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目次
2023MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ第8戦 第55回MFJグランプリSUPERBIKE RACE in SUZUKA
2023年10月14日(土)【公式予選】
天候:晴れのち曇 コース:ドライ
2023年10月15日(日)【決勝】
天候:晴れのち曇 コース:ドライ
三重県・鈴鹿サーキット(1周=5.821km)
観客動員数:10,200人(2日間合計
ST600
#2 小山知良
予選:3番手(2'11"325) 決勝:2位
ST1000
#3 高橋裕紀
予選:7番手(2'08"392) 決勝:DSQ
#36 高橋 巧
予選:4番手(2'07"942) 決勝:DNF
J-GP3
#14 岡崎静夏
予選:24番手(2'22"470) 決勝:15位
#7 若松 怜
予選:5番手(2'18"585) 決勝:4位
奇跡の大逆転を垣間見た最終戦。コヤマックスが2位フィニッシュ!
速くも最終戦を迎えた全日本ロードレース選手権シリーズ。
前戦岡山ラウンドでは劇的な展開で高橋巧と高橋裕紀が表彰台に上がり、逆転チャンピオンの可能性が出て来ていたが、トップ3が3ポイント差にひしめいており、現実的には、その可能性は高くはないことは、誰もが分かっていた。
日本郵便Honda Dream TPの2人は、開幕戦から目標にしていた1-2フィニッシュを実現させるべく、チーム一丸となって挑んだ。
最終戦は事前公開テストはなく、木曜日に設けられた特別スポーツ走行から走り始めた。
ST1000クラスの高橋裕紀は1本目からフィーリングがよく2番手につけると2本目でさらにタイムを削り3番手で初日を終えていた。
2日目は1本目で2分08秒683をマークするが、2本目でセッティングを外してしまい1本目のタイムで6番手となっていた。
一方、高橋巧は初日を4番手で終えると、2日目の1本目で2分08秒222をマークしトップに浮上。
公式予選は、2分07秒台の戦いになることが予想された。
公式予選は、セッション序盤に転倒があり赤旗中断があったがライバルは2分07秒台に入れてくる。
高橋裕紀は、前日崩れてしまったセットを戻しアタック。
2分08秒392と悪くないタイムだったが7番手。
高橋巧は、セッション終盤に走り込んだタイヤで2分07秒942をマークし4番手に食い込んでいた。
日曜日のウォームアップ走行は、朝まで降っていた雨の影響でウエットコンディション。
レースまでには、ドライとなる可能性が高かったが、2人ともウエットでも走り万全を期していた。
セッション最後にベストタイムを出し、高橋巧がトップ、高橋裕紀が2番手につけ日本郵便Honda Dream TPが1-2を占めた。
運命の決勝
そして運命の決勝を迎える。
レースは12周で争われた。
3列目から好スタートを切った高橋裕紀は、3番手で1コーナーに入っていく。
一方、高橋巧は8番手と出遅れてしまう。
積極的な走りを魅せる高橋裕紀はオープニングラップの130Rで2番手に浮上するが、シケインで荒川選手に抜き返される。
続く2周目の1コーナーで再び荒川選手をかわすと130Rで榎戸選手をかわしてトップに浮上する。
トップを走るのは今シーズン初めてだったが、スプーンカーブで國峰選手にかわされる。
シケインでは榎戸選手が前にいくが、何と國峰選手に接触し両者が転倒。
暫定ランキング上位2名が戦線を離脱。
トップに荒川選手が立ち、高橋裕紀は2番手につける。
後方には渡辺選手と高橋巧が迫ってくる。
ペースをつかんだ高橋巧は渡辺選手をNIPPOコーナーでかわし3番手に上がると、6周目には2コーナーで高橋裕紀の前に出ていく。
その勢いのまま荒川選手に追いつくと8周目のスプーンカーブ進入でトップに浮上する。
このとき高橋巧は、抜こうと思って抜いてわけではなかったが、それだけスピード差があったというわけだ。
トップに立った高橋巧は、このままゴールすれば何と逆転でチャンピオンになれる状況となっていた。
3番手に続く高橋裕紀もチーム1-2フィニッシュを達成するため必死にプッシュしていたのだが・・・
残りは4周を切り、高橋巧が奇跡の大逆転でシリーズチャンピオンになることが現実味を帯びてきていた。
しかし、ヘアピンの進入で高橋裕紀が転倒。
そのマシンがクリッピングポイントでスピードを落としていた高橋巧のマシンにヒットしてしまい両者共に転倒を喫してしまう。
この時点で大逆転のシナリオはついえることになり、2人の2023年シーズンは終わりを告げた。
若松が4位でゴール!
J-GP3クラスの岡崎静夏と若松怜は、走り始めはまずまずだったが、岡崎の方は、金曜日にレース用エンジンに載せ換えたところ特性の違いからタイムを縮められずにいた。
さらに公式予選ではセッション序盤にヘアピンで転倒を喫してしまい24番手と後方からのスタートとなっていた。
若松は着実にセットを詰め5番手グリッドにつけた。
決勝では、約10台ほどのトップグループに若松は加わりタイヤマネジメントを考えなが周回を重ね、残り3周となったところで前に出ていこうと思っていた。
しかし、前を走る尾野選手のマシンが速く勝負できずに4位でゴール。
表彰台に立つことができなかったのは悔しかったがランキング3位になれたことはポジティブだった。
岡崎は三つ巴の13位争いを繰り広げ15位でゴール。
1ポイントとボーナスポイント3の計4ポイントを獲得したが、予選の転倒が悔やまれるところだ。
チームの想いをのせて小山が2位でゴール!
そして、ST600クラスの小山は走り始めからマシンは大きくいじらず、ひたすら走り込みマシンに合わせたライディングを心掛けた。
予選は単独でタイムを出し3番手。
決勝も好スタートを切りトップグループで終始周回を重ねる。
タイヤマネジメントも考えずに前に出られるときに出る積極的なレース展開を見せた小山。
最終ラップは3番手に入っていくと、130Rで勝負に出た南本選手がコースアウト。
ポジションを一つ上げた小山は2位でゴールした。
各選手の声
ST600クラス #2 小山知良選手コメント
「単純に諦めないことが重要だと思わせられるレースになりました。
どんなに苦しいシーズンでバッドラックが続いても、信念を曲げず、心を折らさずに頑張り続ければ、しっかり結果に繋がるのかなと思いました。
日本郵便の社員の皆さん、ファンの皆さん、応援してくださっている皆さんに強いKoyamaxをお見せしたかったので、肩が痛みましたが、皆さんの声援に応えたい一心で頑張りました。
今シーズンは不運なレースも多かったですが、その中でもチームを信じて走り抜きました。
苦しい中でも最後は意地で表彰台をもぎ取ることができました。
本当は優勝の姿を見せたかったですが、2位表彰台ということで、最低限の仕事はできたと思っています。
今シーズンたくさんの熱い応援をありがとうございました!
ST1000クラス #3 高橋裕紀選手コメント
今シーズンはなかなか皆さんの応援に応えられるような走りができていませんでしたので今回にかける思いは強かったです。
スタートはうまく決まり、その後も順調に走れていました。
終盤に巧選手とトップ争いになり、3番手走行中に自分のミスで転倒し巧選手を巻き込んでしまいました。
応援してくださった皆さんのパワーを一瞬にして無駄にしてしまいました。
巧選手にケガがなかったことが不幸中の幸いですが、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
今シーズンも本当にたくさんの応援ありがとうございました。
最後に結果で応えることができず本当に申し訳ありません。
また機会があれば全力で今回のような走りをしていきたいと思っています。
引き続き応援よろしくお願いいたします!
ST1000クラス #36 高橋巧選手コメント
スタートで出遅れてしまい、それがなければ少し違う展開に持ち込めたかなと思いますが、その割には意外と早い段階でトップ集団に追いつくことができました。
トップには、あのタイミングで上がるつもりではなかったので、正直なところ“トップに出てしまった”という感じです。
トップに上がった段階でもっとペースアップしておけばよかったという反省点もあります。
またスタートで行き場がなく、順位を落としてしまった時点で今回のレースの勝負がついていたなと感じます。
レースだから毎回うまくいくことはないと思いますし、今年の前半戦の流れからして、チャンピオンを獲るべき年ではなかったと思うので成績は仕方がないですね。
まだ来年は決まってないですが、どういう形であれ、どういう状況であれ、来年こそ“事故ゼロ”を目指します。
応援ありがとうございました!
J-GP3クラス #14 岡崎静夏選手コメント
決勝結果はもちろん満足できる順位ではありません。
予選の順位が原因で後方グループでの争いになってしまいました。
レース中は攻めることもでき、周りの選手とバトルができたのにも関わらず、結果につなげきれませんでした。
予選で転倒をしてしいましたが、決勝は今年一番の走りができたと思っています。
今シーズンは自分の力不足で結果にはつなげきれませんでしたが、皆さんに応援していただけて、1年間諦めずに走り切ることができました。
来年のことは何も決まっていませんが、前向きに捉えられる最終戦となりました。
今年もたくさんの応援をありがとうございました!
J-GP3クラス #7 若松怜選手コメント
スタートまでコンディションがどうなるのかわからない難しいレースとなりました。
序盤は少し路面が濡れている所もありましたが、最終的にはフルドライで走ることができました。
雨の影響でペースがあまり作れずに前の選手を抜けず集団に沈んでしまいましたが、少しずつ抜いていくことができました。
残り3周で、どうすれば勝てるのかを考えていましたが、作戦を失敗してしまい4位でのチェッカーとなりました。
表彰台に立つことができず申し訳ない気持ちでいっぱいです。
最後までトップ争いできたのは、応援してくださった皆様のおかげだと思っています。
とても感謝しています。
来年は、どんな状況であろうと、最後まで必死に頑張ります。
引き続き応援よろしくお願いいたします!
チーム運営:株式会社ティー・プロ・イノベーション代表取締役 手島雄介監督コメント
まず日頃よりご支援いただいております日本郵便株式会社、Honda D re am、NTTコミュニケーションズの皆さまをはじめ、多くのスポンサー様に御礼申し上げます。
無事に鈴鹿の最終戦を終えました。
2023年シーズンを新体制で5人のライダーと共に戦ってきましたが、その5人が色々とアクシデントがある中で、大きなケガもなく五体満足に終えられたことをうれしく思っています。
これも辛い時、大変な時にずっと声援を送り続けていただいた皆様のおかげです。
本当にありがとうございました。
シーズン前の体制発表会の際に今シーズンのテーマは『攻』ということで、新しいチャレンジをしていかなければならないことを示しました。
世の中では日々、色々な変化がある中で辛い思いや悲しい思いをする人々がたくさんいます。
その中でも挑戦やチャレンジをしていくことで、その変化に対応し、人生を豊かにしていくことの大切さをこのモータースポーツを通して私はすごく感じています。
だからこそ参加させてもらっている表現者とし、皆様にレースの結果を通してメッセージを伝えていけるように、レースの結果が後押しになるプロジェクトを進めたく、今シーズン戦って参りました。
結果としてチャンピオンを獲れなかったことは反省しております。
しかし皆様とのモータースポーツに深みを帯びた充実感のあるシーズンとなりました。
今年活動を通して出会えた感動や共有感を更にOneTeamとして多くの方々に力を与えられるような活動を行なっていきたいと強く思っております。
本当に2023年シーズンもご支援ご協力を賜りまして誠にありがとうございました。
今後とも宜しくお願い申し上げます。
ティー・プロ・イノベーション
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