
MotoGPロードレース世界選手権は、シリーズ17戦を迎え、いよいよ大詰めを迎えた。JiRとT.Pro.Innovationがジョイントして3戦目となる今回のレースは、熱帯のマレーシア・セパンサーキットで行われた。T.Pro.Innovationとしては、今シーズンよりコラボレーションしてアジア選手権に参戦しているYUZY Hondaの母国だけに、第2のホームグランプリでもあった。ライダーの小山を始め、T.Pro.Innovationのメンバーは、前戦のオーストラリアを終えた後、一度、日本に戻り、新しいスイングアームを手荷物で運びマレーシアに向かった。
金曜日のフリープラクティス1からフィリップアイランドからの流れでマシンを詰めて行く。フリープラクティス2は、ちょうどMotoGPクラスのときにスコールがあり一気にウエットコンディションとなるが、雨はすぐに止み、熱帯の暑さが路面を乾かして行く。セッション序盤は濡れている部分が多かったため、小山は路面が乾くのを待ってコースインして行く。新しいスイングアームは、ポジティブな感触があり、セッション毎にタイムを縮めて行った。また、路面温度の高い状態でのマシンの課題も見えて来たこともあり、今後のマシン造りに大きな収穫となった。
決勝レースは、スタート直後に1コーナーから2コーナーへの切り返しで多重クラッシュが発生。小山は、イン側を走っており影響は受けずにポジションを上げて行く。しかし、エンジンのマッピングを詰め切れておらずストレートスピードが伸びず簡単にストレートでかわされてしまう。無理にブレーキングでかわしても、すぐにかわされてしまうことは明白だった。苦しいレースの中でも、マシンの状態を把握し、着実にゴールラインまでNH6を運んだのだった。
小山知良選手コメント
「無事に3連戦を終えることができました。オーストラリアでは大クラッシュもありましたが、チームのバックアップのおかげで走り切ることができました。この3連戦で貴重なデータをたくさん得ることができましたし、今後のマシン開発に生かして行きたいですね。このプロジェクトに関われて本当によかったですし、心強いサポートをしてくれているNTS様、MSK様を始め多くのスポンサーに感謝します」
手島雄介監督コメント
「NTS様、Honda様、そしてJiR様を始め多くのご支援、感謝いたします。今回は3連戦の最終レースと言うこともありT.Pro.Innovationのスタッフもイタリア人スタッフと、いい感じにコミュニケーションも取れていましたし、初めて暑いレースを走ったことで新たな改善点が見えました。そしてNTS NH6プロジェクトが進んでいく道も明確になりましたし、その手応えを感じることができました。もちろん、その道は険しいものですが不可能ではありません。最後に、Moto2にチャレンジする機会を与えていただいたNTS様に重ねて感謝を申し上げます」
この記事にいいねする