2023EWC第4戦ボルドール24時間のスタートシーン

9月14~15日(土日)のFIM世界耐久選手権(EWC)第4戦「ボルドール24時間耐久ロードレース」。ここまで日本の「鈴鹿8耐」を含み3戦が開催されてきたが、いよいよこのラウンドでチャンピオンが決まる。もちろん24時間レースのため優勝チームも重要となるボルドールの開催直前の今、レースの見どころや注目チームをピックアップしてレポートしたい。

■ボルドールの基本情報とレースの見どころ

開催地はフランス南部のプロヴァンスにあるポール・リカール・サーキット。二輪レースのコースは一周が5.673Km、平坦なコースだが、1.8kmのミストラル・ストレートもあるレイアウトで、時速300km以上の走行が20秒以上続くことから耐久レースではエンジンに厳しいサーキットだ。

EWCでは歴史のあるラウンドで、ボルドールとしては2022年に100周年を迎えている。2024年は第87回大会として行われ、同サーキットでは31回目。24時間レースは第1戦ル・マン以来の2回目だ。

昨年のウイナーはYOSHIMURA SERT MOTULだが、予選ラップレコードの1分51秒596とレースラップレコードの1分52秒898はBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMの記録だ。また、YART - YAMAHAがここでチャンピオンを決めており、多くのチームが活躍してきた場でもあるため、今年の戦いがどうなるかの予想は難しいだろう。

勝利数はスズキが19回、ホンダは17回だが前回の優勝は2018年、カワサキは11回で前回の優勝は2015年、ヤマハは5回のみだが2022年に優勝している。BMWは2回制しているが、1948年と1960年と近年は頂点に立っていない。

タイムスケジュールは9月12日(木)にフリー走行、予選1回目、夜間走行があり、9月13日(金)は予選2回目のみ、9月14~15日(土日)に決勝レースがある。木曜日にセッティングを合わせなければならないという短いレースウイークとなる。上述の通り決勝は土曜日からとなるため、観戦日はお間違えのないように。

■BMWとKWTはエントリー変更。YART - YAMAHAのニッコロ・カネパは引退レースに

チャンピオンシップポイントとしては、第3戦終了時点でYART - YAMAHAが116点、YOSHIMURA SERT MOTULが110点、BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMが72点だ。最終戦が24時間レースで多くのポイントが得られることからBMWにもチャンピオンの可能性はあるが、YART - YAMAHAとYOSHIMURA SERT MOTULが大きくリードしているため、この2チームに絞られたと言っていいだろう。

エントリーはYART YAMAHAがニッコロ・カネパ、マービン・フリッツ、カレル・ハニカ、リザーブにロビン・マルハウザー。YOSHIMURA SERT MOTULはグレッグ・ブラック、エティエンヌ・マッソン、ダン・リンフット、リザーブに渥美心を擁する。

両チームのレギュラー陣に変更はないが、カネパはこのレースが引退レースとなるため、いつもと違った想いで走ることになるだろう。また、ブラックは鈴鹿8耐は怪我で欠場、マッソンはTeam SUZUKI CN CHALLENGEから参戦していたため、この3人が揃うのは第2戦以来となる。

BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMはイリヤ・ミハルチク、マーカス・ライターバーガー、ハネス・ソーマーだ。シルバン・ギュントーリは末の息子の病気を理由に欠場する。ソーマーは第1戦ル・マンでは同チームでリザーブだったライダーで、鈴鹿8耐ではTONE RT SYNCEDGE 4413 BMWでSSTクラス優勝を飾っている。

また、KAWASAKI WEBIKE TRICKSTARもライダーが変わり、グレゴリー・ルブランが鈴鹿8耐の怪我で最終戦も欠場することになった。クリスチャン・ガマリノ、ロマン・ラモス、そしてSRCカワサキで2019年にチャンピオンに輝いているダビド・チェカが選ばれた。F.C.C. TSR HONDA Franceはジョシュ・フック、マイク・ディ・メリオ、アラン・テシェと変わらないが、リザーブにケビン・マンフレディを起用する。

第4戦ボルドール24時間のエントリーは全45チーム。内訳はFormula EWCクラスが15チーム、Superstockクラスが28チーム、Experimentaleクラスが2チームとなる。

過去2年のポールポジションはBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM、2021年はYOSHIMURA SERT MOTULだった。決勝は2023年と2021年はYOSHIMURA SERT MOTUL、2022年はVILTAIS RACING IGOL(YAMAHA)が制している。

表彰台は2022年にWEBIKE SRC KAWASAKI FRANCEが3位に入ったことや、2023年はHONDA VILTAiS RACING(Honda)が2位、BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMが3位、チャンピオンを決めたYART YAMAHAが4位だったことを考えると予想は難しく、荒れる傾向にありここ3戦とは違った展開が予想される。

■日本人起用チームも強力。TEAM ETOILEもチャンピオンの可能性はあり

YOSHIMURA SERT Motulの第4ライダーである渥美心は予選までしか走らないが、鈴鹿8耐ではレギュラーとして登録されて3位を獲得した立役者のため、予選タイムも注目される。MACO RACING TEAMからは石塚健が参戦するが、今回はブルーライダーとして登録されている。

SSTクラスに参戦しているTEAM ETOILEは亀井雄大、大久保光、渡辺一樹のレギュラーライダーが第2戦揃い、ボルドールもこの3名とリザーブにル・マン以来の川崎祥吾が起用される。第2戦スパではSSTクラスでポールポジションを獲得しており、鈴鹿8耐では渡辺の代わりにロベルト・ロルフォが走ったものの2位に入っており、最終戦も結果が期待される。

ランキング2位の3 ART BEST OF BIKEからは綿貫舞空が走ることに変わりはない。綿貫擁す3 ART BEST OF BIKEや日本のTEAM ETOILEのチャンピオンの可能性は低いが、どのチームもランキング2位に入ることは絶対条件だろう。

SSTクラスのランキングはNATIONAL MOTOS HONDAが108点と大きくリードを広げている。しかし、3 ART BEST OF BIKEが55点、Chromeburner-RAC 41-HONDAが54点、TEAM ETOILEが53点と近い位置に並んでいる。

もちろん転倒のリスクがあるのはどのレースもだが、昨年はミストラルストレートの最後にエンジンブローしたチームがおり、そのオイルでスリップダウンしたチームが多数いた。好走していても足元を救われることがあるため、レースの展開は読めず、さらに標高の高い位置にあるコースのため風による影響も受ける。各クラスのポールポジションを獲得するのは、そして表彰台に上る3チーム、ランキングトップ3はどこになるのか予想してみて欲しい。

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コメント一覧
  1. あま より:

    「8耐3連覇だ」とか言っても所詮は耐久レースのシリーズの1戦での事。シリーズチャンピオンにならなきゃ意味がない。

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