■参戦レース
ボルドール24時間耐久ロードレース

■開催地
ポールリカール/フランス

■開催期間
2018年9月15-16日

■チーム名
Webike Tati team TRICK STAR

■ライダー
ジュリアン エンジョラス/ケヴィン デニス/出口 修

■監督
パトリック エンジョラス/鶴田 竜二

■結果
予選 17位
決勝 総合8位/SST2位

2018-2019 FIM 世界耐久選手権シリーズ第1戦 結果報告

予選 9月13日 17位

13日、木曜日に計時予選1回目が行なわれましたが、これまでフリープラクティスでは起こらなかったトラブルが生じ、満足にタイムアタックをする事が出来ませんでした。本来のパフォーマンスを発揮する事が出来ず、予選の規定となる3名の合算平均タイムでは21番手と、納得の行く順位ではなかった。
予選2回目の翌日、14日にはトラブルを解消し、それぞれのライダーが良いパフォーマンスを発揮してくれた。

まず最初の予選をジュリアン・エンジョラス選手が走行。決勝用のタイヤをチョイスしてタイムアタックに挑みました。計測1周目から積極的にアタックを行い各セクター毎にベストタイムを刻んで行った。
4周目に遂にベストタイム1分57秒714と言うタイムを出し、その後も決勝を想定してラップを刻み予選時間を走り切り、組17番手の順位に着けた。

続いて第2走者であるケビン・デニス選手の走行。彼もまた前日とは見違える走りを見せてくれました。開始早々自己ベストタイムを更新し、更にセクター毎に自己レコードを刻んで行く。
しかし、コース上でアクシデントが起こり、赤旗中断となってしまう。調子良く乗れていたケビン選手だったが、この予選時間に2度の赤旗中断になり、なかなか集中してタイムを出しに行けない状況に。そんな難しい状況の中、ケビン選手は奮起し8周目に1分57秒858のタイムを出し、この組14番手に着けて予選を終える事が出来た。

最後の走者は出口選手。初めにユーズドタイヤをチョイスし、途中でフレッシュタイヤに交換しタイムアタックを掛ける作戦を取った。計測1周目で既に1回目の自身予選のタイムを上回るタイムを出し、数周を重ね、タイヤをフレッシュに交換。自己ベストを更新する1分58秒198までタイムを縮めて行く。

更にタイムアタックを掛けるもタイムの遅い選手に先を封じられ、中々1周のクリアラップが取れず、タイムアップに繋がらなかった。しかし各セクター毎のベストタイムで繋げると1分57秒の中盤くらいのペースで走れている計算になり、これは2人のライダーと変らないタイムで走れていると言う証拠であり、チームとしても手応えを充分感じられる内容だった。
結果は組み13番手、3名の合算タイムでは総合17番手の位置に着け予選を終了した。

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決勝 9月15日 総合8位 SST2位

午後3時、気温27度日差しの強い快晴の中、路面温度42度のドライコンディションでスタートが切られた。スタートはジュリアン選手が担当した。オープンニンググラップを17番手で通過して行く。大きな集団が轟音とともにポールリカールサーキットを駆け抜ける。序盤のジュリアン選手は落ち着いていて、順位よりもペースを守り走行を続けた。
安定して1分58秒から1分59秒台でラップを刻みクラス4番手、総合16番手でファーストスティントを走りきり、24周を終えピットに戻って来た。ジュリアンからケビン選手にライダー交代し、ガソリン給油だけ済ませコースに出て行った。コースインしたケビン選手も落ち着きジュリアン選手と同じペースで安定した走りをみせた。
1時間を走行しクラス4番手、総合16番手のままだ。

この時間になると周回遅れの車両が増えてきたのでケビン選手は慎重に1台1台を抜いていく。3スティント目に入り、いよいよ出口選手に交代の順番が来た。ガソリン給油とリヤタイヤだけを交換し、ピットアウトして行った。
しかしその直後、コースでアクシデントが生じ、セーフティーカーが介入しレースはコントロールされた。タイミングが悪く、ピットロードを走行していた出口選手はピットゲートで止められてしまう。これはルール上仕方のない事だが、タイミングが悪く2台目のセーフティーカーが走り去るのを待ち、その車両に追従するライダー達の最後尾に着く形になった。
およそ1分のロスが生じてしまった。さらにその直後、セーフティーカーの集団に入り走行していた出口選手が突然ピットに戻って来た。理由は、間違ってサインボードにピットインの合図が掲示されていた為、それを見た出口選手が誤ってピットインして来てしまったと言う訳だ。
直に間違いと気付きそのままピットを後にした。慌ててピットアウトを急いだ甲斐があり運良くゲートが開いていた為、同じセーフティーカーのグループ最後尾に着く事が出来た。

しかし、ここでも約30秒のロスが生じてしまい、前を行くチームから1周差がついてしまった。その後出口選手は遅れを取り戻すべく集中して追い上げを続けた。約1ヶ月あまり前の、鈴鹿8時間耐久ロードレースで転倒し、鎖骨と恥骨の3箇所を骨折する大怪我から何とか調整し間に合わせて来た彼の執念の走りがそこにあった。
2週間前の事前テストではマシンに股がるのがやっとだった彼が、昨シーズンSSTクラスチャンピオンになった2人のチームメイトと遜色ない走りを見せていた。3時間が経過し、順位はクラス3位、総合でも13番手にポジションアップする事に成功。

レースは順調に進み、5時間が経過した頃から夕闇に包まれ、夜間のセッションに移って行った。夜間になっても安定して3名のライダーは良いペースで走り続けた。中でも出口選手は昼間と変らないペースで走行し順位を上げて行った。6時間経過後の順位はクラス3位、総合12位となった。前のマシンとは約1分差まで追い付いていた。
ジュリアン選手、ケビン選手とも、実に落ち着いていてペースを乱す事なく走行を続けていた。8時間が過ぎ、上位陣にアクシデントが起こり順位はクラス3位、総合9位まで上げる事が出来た。この8時間のタイミングで24時間レースのルール上2ポイントのボーナスポイントが加算された。夜も更けていき3名のライダーは依然安定してラップを刻んでいる。
ピットワークでも大きなミスもなく上手く繋いでいた。しかし、10時間過ぎ辺りからアッパーカウルとアンダーカウルを止めているクイックファスナーが脱落し、アンダーカウリングの右側が外れ掛けてしまうトラブルが発生してしまった。
初めは応急処置で済ませ、何とか走らせていたが、13回目のルーティーン作業の時にアンダーカウリングを交換。約1分のロスが生じてしまった。

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12時間が過ぎレースも折り返し時間を経過した。順位はクラス3位総合では12位。前との差は1周差だ。遅れた分を無理をせず冷静にペースを守り坦々と走行する3名のライダー達だった。その甲斐もあり16時間目にはクラス2位、総合9位まで上がる事に成功。
また、この16時間経過時点で更にボーナスポイントが加算された。時刻は朝7時を過ぎ周りは明るくなってきた。気温は18度とやや風が冷たく感じる状況だった。EWC上位陣は夜間から明け方になり、トラブルに見舞われ、順位を入れ替える展開になっていた。それを横目にゼッケン4番Webike TatiTeam TRICKSTARは順調に走り続けた。

遂に20時間過ぎにはクラス2位、総合8位まで順位を上げることに成功。ここまでくるとサバイバルレースの様相が色濃くなり、トップも目紛しく入れ替わる。ライダーもそれを支えるクルー達も披露困憊だが気は抜けない。マシンは右コーナーでフロントタイヤに振動が発生してきてしまった。
タイヤを交換すべきか迷ったが、チームはペースを落としてでも慎重にルーティーンの時間まで引っ張った。一瞬冷やっとする場面もあったが、ライダー達は落ち着いて慎重に走行を重ね難を逃れた。結局ルーティーンでのタイヤ交換を済ませた後はその問題も解消された。

午後を過ぎいよいよラスト1時間となり最後は出口選手からジュリアン選手に交代してコースイン。そのままジュリアン選手はこれまでと変らず焦らず、ややペースを落とし、安定した走りを続けた。24時間と言う長丁場のレースのチェッカーが、16日午後15時に振られ、チームはクラス2位、総合8位という素晴らしい順位でゴールを迎える事が出来た。

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【ジュリアン エンジョラス】

今回のレースで良い結果を残せた事をとても嬉しく思います。新しいジョイントチームとして結果を出し、走りきれた事にも満足しています。これで新たなチャレンジに向け良いスタートが切れました。スポンサーや応援して頂いている方達に本当に感謝しています。次のル・マンでも良い成績が残せるようベストを尽くします。応援よろしくお願いします。

【ケビン デニス】

またこの場所で表彰台に立ててとても嬉しく思います。チームのクルーも良い仕事をしてくれたし、今回初めてチームに参加した出口選手はとても速くて優秀だったのでとても頼もしかったです。最後に私達をサポートして頂いているスポンサー様、応援して頂いているファンの皆さんありがとうございました。次回も頑張りますので応援して下さい。

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【出口 修】

先ずは、2018-2019年世界耐久選手権開幕戦ボルドール参戦にあたりまして、多大なるご尽力を頂きました各スポンサー企業様、関係各社様、そして、この新たなシーズンを一緒に戦おうとオファーしてくれたトリックスターレーシングの鶴田監督には心より感謝いたします。

今年度は、これまで長く在籍して来たトリックスターレーシングとしての単独参戦ではなく、昨年度の世界耐久選手権SSTクラスチャンピオンチームである、フランスのTati teamとのジョイントチームとなり、ヨーロッパラウンド、最終戦鈴鹿、それぞれの活動拠点でのノウハウ、強みを活かし、改めて世界耐久選手権チャンピオンを目指すと言う試みでスタートしました。

ボルドール24時間からスタートするヨーロッパラウンドのレース運営の中心はTati team となる為、先ずは、彼等とのコミュニケーション、信頼関係を築くことが最初の仕事となりましたが、トリックスターレーシング、そして、その代表選手として受け入れてもらえるか否かは、やはりタイムが判断基準となりますし、鈴鹿8耐での怪我が癒えない厳しい状況、また初めて乗るSSTクラスのマシンと言う事もあって正直これまでに経験の無いプレッシャーを感じていました。
幸い、ボルドールは2年前にトリックスターから参戦した際に表彰台を獲得した相性の良いコースの為、マシンに慣れる事に集中出来ました。また新しいチームメイトからのアドバイスも有り早い段階で彼等と遜色ないタイムを出す事ができた事で互いのパートナーシップが深まりました。
24時間の長いレースでは、クラス2位、総合でも8位と上位に食い込み、初戦としては最高の形でシーズンのスタートを切る事ができ、レース後には、互いに抱き合い心から喜びを分かち合う事で本当の意味でジョイントする両チームが1つになったと感じましたし、その瞬間、大きなプレッシャーから解放された清々しさを感じる事が出来ました。

第2戦は、来年の4月のル・マン24時間となります。先ずは怪我の完治を優先し、万全の状態で次戦を迎えられる様しっかりと準備をしていきますので、引き続き応援いただきますよう、よろしくお願いいたします。

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【パトリック エンジョラス】

今シーズンからTRICKSTARとジョイントし新たなチャレンジをして行く事になりとてもタイトルへの可能性が大きくなりました。そのチャレンジのはじめのレースでこのような良い成績でスタートが切れとても満足しています。
3名のライダーも良い走りをしてくれ、それを支えるクルー達もとても良い仕事をしてくれました。レースは少しの問題はありましたが、ほぼ私達の想定通りうまく運ぶ事が出来ました。
この様な結果が導けたのもWebikeをはじめ各スポンサー様、チームのクルー、関係者、ファンの皆様のお陰です。私達は次のレースもTRICKSTARとタッグを組んで更に良い成績を目指します。

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【鶴田 竜二】

再起を掛けたこのレースで結果が出せた事にとても嬉しく、感激しております。一度は諦めかけた世界への道ですが、異国地で巡り会えた素晴らしいパートナーであるパトリック エンジョラス氏率いるTati Teamと共に一緒にレースを出来る事が叶い、しかもこうしてまた世界耐久の場で表彰台に立てるなんてとても幸せな事だと思っております。
実際に今回、Tati Team と合流しレースを経験した事で感じた事は、流石にチャンピオンチームだなと言う事です。レースのプランや組み立てがしっかりしており、全ての事を事前に明確にし、常に落ち着き払い物事を進めて行く所です。それを指揮しているパトリック代表の采配は、お見事であり、今回は彼からとても多くの事を学ばせて頂きました。

ライダーも、ジュリアン選手とケビン選手は昨年タイトルを獲っただけあり、実に落ち着いていてクレバーなレース運びをしていました。彼らは耐久レースを良くわかっていて、それを確実に遂行出来る所が凄いと思いました。
ジュリアン選手は、自ら迷いもなく予選で予選用のソフトのタイヤを選ばずに決勝タイヤを装着し、決勝に専念するという行動を取れた事は凄いと思いました。ケビン選手はシュールな走りをし、速いラップタイムを安定して刻み続け、殆どムラがなく走る姿はもはや耐久スペシャリストと言えるような仕事の出来るライダーでした。
日本から参戦した出口選手も実に良い仕事をしてくれました。前回の鈴鹿で負った怪我がとても心配でしたが、痛みやプレッシャーに打ち勝ち、見事に表彰台に導いてくれました。夜間の走行では遅れを取り戻す素晴らしい走りをしてくれて大いにチームに貢献してくれました。とても誇りに思います。

クルーも皆、浮ついた所がなくレースに集中する姿勢と技術はかなり高く、何よりもチームワークが良く、皆が落ち着く雰囲気が常にあり、とてもレースがやり易かったです。以上の事からも、改めてこのチームと一緒にタイトルを獲りに行けると確信しました。
最後になりましたが、今回の我々のチャレンジにご支援を頂きましたWebike様、ダンロップ様はじめ各スポンサー様ならびにサポーター様、ご協力を頂きました関係者様、いつも暖かい応援を頂いているファンの皆様に感謝しております。

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