
Webike IKAZUCHI Racingは、3月3日~4日に行われたアジアロードレース選手権(ARRC)第1戦・タイラウンドに参戦。ライダーのアンソニー・ウエスト選手がYAMAHA YZF-R6を駆り、レース1で2位、レース2で見事優勝を果たした。
■第1戦 Chang International Circuit / Thailand
■開催日:2018年3月3日~4日
■チーム名:Webike IKAZUCHI Racing
■ライダー/予選順位(タイム)/Race1/Race2
#13 アンソニー・ウエスト/2位(1' 38”594)/2位/1位
#29 パトリック・リー/22位(1' 45”859)/DNF/DNF
目次
鶴田竜二 ARRC参戦コメント
今シーズンは、新たにシンガポールに拠点を置くチームとコラボを組み、昨年より我々チームにもメインスポンサーをして頂いている、Webikeさんのスポンサードを受け『Webike IKAZUCHI Racing』として参戦を決めました。我社TRICKSTARはエキゾーストをはじめ技術的支援を主にサポートして参ります。
もともとコラボ先のこのチームはアジア選手権シリーズに対して長い歴史があり、既にアジアのレジェンドになった浜口俊之選手を起用し過去6度のシリーズタイトルを獲得している素晴らしいチームです。
チーム全体が良く統率がとれていて、各個人のスキルと意識も非常に高く、厳しいレースの世界に身を置きながらクルーの皆が楽しみながら参戦している姿がとても印象的です。
この素晴らしいチームと今シーズンはアジアのチャンピオンシップに向けて戦って参りますので応援よろしくお願い申し上げます。
予選 (3月3日)
朝から日差しが厳しいドライコンディションの中、予選が行なわれました。今年からチームはニューマシンとなったR6で、ぶっつけレースウークでセッティングを合わせながら進めていました。
開始早々、アンソニー・ウエスト選手は勢い良くコースインしていきました。新しいマシンにシンクロする為に少しでも周回を重ねたい気持ちの表れでした。
まず、計測1周を終え1分40秒941というタイムで8番手に着けました。他のライダーと絡みすぎないように上手く間合いを計りながら走行を続けます。計測2周を終え1分39秒274で今度は4番手に順位を上げます。
予選時間が40分間の中で、2セットまでタイヤを使い切りベストタイムを出す計画でした。3周を終え、1分39秒011をマークし2番手に浮上。事前テストを行なえていない中で、アンソニー選手の健闘が光ります。
やがてタイヤを交換する為にピットインしてきました。マシンの調子も悪くなくクルーと少しだけ確認をし、タイヤを交換し再びコースイン。アンソニー選手がピットインしている間に、他のライダーもタイヤを変え2度目のタイムアタックを行なっていきました。その結果アンソニー選手の順位は4番手まで後退。
コースイン後計測1周目、残り時間5分を経過。モニターにアンソニー選手の走行が移し出され、ゴールラインを通過していく。タイムは1分38秒708と順位を2番手に戻しました。
その後も果敢にタイムアタックを行い次の周に1分38秒594とトップにわずか0.1秒届きませんでしたが、2番手タイムで予選を終了しました。
決勝レース1 (3月3日)
オーバーランで順位を落とすも、しっかりリカバリーし、
堂々の2位で表彰台に立つ!
予選と同じ日の午後 3:05 から日差しが強いドライコンディションの中、全18周のレースが行なわれました。
スタートが切られ1コーナーを4番手で進入。2コーナーまでの長いストレートで抜かれるも、3コーナーの進入で再び4番手に着ける。
続いて4コーナーまでのストレートでも順位が入れ替わる。しかし5コーナーの進入ブレーキングでまた抜き返し4番手をキープ。オープニング ラップから激しい攻防が展開されました。
1周目のコントロールラインを4位で通過するアンソニー選手。2周目も同じ様な展開で序盤は進んで行きました。3周目の1コーナーでトップ争いをしていた、YAMAHAタイランドチームのデチャ・クライスラー選手が転倒し戦線を離れました。
遂にアンソニー選手は5コーナー進入のブレーキングでトップに立ちます。しかし、アジアのトップライダーが凌ぎを削り、ましてやアジアのマーケットに対し各メーカーが力を入れマシンを仕上げて来ているのクラスなので、容易にトップを独走する事は困難でした。事実その後もトップに立つもストレートエンドで順位を入れ替え混戦が続きました。
6周目の最終コーナー入り口で、ゼッケン100の選手にインを抑えられアウト側へ膨らんだアンソニー選手はゼブラゾーンに乗ってしまいブレーキングが思うように出来ずラインを外し、オーバーランをしてしまい、順位を6位まで落としてしまいます。
アンソニー選手が順位を落とし、追い上げている間にトップを走るゼッケン100番のティティポン選手が後続車との差を徐々に広げていきます。
周回を重ね丁寧に1台ずつ追い抜き残り5周目で2位に浮上してきたアンソニー選手。その後も抜かれるが巧みにレイトブレーキングで抜き返し、トップには惜しくも届きませんでしたが2位でチェッカーを受けました。
レース2 (3月4日)
並みいるメーカー系チームを抑え、
圧倒的な強さと速さをを見せつけ優勝を果たす!
レース1と同様、日差しが強いドライコンディションの中、18周のレースが行なわれました。
スタートが切られ、1コーナーに5番手で進入するアンソニー選手。2コーナーで4番手に上がると更に前を行く選手の隙を伺いながら走行。7コーナーの進入で巧みにラインをクロスさせ3番手にポジションアップ。レース1の雪辱を晴らすべくアンソニー選手の気迫溢れる走りが随所に表れます。
2周目、コーナー進入のブレーキングで2番手に順位を上げ、更に3コーナでは早くもトップに躍り出しました。しかし、メーカー系チームのマシンは速くストレートエンドで追いつかれ抜き去られてしまいます。アンソニー選手の得意な4コーナーの進入で抜き返すという攻防がしばらく続きます。
しかし、今回のアンソニー選手の鬼気迫る走りは他を圧倒していました。抜かれても直にトップに立ち3位以下に順位を落とすことはありませんでした。ライバルも必死に食い下がりますが、残り3周になったところで徐々に2位以下のグループと差が開き始めました。
残り2周となり2位グループは激しさを増し、アンソニー選手のペースに及ばず差は更に開いていきます。遂にラストラップとなり後続に約2秒の差を築くこと成功。その後も危なげないリードを保ちつつアンソニー選手は快走を続けます。もはや単独走行に近い状態で大差を付けトップでチェッカーを受けました。
こうしてアジア選手権第1戦目となるタイラウンドメインレースの優勝を決めてくれました。
鶴田竜二 レース後コメント
アンソニー選手は、ワールドスーパースポーツにもエントリーしていて、その影響で事前テスト走行時間を走る事が出来ず、そのままレースウイークとなり、マシンも新型で不安はあったはずですが、MOTO-GPまで経験したライダーは流石というべき素晴らしいレースをしてくれました。
彼はピットの中でも常にリラックスしていて、レースに対して良いコンセントレーションが出来ていました。その姿は端で見ていて風格さえ漂う雰囲気を醸し出していました。
夜も一緒に食事をしたのですが彼はアルコール類には手をつけず、私がお酒は飲まないのですか?と聞いた所『自分にとって、とてもレースを大事にしているからウイークは飲まない』と語っていたのがある意味意外でとても印象的でした。
これだけの実績のある選手が未だに真剣にレースに取り組んでいる姿があるからあんな素晴らしいレースが出来るのだと納得させられました。
私達TRICK STARが今回供給したIKAZUCHIエキゾーストシステムもアンソニー選手の好みに合っていたみたいで、並みいるメーカー系のチームを抑えて優勝してくれた事に本当に感謝しています。
一方のパトリック選手は今回実力を出せなかったみたいですが次回に期待したいと思います。この素晴らしいチームと今シーズンはアジアのチャンピオンシップに向けて戦える事を誇りに思います。
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