2位。ナショナルクラスではJP250ルーキー森山選手が優勝1回、2位2回、3位2回という大きな成長を見せてチャンピオンを獲得した。コンスタントに上位に入った片田選手がランキング3位、津田選手がランキング5位、塚本選手がランキング7位、奥貫選手は怪我による欠場が3戦あったもののランキング8位と、全員が成長を見せてくれた。

そして久川選手は来シーズンに向けて準備を進めていく。JP250の参戦時「僕はまだスタートラインにも立ててない」と話していたが、今は「ようやく世界の入り口に立てた」と話した久川選手。世界トップを目指す若手が集結する「R3 World Cup」の中でどんなレースを見せてくれるのだろうか。

久川哲平選手コメント

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R3 World Cupを見据え、大集団の中で抜いて抜かれてのレースをしたいと思っていました。実際、それが最終戦でできたし、抜かれても抜き返す走りを続けることができました。特にスリップを使われて7番手に落ちた時は、“前、前、前へ”という意識でトップを取り戻すこともでき、欧州のような熱いレースができたので良かったです。同時にスカラシップを獲得し、来年につながったということでホッとしています。

実際はR3 World Cupでチャンピオンをとってから本当の勝負が始まると思いますが、まずは世界に向けたスタートラインに立てたと言えるかもしれません。今回の最終戦で岡田選手に負けてしまったように、最後に競った場面で勝てていないことを考えると、まだまだ弱いし、欧州で生き残るには実力不足です。R3 World Cupに向けては、まずしっかりと戦える肉体改造を行って、シーズンに入れば冷静沈着に、絶対にインを開けない走りで開幕戦から優勝を狙っていきます。

僕はレースが大好きなので、不安はありません。今はやっといけるという喜びと楽しみしかありません。日本代表という気持ちでがんばってきます!

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