2023年からスーパースポーツ世界選手権(WSBK)スーパースポーツ600に参戦を開始している阿部真生騎。今回は2023年7月28日~30日に開催されたWSSP第8戦「アチェルビス チェコラウンド(アウトドロモ・モスト)」の参戦レポートをお伝えする。

文:佐藤洋美/写真:VFT Racing Webike Yamaha

中盤の雨を耐えたライダーが勝利したWSBK第8戦

スーパーバイク世界選手権(WSBK)第8戦目にあたるチェコ大会は、プラハ国際空港から車で約1時間(約80km)にあるアウトドロモ・モストで行われた。

フリープラクティスは、朝からの霧雨は上がるが、WSBK のフリープラクティス(FP)はハーフドライでの走行となったが、その後のスーパースポーツ600(SSP)は路面が乾きだしスリックタイヤでスタートが切られた。
路面はドライコンデションに近く、トップタイムはN. BULEGA(ドゥカティ)で1分35秒437。真生騎は初めてのコースに挑んだ。ベストタイム 1分40秒501で31番手となり、トップタイムから105%をクリアできない、苦しいスタートとなる。

 

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前回のイモラに続き、真生騎にとって初めてのコースであるアウトドロモ・モスト。プラクティスからタイムに苦しむ。

 

FP2も.N. BULEGAがトップタイムとなる1分35秒266を記録した。12番手までが35秒台にひしめく。真生騎はニュータイヤを装着してアタックで出るが、タイムアップは0.3秒と、あまり上がらず。再アタックを試みようとした直前に赤旗が提示されてしまう。15分ほどの中断を経て、残り19分でコースに出た。4周目に1分39秒4が出て、5周目も39秒前半のタイムを記録し、38秒台への期待が膨らむが、1分39秒245がベストとなり、31番手となる。

スーパーポールもN. BULEGAが1分34秒479とタイムアップしてトップタイム。トップ3が34秒台に入れた。真生騎は、計測1周目は1分39秒9 、 2周目に39秒8、3周目も39秒8と昨日のタイムを上回ることが出来ずにピットインし、ニュータイヤに履き替え、残り8分弱でピットアウトした。
1周目39秒4 2周目38秒8 3周目も38秒台となり、ベストタイム 1分38秒829で31番手となった。

 

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予選は31番手となった。トップを抑えたのはパニガーレV2を駆るニコロ・ブレガ。

 

レース1はスタート直後のアクシデントにより赤旗中断、12周に減算されて再スタートが切られた。真生騎のスタートダッシュで飛び出し、集団に加わるが、じょじょに離されてしまい26位でチェッカーを受けた。
優勝はN. BULEGAで、2位のS. MANZI(ヤマハ)で、その差は1秒856。3位にB. SOFUOGLU(MVアグスタ)が入った。真生騎はトップから51秒516と大きな差がついた。

 

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厳しい予選結果にもかかわらず、積極的に攻めた真生騎。しかしトップからは大きな差がつき26位。

 

レース2は、スタート前に暗い雲が張り出し、今にも雨が降り出しそうな天候となった。真生騎はオープニングラップを4台の集団の中で通過する。だが、次第に離されてしまう。残り14周目には小雨が降り始め路面も濡れだす。この変化を見て、ピットはタイヤ交換の準備で慌ただしくなり、タイヤ交換のためにピットインするライダーたちで騒然となる。真生騎もレインタイヤに交換してコースインした。だが、タイヤ交換せずにスリックタイヤのまま走行するライダーもいて、コース上は、混沌とした状況となる。だが、雨が上がりはじめ、路面も乾いて行く。残り6周では、ほぼドライコンデションとなり、スリックタイヤで我慢の走行を貫いたライダーが息を吹き返して上位に出て来る。
T. MACKENZIE(ホンダ)が優勝を飾り、M. SCHROETTER(MVアグスタ)が2秒027差の2位。18秒857差の3位にB. SOFUOGLU( MVアグスタ)が入った。真生騎は22位でチェッカーを受けた。

 

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レース2では降雨によりタイヤ交換を判断しピットイン。残り14周というタイミングであり、タイヤを変えないライダーも残った。

 

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ところが雨は上がり、ドライコンディションが復活。スリックタイヤを維持したライダー達が上位へ進み、1位はタラン・マッケンジーが獲得。

 

【WSSP第8戦】阿部真生騎コメント

VFT Racing Webike YAMAHA
予選:31番手
レース1:26位
レース2:22位

「モストのコースはハイスピードコーナーが連続するコースで、正直、攻略するのがきつかったです。好き嫌いで言えば好きなコースではなかった。それでも、タイムアップしなければならないのでプッシュし続けましたが、タイムが上がらなかった。後方からの追い上げになりました。

SS600のライダーたちは、ガツガツ行くし激しいので、転倒も多くよく赤旗が出ます。レース1も赤旗が出るレースで26位。レース2は、スリックで走りはじめ、路面がぬれ始めてもスリックで頑張っていたのですが、このままでは転倒のリスクがあると思ってピットインしてレインタイヤに交換しました。自分がピットインしたのはギリギリでした。あのまま、我慢して走り続けていればよかったと思いました。

優勝したマッケンジー選手は、自分の数台前を走っていました。同じような状況になったら、すぐにレインに変えるか、スリックのままで行くのかの判断をすぐにすること、ギリギリまで悩むことのないようにしようと思いました。まだ、結果が残っていませんが、経験を重ねてしっかりとトレーニングをして、上を目指して行きます」

 

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判断力が明暗を分けた今レース。経験を重ねて上を目指したいと真生騎は語った。

 

阿部監督コメント

「前回のイモラは最終的に転倒してしまったのですが、チーム的には真生騎の成長が大きかったので次に繋がる良いレースだったと期待が膨らみました。しかし今回は前回の期待とは裏腹に、FP1からタイムが伸びず、レースでは前団について行けず、レース2ではピットインせずに我慢をすれば10位くらいだったと、チームは残念しきりでした。ちなみに前回転倒前に抜き返した、マレーシアのノロディンは5位フィニッシュでした。8月5日から8月12日迄、R3とYZ85を持ち込み、イタリアでVFT Racingチームのトレーニングに参加、次のマニクールで好結果が残せるように特訓します」

 

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監督としても不本意な結果となってしまったチェコラウンドだが、次回マニクール戦での好結果を狙い練習は続く。

 

【画像ギャラリー】チェコ・アウトドロモ モスト 2023年7月28日~7月30日

スーパースポーツ世界選手権(WSSP)とは

スーパーバイク世界選手権(WSBK)で併催される、市販車をベースにした車両で争われる選手権。以前は600ccクラスのバイクで争われていたが、2022年シーズンからレギュレーションが変更され、2023年シーズンはカワサキ・ZX-6Rやヤマハ・YZF-R6、ホンダ・CBR600RRとともに、ドゥカティ・パニガーレV2、MVアグスタ・F3 800RR、トライアンフ・ストリートトリプルRS 765が参戦する。タイヤは、ピレリのワンメイクで争われる。

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