
「ノリック」故・阿部典史の長男である阿部真生騎は、2023年から渡欧。VFT Racing Webike Yamahaからスーパースポーツ世界選手権(WSBK)スーパースポーツ600に参戦している。2年目となる今年の初戦はイタリア・CIVイタリアン・スピード・チャンピオンシップ(CIV)へ挑戦を開始した。今回はその初戦の様子をお伝えしたい。
文:佐藤洋美/写真:VFT Racing Webike Yamaha
目次
ミサノサーキットで開催されたハイレベルな戦いへ
阿部真生騎は、2023年はVFTレーシング・ヤマハからワールドスーパースポーツ600へ参戦した。2024年は同チームからCIVに参戦することになった。
CIVはイタリアの国内選手権ではあるが、ここをステップに世界選手権に参戦するライダーも多く、レベルの高い戦いとして知られている。
真生騎はイタリアのミサノサーキット近くの町で一人暮らしを始め、これまで以上に真摯にレースに向き合う環境を整えた。
開幕戦はミサノで行われた。昨年、経験したコースであり、チームの本拠地からも近く何度か練習にも訪れていた。
フリー走行では確実なタイムアップを刻み期待を高める
フリー走行1回目、走り出しからエンジンブレーキが強く効きすぎてコーナーが安定せず、ピットインして調整するが、ブレーキングの時にフロントが安定しないトラブルは解消しない。チャタリングが出てしまいリアが大きく流れタイムアップにつながらない。
フリー走行2回目には、エンジンブレーキやフロントのセッティングを変えたが、コーナーの侵入時にリアとフロント両方が安定しない。カメラを装着して動画を撮影することで解決策を見出そうとする。走行後に動画を見てチェックすると走行ラインへの指摘があり、ラインを変えて挑むことにして終了した。
フリー走行3回目、走行ラインを変えてトライする。たが、走行を3本こなしたことでタイヤの消耗があり、スライドが激しくなるが、それをコントロールしてタイムアップ出来たことで予選への期待が膨らむことになった。
フリー走行に新品タイヤでアタックするが、3周目に赤旗が出てしまう。マシンの確認作業が出来ないままではあるが、予選でのタイムアップを狙ったがトラブルで走れずに終わる。
最終予選もトラブルが出てしまい、25分あった予選時間を10分しか走れずに終わった。
41台が挑んだ予選でポールポジションはオッタヴィアーニ・ルカ(MV Agusta)が1分38秒600で獲得する。真生騎は38番手で1分41秒173、13列目からのスタートとなった。
CIV本戦は多数リタイアの大荒れ 真生騎も無念の転倒
レース1決勝
オッタヴィアーニ、リネージュ・ダビデ(Ducati)、マントヴァーニ・アンドレア(Ducati)のトップ争いとなる。真生騎は、スタートを決めて、38番手から28番手までポジションアップするが、3周目の6コーナーの立ち上がりでフロントが切れ転倒、リタイヤとなる。12台がリタイヤする荒れたレースとなり、優勝はオッタヴィアーニとなり、2位にリネージュ、3位マントヴァーニとなり表彰台を獲得した。
レース2決勝
マントヴァーニが独走して優勝を飾った。2位にはジョンビーニ・アンドレア(Ducati)、3位にリネージュが入る。真生騎は28番手まで浮上するが、前を走るライダーが転倒しそうになり、それを回避しようとコースアウトして転倒リタイヤとなった。
【CIV第1戦】阿部真生騎コメント
「昨年参戦させてもらったワールドスーパースポーツ600は、まだ、経験のない自分には、レベルが高く、思うように走ることが出来ずに終わりました。でも、このまま終わるわけにはいかないと思いました。
ちゃんとレースと向き合うために国内選手権を走りたいとお願いしました。チームの提案もあり、イタリア選手権を走らせてもらえることになったことを感謝しています。
開幕戦のミサノは、何回か走ったことのあるサーキットだったので、良い結果を期待していた部分もありましたが、セッティングも詰めきれず予選もマシントラブルで上手くいかず、決勝も2レース共転倒し
てしまいました。予選でもう少し前の方に行けていれば真ん中くらいの集団にも着いていけそうだったので、次のレースでは予選でのタイムアップを狙います」
第2戦は5月26日に開催される。
阿部真生騎2024年の挑戦が始動 CIVイタリアン・スピード・チャンピオンシップへ参戦【CIV第1戦】 ギャラリーへ (8枚)この記事にいいねする