2023年からスーパースポーツ世界選手権(WSBK)スーパースポーツ600(WSSP)に参戦を開始している阿部真生騎。今回は2023年9月8日~10に開催されたWSSP第9戦フランス、サーキット・ド・ヌヴェール マニクールで開催された。

文:佐藤洋美/写真:VFT Racing Webike Yamaha

フリープラクティスで転倒を喫する トップタイム105%は届かず

8月に入り、真生騎はチームオーナーのファビオ メンギ氏の自宅を拠点に、チームトレーニングでイタリアにいる事が多く、8月30日までミザノ近くでトレーニングをして過ごした。近所のラン二ング、近隣の陸上トラックでのトレーニング、ミニコースでのバイク練習をこなした。
8月31日に車でスペインのカタルニアサーキットへ移動、ロードレース世界選手権(WGP)Moto2参戦している野左根航汰の応援とMotoGPを見学する。真生騎は大混戦のもMoto3のレースが印象に残ったと言う。「WGPは、自分が参戦しているWSBKの雰囲気とは、また、違っていました。規模がさらに大きく、華やかで、いつか、ここを走れるライダーになりたいと思ったけど、まだまだ、実力が伴なっていないから、力を付けたいと思った」と決意する。

月曜日にバルセロナから約300kmのバレンシアへ帰り、火曜日はカートドローモ CHIVA(カートコース)で野左根、スペイン選手権スーパーバイククラスを走っている浦本修充と合流して、共にYZ85でトレーニングをして過ごした。
水曜日夜にマニクールのキャンプ場ロッジに移動。木曜日のにはチームミーティング、コース確認を兼ねたランニングをこなして走行に備えた。

WSSP フリープラクティスが始まった。トップはB. SOFUOGLU(MV Agusta)で1分45秒582を記録する。真生騎は1分46秒379とトップタイムから105%のタイムである1分45秒582を超えることが出来ずに32番手で終える。
2回目のフリープラクティス、真生騎は計測1周目で1分46秒379と自己ベストを記録するが、計測2周目に、コースアウトして転倒、ケガはなく身体は大丈夫だったが、マシンのダメージは大きく、コース復帰することが出来なかった。トップタイムはV. DEBISE(Yamaha)で1分41秒063となる。

決勝グリッドを決めるスーパーポールは20分という短さで、そこで、タイムアップしなければならない。真生騎は10周をクリアし、1分45秒224とベストタイムを1秒近く短縮するが、トップタイムからの105%である1分45秒078に届かず予選落ちとなった。
ポールポジションはN. BULEGA(Ducati)で1分40秒074となった。上位12番手までが1分40秒台の僅差で並んだ。

レース1決勝はN. BULEGA(Ducati)がS. MANZI(Yamaha)との接近戦を制して優勝を飾った。2位にはS. MANZI(Yamaha)、3位にV. DEBISE(Yamaha)となり表彰台に登った。
レース2決勝もN. BULEGA(Ducati)が制してダブルウィンを飾った。2位にV. DEBISE(Yamaha)、3位にS. MANZI(Yamaha)が入った。

次戦はスペイン、モーターランドアラゴンで開催される。

 

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優勝はニコロ・ブレガ選手(Ducati/Aruba.it Racing)、2位にはバレンティン・デビス選手(ヤマハ/GMT94)がつけた。

 

レース後の9月22日からのアラゴン戦に向け、13日にイタリアからチームオーナーのファビオ メンギ氏がバレンシアへ駆けつけ、STDのトレーニング用R6にレース用サスペンションを取り付け、木曜日に真生騎、ファビオオーナー、阿部監督と3人でアラゴンへ赴きR6で練習を重ねる予定だ。

【WSSP第8戦】阿部真生騎コメント

VFT Racing Webike YAMAHA
予選:不通過
決勝:出場せず

「コースを歩いていた時から、自分が苦手とするコースだなという印象でした。実際に走り出すとライン取りが難しく、思うようにタイムを詰めることが出来ませんでした。フリープラクティスの1周目には前のライダーについていけてタイムアップ出来たのが、2周目には目標のライダーがいなくなり、リズムを崩して転倒してしまいました。

ケガはなかったのですが、マシンにダメージがあり、走行には間に合いませんでした。スーパーポールでタイム短縮を狙いましたが、コンマ2秒届かずに決勝を走ることが出来なかった。次戦には、決勝を走れるように、気を引き締めて挑みます。

チームオーナーのファビオさんをはじめ、スタッフに支えられてレースが出来ていると思います。恩返しができるようにしっかり、取り組んで行きます。初めてのコースばかりで思うように走れずにいますが、速いライダーたちと走り、自分は少しずつですが進歩できていると感じています。結果が残るように、これからも努力します」

 

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予選突破ならなかった阿部真生騎。今年のチャレンジは残り2戦となる。

 

阿部光雄監督

「フリープラクティス2回目の計測1周目で1回目のベストと同タイムが出て、これは行けると思った計測2周目に コースアウトをして転倒。 体は問題無かったのですが、バイクの修復が間に合わず、そのまま終了でした。1周目にベストタイムが出たので張り切りすぎたと本人のコメントでした。土曜日のスーパーポールに暗雲を残しました。スーパーポールでタイムを大幅更新しないと、予選落ちとなりレースを走る事ができません。昨日の転倒の影響が出ずに好タイムを期待しましたが、タイムを1秒以上短縮できたのですが、予選クリアタイムに少し足りず予選落ちとなってしまいました。

初めてのサーキットであり、高速コーナーからV字のごく小さいコーナーがあったりと、特異なサーキットで、中々感じが掴めずにいました。本人の不注意とはいえ苦しい中でのスーパーポールで、もう少しだったのですが予選通過がならず残念でした。非常に高いレベルのWSSPなので一丁一旦には行かないと思いますが、やれることはやるしかない!の思いで全力を尽くします」

次回はWSSP第10戦・スペインラウンド/第11戦・ポルトガルラウンドのレポートをお伝えする。

スーパースポーツ世界選手権(WSSP)とは

スーパーバイク世界選手権(WSBK)で併催される、市販車をベースにした車両で争われる選手権。以前は600ccクラスのバイクで争われていたが、2022年シーズンからレギュレーションが変更され、2023年シーズンはカワサキ・ZX-6Rやヤマハ・YZF-R6、ホンダ・CBR600RRとともに、ドゥカティ・パニガーレV2、MVアグスタ・F3 800RR、トライアンフ・ストリートトリプルRS 765が参戦する。タイヤは、ピレリのワンメイクで争われる。

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コメント一覧
  1. 匿名 より:

    応援してます!

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