2014年シーズンよりMotoGPのMoto2クラス(600cc)にフル参戦中の、Teluru Team JiR Webikeの長島哲太選手が、開幕戦と第2戦アメリカズGPの合間を縫ってウェビックに来てくれました。世界で戦うレーサーのリアルな話に、集まった社員も圧倒されました。怪我なく、大きく飛躍して欲しいと、Webikeスタッフもいちライダーとして応援しています。それでは、当日のインタビューをどうぞ!

Q:2014年の全日本J-GP2クラスでの体制も決まっていた中で、世界GP参戦の話。決めるまでにどのような思いがありましたか?

まだ全日本でも600ccのバイクに乗り始めたばかりだったので、とにかく初めは不安な気持ちが強かったです。
行って結果が出なかったら、だめになってしまうんじゃないかと・・・。なのであまり参戦を前向きには考えていませんでした。
ただ、シーズンオフにケニーランチ(後述)に参加したときに、ケニー・ロバーツさんに『環境なんか関係ない、物がどうの環境がどうの言う前に行って来い! そこで自分ががんばっていれば必ず誰かが見ていて、結果も付いてくる。』という言葉で背中を押してもらいました。
ウェイン・レイニーさんもトレーニングを見に来ていて、『世界最高の舞台で走ることに意味あって、その世界のレベルで走ることによっておのずと自分もそのレベルに近づいてくる、だからまずは行かなくては意味がないんだ。』と言ってくれたんです。お2人にここまで言われたらもう行くしかない! と決めたんです。

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Q:MotoGPに参戦して、改めて今の心境を教えてください。

テストや第1戦を走ってみて、やはりレベルが高いと感じました。自分が全日本で培ってきたフィーリングをコナゴナに打ち砕かれたというか、とても差を感じています。ただ、だめな部分がデータなどで分かっているので自分としてはとてもポジティブに捉えています。だめな部分を直せばいいやって思っています。
次のレースが待ち遠しいくらい、早くマシンに乗って次のチャレンジをしていきたいです!

▼カタールラウンドで走る長島選手
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Q:どういった瞬間に世界のライダーとの違いを感じましたか?

世界で走っているライダーはコーナーの出口が凄く早いんです。バイクが寝た瞬間にアクセルがあいていて、スライドしながらバイクを曲げていくテクニックが、凄いと感じました。
全日本の時にはタイヤがグリップしないことに不満を感じていたんですが、バカだったなと(笑)。滑りながら曲げて一気に立ち上がる、そんなテクニックが逆に必要だったと感じました。
ロードレーサーにダートトラックやモタードのトレーニングが何で必要なのか理解できました。

Q:グランプリの激しい競り合いについて

去年のもてぎで、予選で調子が良くてタイムアタックをしていたんですが、海外のライダーと競りあっていたら、バックストレートで思いっきり当てられました。気づいたらクラッチレバーが折れていて、そのままコースアウトしたんです。自分はやられたらやり返す性分なので、GPのそういう競り合う雰囲気はウェルカムですね。
ポケバイのころはずっとそんな感じだったので、そのころを思い出します。

Q:シーズンオフはあの伝説のライダー、ケニーロバーツ氏のスクール、「ケニーランチ」に参加されたと聞きましたが、どういった内容のスクールですか?

もう2回ほどいっているのですが、1日中、本当にバイクに乗りっぱなしで、ダートコースでダートトラック仕様のCRF100に乗ってひたすら走っています。
ケニーさんがそれを見ていて、凄く的確なアドバイスをくれるんです。相当よいトレーニングになりました。ケニーさんはお酒も凄く飲まれるので、夜も色々な話をしたりと楽しいトレーニングでした。

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Q:これからのシーズンを通して、どのようにチームと一緒にマシンを作っていきたいですか?

GPは基本英語なんですが、チームにイタリア人しかいないのでイタリア語が飛び交っています。英語であれば、自分のフィーリングを伝えることはある程度できるのですが、イタリア語だとまだまだです。なのでイタリア語も覚えてチームといいコミュニケーションをとっていきたいです。サポートしてくれている分は全力で応えていきたいと思っています。
セッティングに関してはデータで見ても、自分の方向性とチーフメカの方向性がほとんど一緒なので凄くいい事だと思っています。後は自分の走りをそこに合わせるだけなので、頑張りたいと思います。

Q:今年の目標は?

いかにGPでの走りを吸収するか、いかに自分のライディングを高められるかが一つの目標です。そして結果としては1ケタの順位には入れること、そして、もてぎの日本グランプリではみんなに盛り上がってもらえるような走りで、表彰台を目指したいと思っています。
10月までの自分のレベルアップ次第ではそれも出来るはずだと思っています。

Q:もてぎは得意なんですか?

実を言うと得意ではないんです(笑) ただ、他のサーキットと比べてコースが初めからわかっていますし、走りなれたコースなので、他のサーキットよりは武器が一杯あると思います。

Q:新しいコースはどう順応していますか?

ゲームで覚えているというのとMotoGP.comでのオンボード映像などで学習しています。ゲームは相当為になるのでやりこんでいますが、ヘレスサーキットでは製作者のコースレコードよりも早く走ってます(笑)

Q:ライダーとしての最終目標は。そしていつ、どのポジションまで?

自分の中ではMoto2に3年間、そこでMotoGPにステップアップして、2年目の26歳では世界チャンピオンを取るつもりです。日本人で唯一残っているのがMotoGPクラスの世界チャンピオンなんです。そこを取るのが自分の夢であり、目標です。

Q:目標としているライダー、尊敬している人物は?

自分は原田哲也さんをとても尊敬していて、名前の哲太の「哲」も母親が大ファンだったのでそこから頂いています。
昔のビデオを色々見ていると、原田さんはGP参戦初年度でチャンピオンを取っているんですよね。今自分が一年目なのでそう考えると、もう凄すぎるなと。改めて尊敬が深まりました。

Q:これまでのベストレースは?

J-GP3のときの筑波でのレースですね。それまで59秒台には入れられなかったんですが、59秒で走ることが出来て、レースでも2週目から10週目まで59秒台で走るという目標が達成できたレースです。そしてこのときはものすごい減量していた時期でもあったので、レース中に今晩何食べようかなって考えていました。それくらい余裕があって集中できていました。

Q:公道とは比べ物にならない速度や、Gがかかるロードレース。トレーニングはどのようなメニューで行っていますか?

今はレース活動に専念できる環境を頂いたので、朝晩には10キロずつ、計20キロのランニングとバランスボールでのトレーニングを毎日行っています。
Moto2になって全日本のときよりも周回数が多く、いかに持久力をつけるかが重要だと感じています。
トレーニングはウイダーのトレーニングラボに通っていて、心拍数を199以上に上げるまでずっとダッシュ、そのまま心拍数を維持して3分間のダッシュ、というトレーニングをしています。
肺活量をいかに上げるかというトレーニングで、やっぱり集中力を保たなくてはいけないので必要な部分ですね。このトレーニーングは本当にきついです(笑)

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Q:働きながらのレース活動は時間の調整やトレーニングと大変だと思いますが

J-GP3のときは減量もしなくてはいけなくて、体脂肪率は3%でした。減量に関しては本当に倒れるくらいやっていました。朝も夜もとアルバイト生活に明け暮れていた時だったので本当にきつかったです。
社員としてテルルで働き始めたJ-GP2のときは、仕事の時間がきちんと決まっていたので、精神的にも肉体的にも逆に楽になりました。

Q:もうやめようと思ったことはありましたか?

資金の関係で高校3年生のときに、もうやめようと思ったことがありました。
スポーツは好きだったので、大学に進学して体育教師を目指そうかなと思ったときに親に『お前何回大学に行ける金を使ってると思ってるんだ!大学にはいかせん!』と怒られました(笑)。
そんなときに小さいころから家族ぐるみで遊んでいた祥也(富沢祥也選手)が亡くなった事も重なり、お世話になっている人から、『祥也のあとを継ぐのはお前しかいない』といっていただいたときに、自分にはレースしかないなと、心が決まりました。

Q:長島選手は公道でバイクに乗ることがありますか?

実はバイクの免許が無く、自動車免許しかないので地元ではモンキーに乗っています。

Q:応援してくださっているファンにメッセージを

今年から初めての海外レースで、一人で寂しい思いもするのですが、やはりFacebookやブログ、そしてこうして日本で呼んでいただいたりと、色々な応援が自分の中で、レースへのモチベーションになっています。凄くありがたいことなんです。これからも応援よろしくお願いいたします!

Q:応援してくれているスポンサーへのメッセージもお願いします。

J-GP3の時は、自分でアルバイトしたお金でレースをしていたので、そのお金のありがたさ、自分のやらなければいけないことの重さを感じています。
皆さんが見て楽しめるように、盛り上がれるようなレースが出来るように頑張りたいと思います!

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