【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

※記事内画像出典元:motogp.com

2021年より若獅子クアルタラロがワークス入り決定

今年のMotoGPはヤマハが台風の目になりそうだ。その理由は3つある。
ひとつはファビオ・クアルタラロが2021年から2022年シーズンにかけて、ヤマハのファクトリーチームと契約を結んだことだ。クアルタラロはフランス出身の20歳で昨シーズン、ヤマハのサテライトチームから彗星のごとくデビュー。7度の表彰台に立ち(その内2位が5回)、ルーキーオブザイヤーとともに独立系チームに贈られる最優秀ライダー賞を獲得している。優勝こそ逃したが、6度のポールポジションを含めシーズンを通じて首位争いに絡み、ホンダの最強王者マルク・マルケスとも互角の一騎打ちを演じて見せるなど大きく躍進した。

▲ファビオ・クアルタラロ

ヤマハファクトリー入りは2021年からだが、「これからの3年間についてはっきりとした計画を持てるようになった」と本人が語るように今シーズンも全力でタイトルを狙いにくるはず。そうなると、今年からホンダファクトリー入りした弟アレックスを加えたマルケス兄弟との対決や、将来のチームメイトになるはずのヤマハの現エース、M・ビニャーレスとの身内でのライバル関係もさらにヒートアップしてくるはずだ。

▲マーベリック・ビニャーレス

ロッシ現役引退の瀬戸際に有終の美を飾れるか

▲バレンティーノ・ロッシ

二つめはバレンティーノ・ロッシの去就問題だ。9度の世界王者に輝くロッシは言わずと知れたMotoGP界のレジェンドであり、最高峰クラスで21年目を迎える現役のヤマハのエースでもある。しかしながら、ロッシは2017年のオランダGP以降は勝利がなく、タイトル獲得に至っては2009年から遠ざかっているなどかつての栄光も陰りを見せ始めているのは事実である。

そこでロッシとヤマハは重大な決定を下したことを発表。今シーズンは従来どおりヤマハファクトリーチームから参戦するが、2021年以降については今シーズンの中盤までにヤマハとの話し合いで決定するという。そして、2021年以降も現役継続ということになれば、ヤマハからファクトリーマシンと技術サポートを提供。もし引退となった場合はブランドアンバサダーとして関係を継続しつつ若手ライダー育成などの活動を行っていくということだ。

たとえロッシが今シーズンをもって現役を引退したとしても、MotoGPに多大な貢献をしてくれるに違いないが、やはり世界中のファンが望むのはレーストラックを華麗なライディングで疾走する姿だろう。そして、もう一度表彰台の頂点に立つ姿を見てみたいと誰もが期待しているはず。追い詰められたロッシだが、きっと彼ならやってくれるに違いない。

ロレンソがテストライダーとして加入、その真意は!?

▲ホルヘ・ロレンソ

ここにきてビッグニュースが飛び込んできた。ホルヘ・ロレンソが古巣のヤマハにMotoGPマシンのテストライダーとして戻ってくるというのだ。ロレンソは2008年よりヤマハのファクトリーチームからMotoGPクラスに参戦し、2010年、2012年、2015年と3度のタイトルを獲得するなど近年におけるヤマハへの貢献度ナンバーワンと言っても過言ではないレジェンドだ。

その後、ドゥカティ、そして昨年はホンダと名門ファクトリーチームを渡り歩いたが、やはり最も輝いていたのはロッシとタッグを組んでいたヤマハ時代。つまり、ヤマハを知り尽くしたライダーなのだ。そして、最も強力なライバルチームのマシンに直近で触れている数少ない貴重な人物でもある。

その彼がヤマハのMotoGP開発プログラム強化のために今季からテストライダーとして就任。さらに本人が再びレース参戦を決断した場合にはその可能性も残しているという。ロレンソの加入によって「YZR-M1」の開発が加速するのは間違いないはずだし、もしかしたら現役エースのロッシやビニャーレスのタイムを上回ってくる可能性もある。そうなれば当然……。最高にエキサイティングな展開が待っているかもしれないのだ。

▲ホルヘ・ロレンソ

というわけで間もなく始まる今シーズンのMotoGP、ヤマハから目が離せそうにない。

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