
ようやく猛暑も収まりつつある9月下旬、岡山県・岡山国際サーキットで行なわれた全日本ロードレース第7戦。前戦・オートポリス大会から2週間のインターバルをおいての岡山大会は、事前テストから好天に恵まれ、決勝レースが行なわれた9月29日も、全クラスともドライコンディションで行なわれた。
連続未勝利中の中須賀だがフリー走行で転倒! 負傷を押しての予選へ
JSB1000クラスは、菅生大会から鈴鹿8耐をはさんで、もてぎ2&4→オートポリス大会と、V12チャンピオン中須賀克行(ヤマハファクトリーレーシング)が未勝利という異常事態。菅生大会のレース2でチームメイトの岡本裕生に先着を許すと、もてぎ2&4では水野涼(DUCATI TEAM KAGAYAMA)に、そして2レース制で行なわれたオートポリス大会では、またも後輩の岡本に後れを取ってしまった。
「決して調子が悪いわけじゃない。菅生は(岡本)裕生が得意としているコースだから、1レース獲って1レース獲られて、もてぎではドゥカティを上手く仕上げた(水野)涼の勝ちパターンに持ち込まれてしまった。オートポリスは、想定していたよりもペースが速くて、これもユウキの必勝パターンに持ちこまれてしまいました」(中須賀)
ただし、この間も中須賀は表彰台登壇をきっちりとキープしていて、ランキングトップの座を死守。ただしランキング2位とのポイント差が、菅生大会レース1まで28ポイントあったものが、岡山大会を前に13ポイントに縮んでしまっただけなのだ。
そして中須賀が反撃を狙った岡山大会で、公式予選前の金曜のフリー走行中に、その中須賀が転倒。本人はいつものように「ぜんぜん大丈夫」とふるまうが、右肩を負傷、見るからに痛そうな表情を隠せないでいたのだ。
それでも土曜の公式予選では、ノックアウト方式で行なわれ、問題なく上位10台が通過するQ1をパスし、Q2へ。上位10台で行なわれるQ2では、中須賀はセカンドロー4番手グリッドを獲得。定位置ともいえるフロントローから外れてはいたが、2列目スタートならば、スタートの名手にとって決して心配される材料ではない。
ポールポジションは、オートポリスから絶好調の岡本。2番手に水野、3番手に野左根航汰(Astemo ホンダドリームSIR)。この3人が従来のコースレコードを更新する予選となった。
前回に続き岡本がホールショットから1位へ 2位は水野、3位は中須賀
レース序盤から#2岡本、#3水野、#32野左根、#1中須賀の順に定着。
そして決勝レースでは岡本がホールショットを獲得し、その後方に野左根、水野がつけるスタート。中須賀は4番手あたりからのスタートで、まずは先頭集団にキッチリついていく。5番手以降に岩田悟(チームATJ)、津田拓也(オートレース宇部レーシング)、伊藤和輝(ホンダドリーム桜井ホンダ)が続く。
トップ争いは岡本に野左根が襲いかかり、2周目のバックストレートエンドでは一時トップに浮上するが、すぐに岡本が抜き返す。そこから岡本がペースを落とすことなく2番手を引き離しにかかると、3番手の水野が2番手の野左根をパス。逃げ始めた岡本を見て、逃がすわけにはいかない、と野左根をパスしたのだろう。
レース序盤は岡本が逃げ始め、2番手争いが接近、やや間を空けて中須賀が4番手につけるなか、7周目に転倒車が発生してレースは赤旗中断。この時点の順位をスターティンググリッドとしてレース2が行なわれることになった。
レース中盤以降、ペースの落ちてきた#32野左根をかわす#1中須賀。
仕切り直し、15周で行なわれるレース2ではフロントローに岡本、水野、野左根の順で並ぶスタート。このレース2も岡本が好スタートを見せるが、野左根もアウトから並びかけるように1コーナーへ。3番手に水野、4番手に中須賀の順はレース1と大きな変わりはなく、早くもこの4台が5番手以下を引き離して周回を消化し始める。
3周目のバックストレートエンドでは、水野が2番手に浮上。赤旗中断前と同じく、岡本が逃げ、水野と野左根が2番手争い、すこし間を空けて中須賀、という展開となって行く。
レースが中盤に差し掛かると、ペースが落ちはじめた野左根を中須賀がパス。これで岡本→水野→中須賀の順で単独走行となり、水野が一時3番手に復活するシーンもあったものの、中須賀も逆転し、野左根も差を空けられることなく、レースはこのまま進行していく。
7番手争いはホンダCBR勢の#4名越、#9伊藤、#33高橋のバトルが続いた。
このトップ4台に遅れての5番手争いは、岩田とのバトルを制した津田が先行し、岩田と5番手-6番手を単独走行。7番手争いは名越哲平(SDGホンダレーシング)、伊藤、そしてオートポリスで今シーズン初表彰台を獲得した高橋巧(日本郵便ホンダドリームTP)、その後方に大きく間を空けて長島哲太(DUNLOPレーシングwith YAHAGI)が10番手を走行する。この中で、最終ラップで伊藤が名越をパスして7番手に浮上する。
結局レースはこのまま終了し、2番手以下を2秒半突き放した岡本が優勝し、オートポリスから3連勝! 2位に水野、3位に中須賀が入っての、「いつもの」この3人が表彰台に登壇した。
各選手のコメント
オートポリスから3連勝を決めた岡本。絶好調時の中須賀を見ているような完璧なレース。
「(赤旗中断をはさんで)レース1もレース2もスタートが決まって、すぐに自分のペースに持ち込めたのが勝因。赤旗中断中も集中を切らさずにいられたのも良かったですね。これで最終戦、鈴鹿はあんまり得意じゃないので、木曜の事前走行からしっかり走って、自分の走りをできればいいと思います」(岡本裕生)
「完敗です。テストから岡本選手が速いのは分かっていたんですが、レース序盤から逃げられないように気をつけていたんですが、そうはいかなかった。悔しいけど、テストから自分の走りは高めていけたし、マシンのパフォーマンスも出すことができたので、今回は岡本選手が速かった。最終戦、ヤマハは8耐で走っていない鈴鹿なので、逆に8耐でマシンを詰められたうちのチャンスかなと思います。まだチャンピオンの可能性もあるし!」(水野)
またもこの3人が表彰台を独占。ランキングも中須賀→岡本→水野の順だ。
「レースは難しいですね。自分の焦りが金曜の転倒を招いて、そこでマシンの進みが足踏みしてしまった。できる現状、ベストは尽くしました。これは表彰台なんか上がれるかな、って心配するくらいの転倒だったので、その意味では3位は上出来。最終戦もこの3人の争いで、水野君とドゥカティのパッケージは驚異ですよね。ユウキもいい走りができているんで、その勢いを学んで、ドゥカティをやっつけようと思います」(中須賀)
これで最大28ポイントあった中須賀のランキングリードは、5戦優勝ナシという異常事態で4ポイントへ。最終戦MFJグランプリは、10/26-27に鈴鹿サーキットで2レース制で行なわれる。MFJグランプリのボーナスポイントで2レース最大56ポイントを獲得できるため、ランキング3位の水野までにチャンピオン獲得の可能性が残ったレースとなった。
もてぎでの勝利をなかなか持続できない水野+ドゥカティ 最終戦で栄光を再び!
最終戦となる次戦・第8戦鈴鹿大会は10月27日に決勝レースが行なわれる。
【JSB1000】岡本裕生、最終戦を前にあと4ポイント! ~全日本ロードレース第7戦スーパーバイクレース in 岡山大会レポート~ ギャラリーへ (7枚)この記事にいいねする