MotoGP日本グランプリに急遽参戦することとなったT.Pro.Innovation。ライダーは小山選手で、フレームはなんと全日本で使っているNH6を使用するという。
Teluru Team JiR Webikeとのドッキングで実現した今回の参戦についての意気込みと、今まで戦ってきた全日本ロードレース選手権、アジアロードレース選手権について、チーム監督である手島雄介監督、Moto2クラスに参戦となった小山選手、チームメイトの岩田選手にお話を伺いました。

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Q:今シーズンは全日本ロードレース選手権のJ-GP2クラス、アジアロードレース選手権のSS600クラスにT.Pro.Innovationとしては参戦されています。
まだシーズンは残りありますが、この2つのシリーズを掛け持ちしてみて、いかがでしたか?

A:手島監督
とにかく忙しいというのが本音です(笑)。全日本の準備もしながら、アジアの準備もする。特にアジア選手権は船便でマシンを各国に回しているので、届くまでに1ヶ月は掛かってしまう。この間にマシンに触ることが出来ないですし、税関や海上輸送の関係で届いたらカウルがバキバキに割れていた・・・ということもありました。水がコンテナに入った形跡があったこともありましたね。

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Q:全日本ロードレースではチームのメインスポンサーであるNTSが開発するオリジナルフレームで参戦し、MotoGP世界選手権のMoto2とまったく同じタイヤで戦っているとお伺いしました。
どんな苦労がありますか?

A:岩田選手
NTSのフレームはMoto2をターゲットに開発されています。だからこそMoto2クラスと同じタイヤを使っています。
Moto2で使用されているタイヤはダンロップ製でセンターが硬いタイヤで、またエッジのグリップもそこまで強くないタイヤです。進入からリアを滑らせて積極的に向きを変えていくような走りでないとタイムが出ないのが特徴ですね。とても難しいタイヤだと思います。
他の全日本ライダーと同じような勢いで走ってしまうと、ヒヤッとする瞬間があります。ただ、タイヤの暖まり方が非常に早いので、1周目から飛ばしていけるように練習を重ねています。

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A:手島監督
今の世界の走りは、コーナー進入で滑らせて向きを変えていく走りが主流です。Moto2のタイヤはまさにそれなのですが、日本の路面がとても良いサーキットでは、あまり行われてこなかった走りなんです。
最近は日本でもスーパーモタードやダートトラック、モトクロスと言ったトレーニングを取り入れるライダーが多くなってきましたが、海外で主流のリアを滑らせる走りに繋げるために行っています。

A:小山選手
海外のサーキットはグリップが良くないところが多いので、タイヤと路面と、そういった走りがマッチするんですね。滑らないようにしてしまうとタイムが出ないので滑らせて速く走る、という技術が当たり前になっています。
Moto2の選手はあのタイヤで良いタイムを出しているので、マシン全体のセッティングをタイヤに合わせていければベストマッチな部分が見つかると思っています。

Q:フレームはどうでしょうか

A:小山選手
フレームはまだ開発段階ですが、高速コーナーは非常に曲がりやすいしっかりした車体です。また、低速コーナーに課題がありましたが、ここ数戦でだいぶ調整が出来てきました。まだ表彰台にはあがっていないんですが、トップとの差は着実に詰まってきていますし、一発のタイムはだいぶ出るようになりました。

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Q:アジアロードレース選手権ではSS600クラスに参戦中ですが、ライダーのレベルが上がってきているように感じますが、実際に走っていて、どのように感じますか?

A:小山選手
全体のレベルが上がっていますね。5、6年前からアジアライダーの育成やトレーニングを各メーカーや各チームが行っていますが、そのときのライダーが今のSS600にいます。僕らも去年よりもタイムを上げていかないと、トップポジションにいられないような状況です。タイヤも消耗しないようにうまく走ったりと、色々なテクニックも重要になっています。

Q:タイヤの消耗というお話が出ましたが、どんな走りだと、特に消耗してしまうのでしょうか。

A:小山選手
加速で前のバイクについていこうとしたときなど、どうしてもスロットルがラフになります。そんなときにリアタイヤが空転して熱を持ったり、スライドして表面が荒れたりすると、消耗が激しくなります。いかにスムーズに、グリップをそのままスピンさせずに路面に伝えるかが重要ですね。

A:岩田選手
アジアのライダーはまだそのスロットルワークが荒々しかったりして、後半の競り合いで何とか優位に立てるときもあります。
僕自身も前戦岡山での全日本では予選3位で良い位置からのスタートだったんですが、前半でなるべく逃げ切ろうと、タイヤをあまり考えずに走った結果、消耗させてしまい、後半にペースを維持することが出来ませんでした。
冷静にレース全体をマネジメントするような走り方は、特に先輩である小山選手の走りを見て学んでいます。

A:手島監督
岩田選手にはもっとタイヤのことを考えてほしいと思います(笑)

Q:さて、そしてその2つのカテゴリーだけでも大変なところに、MotoGP世界選手権の参戦が急遽決まりました!
全日本で使用していたフレームがそのまま使用され、タイヤも同じ。準備していたようなタイミングですが、ずばり車体はもてぎにはあっていますか?

A:手島監督
小山選手は130Rが速いですよ!

A:小山選手
その先はちょっと難しいコーナーが続くのと、しっかり曲がるような低速コーナーは苦手なので、もっと調整していかなければいけない部分です。
特にMoto2クラスでは1分50秒台が予選最速タイムで、52秒台は切って行かないとトップ10にも入れないというバトルになります。全日本のJ-GP2では今年1分54秒台なので、エンジンがパワフルになったとしてもつめなくてはいけない差が大きいのが現実です。
いかにもてぎの今までのデータを使ってマシンを早く仕上げるか、そこから更につめていけるかがポイントです。今から色々なことを想定して、多くのセッティングプランを考えています。レースが始まってからでは遅いので。

Q:参戦する他のライダーについて、注目している選手はいますか?

A:小山選手
125ccに参戦していた時に、今のMoto2ライダーとは結構一緒に走っています。今Moto2でランキングトップのエステベ・ラバットには125cc時代一度も負けたことがありませんよ(笑)
ただ、やはり今シーズンのMoto2を皆走っているので、セッティングもだいぶ詰まっているはずです。車体も出来上がってるはずですし、今回は彼らの胸を借りるつもりで走ります。

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(写真左から手島監督、小山選手、岩田選手)

Q:小山選手が得意なポイント、見てほしいポイントはありますか?

A:小山選手
130Rは得意なポイントですね。車体との特性も合っているので、その先のS字くらいまでいいタイムで走れると思います。
90度コーナーもハンドルストッパーまで当たるくらいのフルカウンターからコーナーに入っていきます。迫力があるのでここも見てほしいポイントですね!
皆さんに応援してもらえるように精一杯走りますので、応援よろしくお願いします!

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