
全日本ロードレース選手権シリーズの2024年シーズンも残り2戦となり、いよいよ大詰めを迎えてきた。シリーズ第7戦の舞台は、岡山県・岡山国際サーキット。その公開テストが9月18日(火)から3日間に渡って行われた。前戦オートポリスの公開テストは、台風10号の影響で中止となったため、5月のSUGO以来、久しぶりの全日本テストになった。今まで試したかったサスペンションやECU、新たなパーツなど精力的にチェックしたこの3日間は、本当に暑かった。9月も半ばを過ぎたとは思えないほど、気温が上がり湿度も高かった。
JSB1000はYAMAHA岡本裕生がクラスをリード 中須賀も続く
公開テストをリードした岡本裕生。中須賀に「裕生はノレている」と言わしめるほど調子はいい。
そんなコンディションの中、JSB1000クラスをリードしたのは、前戦オートポリスでダブルウインを飾ったYAMAHA FACTORY RACING TEAMの岡本裕生だった。テスト初日、2日目とセッションをリードしトップタイムとなる1分30秒382をマークした。
「かなり暑いコンディションだったので、マシンセットも大きく変更しました。その中で去年の予選タイムに近いタイムも出ましたし、ロングランもこなすことができたので、後はレースウイークのコンディションに合わせてアジャストできれば、いいレースができると思います」と岡本。
相性のいい岡山国際サーキットで勝って有利な状況で最終戦を迎えたい中須賀克行。
2番手に絶対王者・YAMAHA FACTORY RACING TEAM中須賀克行が1分30秒690で続いた。
「裕生が本当に速い。ボクの方はロングランまでできなかったけれど、タイヤライフは見ることができたので、底上げはできたと思う。転倒もいい勉強になったので、自分の中で消化して次のステップに活かしていきたいですね」と後輩を讃えつつも虎視眈々。岡山は初タイトルを獲得した思い出のコースで相性もいい。昨年はコースレコード(1分29秒969)を出しているだけに、コンディション次第ではタイム更新の可能性もあるだろう。
4年振りの岡山、Hondaでの初走行となったAstemo Honda Dream SI Racingの野左根航汰が1分31秒187で3番手。カーボン製フロントフォークなどマシンもアップデートされてきているだけに、今回こそ表彰台を獲得したいところだろう。
DUCATI水野は1分31秒252で4番手! 初の岡山へ挑む
今回は。ヤマハファクトリーに勝負を挑みたいDUCATI+水野涼。
そして前戦オートポリスで苦戦したDUCATI Team KAGAYAMAの水野涼が1分31秒252で4番手。当然、岡山をDUCATIで走るのは今回のテストが初めてだったが、テストが中止になってしまったオートポリスと違いレース前に走る機会があったことは大きかったと語っていた。
「もっとコース(岡山国際サーキット)に(DUCATIが)合っていると思っていましたが、実際に走ってみないと分からないですね。最初に走ったセットが外し過ぎていたので、そこからアジャストしていきました。目標タイムには届きませんでしたが、アベレージも上がりましたし、レースウイークでさらに底上げして挑みたいですね。ライディング面でも課題があるので、しっかり対応していきたいです」と水野。
Honda Dream RT SAKURAI HONDAの伊藤和輝、JAPAN POST Honda Dream TPの高橋巧、AutoRace Ube Racing Teamの津田拓也も1分31秒台に入れており表彰台を狙っている。SDG Honda Racingの名越哲平も前戦オートポリスで復調してきており、今回も上位に絡んできそうだ。
公開テストを終えた時点ではヤマハファクトリーの岡本と中須賀が一歩リード。これを野左根と水野が追っている状況だが、水野の方がノビしろがありそうだ。
他クラスも見逃せない展開に!?
第6戦オートポリス、ARRC第5戦マレーシアと連戦をこなし、岡山テストに駆けつけた國井勇輝。
ST1000クラスは、ポイントランキングをリードするSDG Team HARC-PRO.の國井勇輝がセッションをリードし、公開テスト初日にマークした1分33秒362がトップタイムとなった。一方、暫定ランキング2位につけるKawasaki Plaza Racing Teamの岩戸亮介は1分34秒328がベストと苦戦気味。その間には、DOG FIGHT RACING TEAMの豊島怜、代役参戦のAstemo Honda Dream SI Racingの羽田太河、TOHO Racingの國峰啄磨、荒川晃大(MOTOBUM HONDA)などがいる。また伊藤元治(MOTOBUM HONDA)も調子がよく、3日目にはトップタイムをマーク。総合でも2番手となっており、レースでも結果を残したいところだ。
國井と岩戸のポイント差は23ポイント。最終戦MFJグランプリは、ボーナスポイントが3あるため28ポイント差をつければ岡山ラウンドでシリーズチャンピオンが決まる。ARRC ASB1000クラスとのダブルタイトルも現実味を帯びてきている。
今シーズンは圧倒的は速さと強さを見せている阿部恵斗。2連覇目前となっている。
ST600クラスもチャンピオンが決まる可能性が高い。前戦オートポリスで痛ましいアクシデントがあり、レースがキャンセルされたため、予選順位でハーフポイントが与えられることになった。ここまでゼッケン1をつけるSQUADRA TIGRE TAIRA PROMOTEの阿部恵斗が全てトップで終えており、岡山での公開テストでもトップタイムをマーク。今回も優勝候補の最右翼と言える。これに待ったをかけたいTEAMKENKEN YTCHの長尾健吾が、どんな走りを見せるか!?
J-GP3クラスの絶対王者・尾野弘樹。後半戦に入り調子を上げている。
J-GP3クラスは、前戦オートポリスで圧勝したP.MU 7C GALESPEEDの尾野弘樹がポイントリーダーを奪取。公開テストでもトップタイムをマークしており、この勢いのまま4年連続チャンピオンに邁進したいところだ。タイトル争いを繰り広げているJAPAN POST docomo business TPの若松怜もタイムでは肉薄しており、昨年優勝した岡山で流れを引き寄せたいところだ。ただ一人KTMを駆るTEAM NAOKO KTMの高杉奈緒子、JAPAN POST Honda Dream TPの岡崎静夏も調子を上げてきており、表彰台争いを繰り広げそうだ。
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