「ノリック」故・阿部典史の長男である阿部真生騎は、2023年から渡欧。VFT Racing Webike Yamahaからスーパースポーツ世界選手権(WSBK)スーパースポーツ600に参戦している。2年目となる今年の初戦はイタリア・CIVイタリアン・スピード・チャンピオンシップ(CIV)へ挑戦を開始した。今回はその第2戦の様子をお伝えしたい。

文:佐藤洋美/写真:VFT Racing Webike Yamaha

Vallelunga, 25-26 Maggio 2024 Supersport 600

Yamaha VFT Racing ♯98 ABE Maiki
 
阿部真生騎は、開幕戦のミサノでのレース2決勝の転倒があり、帰国後に病院での検査をした結果、左ひざの前十字靭帯が伸び、半月板に傷が出ていることがわかった。飛行機での移動中にも痛みを感じることがなかったため、ケガをしたという意識はなかったが、手術をしなければならない事態となる。診断は「復帰まで半年」と告げられる。阿部は、レース参戦できなくなる事態を避け、テーピングなどの処理をしてシーズンを戦いオフシーズンに手術することを選んだ。次戦までの間、バイクトレーニングを中心に過ごそうと考えていたが、思わぬケガでトレーニングメニューを見直して過ごす。

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第2戦のイタリア、バレルンガ

ライバルたちは、2日間のテストを走っていたが、阿部はフリー走行からの走行となり、ケガをしてから初めての600ccだったから膝の様子も見ながら走った」と初走行はラインやコーナーでのギアを確認となる。

フリー走行2も同様だが「終盤のタイヤのライフが無くなってきてグリップ感がなくなり、タイムを出すのが難しくなったが、それ以外の膝の調子やバイクの感触は良かった。だけどまだまだライン取りやアクセルの開けが足りていない」と語り、フリー走行3回目に賭けた。タイヤを変えて、スピードにのせて行くが、進入速度、アクセルの開け始めが遅く、なかなか、タイムに繋がらない。だが、フリー走行4回目にはタイムアップしベストタイムを記録する。

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5月24日 金曜日

フリー走行では、オイル処理した直後のコーナーがあり、路面温度が上昇したことで、タイヤのスライドが激しくなるコンデションとなった。それでも、コースに慣れたことで手応えを得る。

予選1-35番手

予選が行われ、1番手は、オッタヴィアーニ・ルカ(MV Agusta)で1分38秒723となる。上位3台が38秒台を記録する。阿部は、1分41秒865で35番手となる。
阿部は「またオイル処理した直後のコーナーがあったし、上手く他のライダーの後ろに上手く付けなかったからタイムはあまり出なかったけど走り方や感触は割と良かった」と予選2へと望みをつないだ。

5月25日 土曜日

予選2-30番手

予選トップはダッラ・ポルタ・ロレンツォ(ヤマハ)で、1分38秒855を記録する。38秒台にタイムアップしたライダーが多く、上位7台が38秒台に入れた。
阿部もタイムアップし、30番手と予選1に比べて順位を上げる。1分41秒006とタイムアップした。
阿部は「今度はしっかり他のライダーの後ろに付けたが最初の方の周回はコースアウトなどして昨日の予選と同じくらいのタイムしか出なくて、1回ピットインしてもう一度アタックしたら0.7秒ほどタイムアップできた。しかし、セクター1が他のライダーに比べてとても遅いからレースではセクター1を意識し
ながらしっかり順位を上げていきたい」と決勝に備えた。

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レース1決勝-27位

レース1決勝は、ダッラ・ポルタが独走優勝を飾る。2番手争いを制したは、オッタヴィアーニ。3位にジョンビーニ・アンドレア(ドゥカティ)が入った。阿部は3台による27番手争いを制した。バトルに競り勝ち、イタリア選手権参戦初のチェッカーフラッグを受けた。

「スタートは成功して少し前の方には行けたけど大きいクラッシュが多くてごちゃごちゃした時に順位を落としてしまった。その後、ペースに余裕があるけどなかなか抜けなくて最終ラップで何とか1人抜けたけどあまり順位が上がらず心残りがあるレースになった」

5月26日 日曜日

阿部はレース2決勝朝の走行で、ライン取りやコーナーごとの走り方の確認を終えて決勝に備える。ジャンプアップを狙ってのレース2決勝となった。トップ争いはリネージュ・ダビデ(ドゥカティ)とシアレッタ・アレッサンドロ(ドゥカティ)との熾烈な戦いとなり、ネージュが0.392秒の僅差で勝利、シアレッタは2位となった。3位にはオッタヴアーニが入った。阿部はトラブルもあり、中盤に転倒してしまう。

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【CIV第2戦】阿部真生騎コメント

「今回もスタートは成功してレース1より0.5〜1秒くらい速いタイムでラップできてオーバーテイクもしっかりしてレース1よりいい位置につけていたが、ブレーキのトラブルで少し順位を落としてその後立ち上がりで急にスピードを落とした前のバイクにぶつかって転倒してしまった。今回はしっかり走行ごとにタイムを上げていけて10位くらいまでは1秒くらいしかタイムが変わらないから次はもっと予選で前に行ってレース中も積極的にオーバーテイクして前の集団でレースしたい」

第3戦は6月22日にムジェロで開催される。

阿部真生騎 バレルンガ戦でイタリア選手権参戦初のチェッカーを受ける【CIV第2戦】 ギャラリーへ (12枚)

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コメント一覧
  1. 匿名 より:

    オウエンシテル!ガンバレ

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