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今シーズンチャンピオンのTati Teamとタッグ
TRICKSTAR Racing(トリックスターレーシング)が、2018-2019 EWC 世界耐久ロードレースシリーズに参戦することを決定し、参戦体制とともに発表した。
今シーズン世界耐久シリーズチャンピオンを獲得したTati Teamとタッグを組み、Webikeのメインスポンサードを受け、シリーズタイトルを目指す。フランスをはじめ、ヨーロッパラウンドはTati Teamのファクトリーを拠点に合同で運営し、鈴鹿8時間耐久ロードレースはTRICKSTAR Racingが主導となり運営することになる。
ライダーの選考は、積極的に日本人を1名起用し、あとはEWCタイトル獲得に相応しいライダーを両チームで協議のうえ決めて行く方針で、将来の若手日本人ライダーの新たな活躍の場として目標になれるよう取り組んでいく。
なお、初戦のボルドール24時間耐久レースは、TRICKSTAR Racingと2013年から世界への挑戦を共にしてきたライダー出口修選手と、今期Tati TeamでシリーズタイトルをSSTクラスにて獲得したジュリアン・エンジュラス選手、ケビン・デニス選手の3名で挑む予定だ。
以下プレスリリースより
チーム体制
チーム名
Webike Tati Team TRICK STAR
参戦クラス
EWC 世界耐久選手権シリーズ フル参戦
ゼッケン
4番
マシン
KAWASAKI ZX-10RR
チーム所在地
アジアラウンド:TRICKSTAR Racing/愛知県 名古屋市
ヨーロッパラウンド:Tati Team/フランス ブルゴーニュ地方のボジョレー地域
ライダー
出口修 (45) 出身国:日本
ジュリアン・エンジョラス (36) 出身国:フランス
ケビン・デニス (29) 出身国:フランス
チーム戦歴
TRICK STAR
鶴田竜二が代表を務めるブランド。現在愛知県名古屋市に拠点を構える。
鶴田竜二
1988年にカワサキのファクトリーライダーとして契約し、1990年にカワサキ初のシリーズタイトルを獲得。全日本チャンピオンを計2度獲得。
また1992年ホンダに移籍しGP500ccクラスに参戦。同年鈴鹿8時間耐久ロードレースにフレディースペンサーとペアを組み4位入賞を果たす。
今ではTRICKSTAR Racingのオーナー兼監督として広く世界へ活動の場を移し、世界でのチャンピオン獲得を目標としている。
TRICKSTAR Racing
2001年にTRICKSTARレーシングとして活動を開始。全日本選手権スーパーバイクや鈴鹿8時間耐久ロードレースに勢力的に参加。
【主な歴史】
2009
TRICKSTARレーシング 鈴鹿8時間耐久ロードレース 2位獲得
2010
アニメで有名なエヴァンゲリオンレーシングとコラボ開始(2018年現在も継続中)
2012
インドネシア国内レース IRSシリーズ戦に参戦 シリーズランキング2位
2013
EWC世界耐久選手権シリーズ ル・マン24H耐久ロードレース EWCクラス 総合9位
2014
台湾国内選手権シリーズに参戦 総合優勝を獲得 ライダー浜口俊之
2015
ARRCアジア選手権シリーズ AP250ccクラス シリーズチャンピオン獲得 ライダー山本剛大
2016
全日本選手権MFJ-CUP JP250ccクラス シリーズチャンピオン獲得 ライダー田中歩
EWC世界耐久選手権シリーズ フランスボルドール24H耐久レース 3位獲得
2017
WebikeとコラボでEWC 2016-2017 世界耐久選手権シリーズ参戦 ランキング10位
全日本選手権やアジア選手権を経て、今では世界の耐久選手権シリーズに挑んでいる。
ここに至るまでの経緯 鶴田竜二コメント
この一年の間、今一度体制と戦略を見つめ直し、当初からの目標であった世界耐久選手権シリーズ、チャンピオン獲得に向けて再チャレンジを日夜模索しておりました。
EWCシリーズの実質メインとなるボルドール大会とル・マン大会に二つの24時間耐久レースが行なわれるフランスへ渡り各関係者にお会いし交渉をして参りました。そして、その甲斐があり、今回フランスで新たなTati Teamと言う素晴らしいパートナーと共に、再びチャレンジが出来る環境を得る事が出来ました。
パートナーはフランスのリヨン、ボジョレーに拠点を設けるチームであり、今シーズンの世界耐久選手権シリーズ SSTクラスでシリーズチャンピオンを獲得しております。彼らは2014年からEWCに参戦しており、参戦直後から頭角を現している素晴らしいチームです。
オーナーはパトリック・エンジュラス氏。現在63歳の元ライダーであり、2004年よりTati Teamを設立しフランススーパーバイク選手権シリーズに参戦を開始、2014年よりEWCのSSTクラスに参戦を開始しています。
ライダーはオーナーの長男であるジュリアン・エンジュラス氏がエースライダーを務め、チーフメカニックは次男のバティスタ・エンジュラス氏が担当しています。
チームはファミリーが中心になり結束力を高めています。活動そのものは決して派手ではありませんが、しっかりとポイントを心得て活動を行っています。その結果が今シーズンのタイトル獲得に繋がっています。
彼らのチームの目標は私と同じ EWC シリーズチャンピオンを獲得する事です。
何故、Tati Teamとタッグを組んだのか?
2016-2017シリーズに参戦しながら戦っていた時に、色んなチームが目に入って来ておりました。その中でも彼らのチームは特に目立っていました。SSTクラスで出場していながら総合順位でも上位に食い込むパフォーマンスを発揮しており、今シーズンのシリーズタイトルを獲得した事で、速さと総合力を兼ね備えていると判断しました。
また今年のル・マン大会やレース以外でも、彼らとお互いの夢や目標を話し合う時間を共有させてもらう機会を設けて来、考え方や価値観が凄く近い事が確認出来ました。
そこで彼らと一緒にレースに参戦してみたいと思い共同参戦をする事にしました。
鶴田竜二の想い
私達TRICKSTAR Racingは、昨シリーズのEWC 世界耐久ロードレース選手権シリーズにフル参戦をしていましたが、思い描いていた様な良い結果を得る事が出来ませんでした。
2013年ル・マン24時間耐久レースにオール日本人チームとして初の単独参戦をし、初参戦ながら9位完走を遂げました。2016-2017シリーズには念願のフル参戦が叶い、初戦のボルドール大会では3位表彰台に立つ事が出来、シリーズランキング10位となりました。
昨シリーズは、我々が目差した結果ではありませんでしたが、それでもシリーズをしっかり戦い抜きました。継続して今期も参戦する予定ではいましたが、ヨーロッパの大半のシリーズ戦は、日本のプライベートチームが単独参戦するには毎戦日本とヨーロッパ開催地への荷物の輸送やクルーの渡航費などコストの面で莫大な資金が必要になり、現状では大変困難な事だと改めて思い知らされました。
その結果、残念ながら一年間参戦を中断しました。しかし、チャレンジは諦めません。1度や2度失敗したとしても目標として掲げた以上、やり遂げたいのです。
この1年間は活動を中断し、準備の年として水面下では再起出来るよう死物狂いで取り組んで参りました。今改めて思う事は、一度口に出したから意地でもやらなければ、という使命感や義務感から行なうのではなく、私にとってEWCシリーズフル参戦は純粋に参戦したい、参戦する価値のある素晴らしいレースだと感じている、ということです。
再びチャレンジできる喜びを大切にしたいと思っています。そしてTRICK STARを世界に通用するメーカーにする為にもチャレンジする必要があるのです。
何故EWCなのか?
世界格式レースの中で、プライベーターでもシリーズチャンピオンを目指せ、多くの人と一緒に取り組み、喜びや、悔しさ、楽しさを共有する事が出来る素晴らしいレースだからです。
私が現役ライダーの頃は日本もバブル時期にあり、海外のレース、特に世界グランプリを目標におき、頑張り次第ではそれなりにチャンスもありました。しかし今はどうでしょう?
世界の最高峰MotoGPに参加出来る選手は日本では殆どの人が目指す事が難しい状況です。それは時代的な背景はもちろんありますが、政治的な面や環境が変って来たからだと思うのです。
こんな状況ですから目標を高く持つ若い世代のライダーが増えなくなり、夢を目指していたライダーも世界の壁は越えられないと判断し、モチベーションが上がらず途方に暮れてしまう方も少なくないと思います。ライダーだけではなくメカニックもチームもそんな状況です。
しかし私はこう思うのです。そもそもMotoGPを無理に目指さなくても、もっと他に目標とすべく世界の素晴らしいレースがあれば良いのだと。そう、その目標にすべき素晴らしいレースの一つが世界耐久レースシリーズだと自らの経験上、断言出来ます。
EWCは日本でも人気が高い鈴鹿8時間耐久ロードレースが含まれていますが、特にル・マンやボルドールなど24時間耐久レースは最期の最期までどのチームが勝つか分からず、プライベートチームでも充分勝つチャンスがあります。
EWCは、世界格式のレースで世界59ヶ国にユーロスポーツを中心にその活動の内容が広く配信されており、メジャーなレースとして変革してきております。これに参加しているチーム全ての人達がレースを心底楽しみ、各自、各チームそれぞれがゴールを設定しチャレンジしています。
耐久レースですから、スプリントレースと違い、チームは複数の人達が集まり、目標に向けてピツトワークの練習なども含めて1年を通じて準備をし、決勝のゴールまでそれぞれの想いと力を合わせてゴールを目差します。そしてゴールを迎えたチームの関係者と共に喜び、時には悔しがったり、大いに讃え合います。この姿こそモータースポーツの神髄だと気付かされたのです。
EWCは若いライダーからベテランライダーまで長く活躍出来るチャンスがあります。これから私達のチームで世界のシリーズチャンピオンを目指しますが、日本を飛び出し世界一を目指したい日本人ライダーを積極的に起用して行きたいと思っております。
日本が世界に誇れる技術の代表でもあるモーターサイクルが、プロダクトだけではなくそれを操る人、ライダーも、メカニックも、日本の中から世界に通用する人達がどんどん増えていかなければ、やはり悔しいではありませんか。
そんな想いの中で私は日本人として世界に飛び出し挑戦し続けていきます。
TRICK STAR Racing
鶴田 竜二
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