文/Webikeバイヤー:あきら

タイヤの内圧(空気圧)はどのように調整していますか?

タイヤの空気圧が自然と下がってしまうのはよく耳にすると思います。
そのため、点検・調整が必要なのです。

  • ツーリング・ロングツーリング
  • オフロード走行
  • サーキット走行

用途によって推奨空気圧が変わってくるため、単純に空気を入れるだけでなく適正な空気圧にする必要があります。
空気圧の設定が適切でないと性能を発揮できないだけでなく、「バースト」、「アブレーション(異常摩耗)」のリスクがあります。
走行不能となるケースもあるため注意が必要です。

ツーリングタイヤと、ハイグリップタイヤにおける空気圧の調整、空気圧の設定が適切でなかったために発生したトラブルの実例をこれから紹介していきます。

※空気圧=内圧(内圧という言葉はタイヤ業界、レース業界で多く使用されている空気圧と同義の言葉です。)

そもそも内圧(空気圧)ってなんで調整するの?

バイクにおける「タイヤ」と「内圧(空気圧)」の役割というのは、

  • 車両を支える
  • 駆動力、制動力を伝える
  • 方向を転換、維持する
  • 路面からの衝撃を和らげる

という役割があります。

※BRIDGESTONE「タイヤの役割」抜粋

内圧(空気圧)に問題があれば、タイヤとしての役割を発揮してくれません。

空気の抜けた自転車を漕ぐより、空気を入れた直後の自転車を漕ぐ方が楽ですよね。
バイクも同じで、燃費に大きな影響を与えます。

とはいえ、やたらめったら内圧(空気圧)を高くすれば良いわけではありません。
路面からの衝撃を吸収できず、ごつごつとした乗り味となってしまいます。

そのため、車種によって「指定空気圧」が存在するのです。
指定空気圧を守らないと性能を発揮出来ないだけでなく、バースト異常摩耗の原因となります。

どうやって調整するの?温間、冷間ってなに?単位がよく分からない!

タイヤの内圧(空気圧)の単位について

単位が複数あってよくわからない!ってことありませんか?
タイヤ等の内圧(空気圧)に使用される単位は「bar」「kPa」「psi」の3種類が良く見かけられます。

どうやって変換するの?
bar(バール)とkPa(キロパスカル)の変換は1bar=100kPaとなります。
「psi」はpsi→barに変換する際はpsiに0.07を掛けると大体の値が出ます。
逆にbar(バール)→psiにする場合はbar(バール)に7を掛けます。

PSIから変換 kPaから変換 BARから変換
PSI×0.07=BAR kPa÷100=BAR BAR÷0.07=PSI
PSI×7=kPa kPa÷7=PSI BAR×100=kPa

エアゲージ等の購入を検討されている人は単位に注意して購入しましょう
※正確な数値ではありませんが、許容範囲内の誤差であるためこの計算が使われています。

タイヤの内圧(空気圧)を確認するタイミングは?

走行前なのか、走行後でタイヤが温まっているかによって内圧(空気圧)が変わってきます。

走行によってタイヤが温まると、中の空気も温まり圧力が高まります。
温まった状態で「指定空気圧に調整した!」と思っても、冷たくなってしまうと空気圧も下がってしまいます

そのため、走行前のタイヤも中の空気も冷えた状態で調整する際の「冷間値」とタイヤが十分温まっているときに参照する「温間値」の2種類があります。

ところで……指定空気圧ってどこに書いてあるの?

車種にもよりますが、スイングアームやチェーンガードに記載されていることが多いです。
ですが、記載のあるシールが剥がれてしまう場合もあるので、オーナーズマニュアルに必ず記載があります。

季節によって暖かい季節に調整していても、外気温が下がると内圧(空気圧)も下がります。
そのため、こまめな点検をすることにより燃費の悪化を防ぐことと、フィーリングの維持をすることができます。

指定空気圧にも「1名乗車時」と「2名乗車時」と分かれているケースがあります。
サスペンション等もそうですが、基本的にバイクは2名乗車を想定して作られています。
1名乗車がメインの方は、内圧(空気圧)やサスペンションのセッティングの見直しをすることによってより良いフィーリングを得られるかもしれません。

1名乗車時のセッティングから、同乗者を乗せたり、積載物を乗せる際は気をつけましょう。

実際に調整してみよう!やっぱりガソリンスタンドで調整?

調整方法

空気圧の調整ができることで有名なのは「ガソリンスタンド」ですよね。
ちょっとハードル高いよ……やり方わからないから怖い。
そう思う方もいるかもしれないので、ちょっとした解説を。

 ※走行直後のブレーキディスクは超高温となっている場合があるので、火傷に注意してください。
※軍手やグローブをした状態でエアバルブを外すことをおススメします。

ガソリンスタンドにおいてエアを充填するものは、可搬式のタイプと設置された物があります。
可搬式は球状のタンクがあって、+(プラス)や-(マイナス)のボタンを押すタイプ、レバーを+側、-側に倒して調整するタイプです。
可搬式のタンクは、専用のスタンドに差すことによってエアを充填しているので、使う際はエアがタンクに充填された状態になっています。
使用後はタンクのエアを充填するために元のスタンドに戻しましょう。

設置されたものは、空気圧をダイヤルやボタンで調整してバルブに押し当てると指定した空気圧まで空気を入れてくれます。
ブザーや独特な音で知らせてくれるようですが、最近では見る機会が少なくなってきた気がします。

ガソリンスタンドじゃなくて、家で調整したい!

ガソリンスタンドでのエアの補充方法は、コンプレッサーによって圧縮空気を作り出してタイヤに補充しています。
ガソリンスタンド並みの設備をお持ちのご家庭は少ないと思います。

しかしながら、コンプレッサーよりコンパクトで、安価
すでに持っている人も多い「あの」道具でバイクのタイヤに空気を入れることができることをご存じですか?

それは
自転車に使用する空気入れ
です

バイクのタイヤに自転車用で使う空気入れで大丈夫なの?と思う方もいると思います。
実は、自転車にしようされるタイヤの空気圧はバイク用よりも高い圧力がかかっているため、空気入れでも問題なくバイクのタイヤにも空気を充填することができます。

ツーリング先でも自由に調整可能に!

最近までは、エアゲージと呼ばれる測定具を持っていき「空気圧を下げる」調整のみツーリング先で行うことが主流でした。


しかし、最近になってコンパクトで空気圧を自由自在に調整できるスマートポンプが登場し、人気を集めています。
空気圧の重要さをお伝えする記事なので詳細なインプレッションは控えますが、筆者も欲しいと思っている商品です。

タイヤごとに推奨空気圧があることも。

基本的に、公道使用可能タイヤは車種ごとの指定空気圧によって性能を発揮できるよう設計されているようです。
タイヤの銘柄ごとに記載していれば分かりやすいのですが、タイヤサイズや車種、車重によって推奨値が変わってくるため、明記しているタイヤは少ないです。

しかしながら、サーキット走行でも使用可能なハイグリップモデルには表記されていることが多いです。
そのなかでも、人気が高く、問い合わせの多い「PIRELLI」DIABLO SUPERCORSA SCの空気圧についてまとめてみました。

DIABLO SUPERCORSA SCテクニカル・アドバイス【空気圧チャート】

タイヤサイズ 推奨リム幅 冷間時の推奨空気圧 温間時の推奨空気圧 タイヤウォーマーの使用時間・温度
フロント
110/70 ZR17
・2.75-3.00
インチ
・2.0-2.2BAR
・200-220kPa
・29-32PSI
・2.0-2.3
・200-230kPa
・29-34PSI
50分/80℃
フロント
120/70 ZR17
3.5インチ ・2.0-2.2BAR
・200-220kPa
・29-32PSI
・2.1-2.4
・210-240kPa
・30-35PSI
50分/80℃
リア 140/70 ZR17 3.50 - 4.00
インチ
・1.7-1.9BAR
・170-190kPa
・25-28PSI
・1.8-2.0
・180-200kPa
・26-29PSI
50分/80℃
リア 150/60 ZR17 4インチ ・1.6-1.8BAR
・160-180kPa
・23-26PSI
・1.7-1.9
・170-190kPa
・25-28PSI
50分/80℃
リア 160/60 ZR17 4.50 - 5.00
インチ
・1.6-1.8BAR
・160-180kPa
・23-26PSI
・1.7-1.9
・170-190kPa
・25-28PSI
50分/80℃
リア 180/55 ZR17 5.5インチ ・1.6-1.8BAR
・160-180kPa
・23-26PSI
・1.7-1.9
・170-190kPa
・25-28PSI
50分/80℃
リア 180/60 ZR17 5.5インチ ・1.6-1.8BAR
・160-180kPa
・23-26PSI
・1.7-1.9
・170-190kPa
・25-28PSI
50分/80℃
リア 190/55 ZR17 5.50 - 6.00
インチ
・1.6-1.8BAR
・160-180kPa
・23-26PSI
・1.7-1.9
・170-190kPa
・25-28PSI
50分/80℃
リア 200/55 ZR17 6インチ ・1.6-1.8BAR
・160-180kPa
・23-26PSI
・1.7-1.9
・170-190kPa
・25-28PSI
50分/80℃
リア 200/60 ZR17 6インチ ・1.6-1.8BAR
・160-180kPa
・23-26PSI
・1.7-1.9
・170-190kPa
・25-28PSI
50分/80℃

タイヤの表面に、あなたの走りが現れます。

サーキットを走ったら異常に摩耗してる!ぼろぼろになってしまった……なんで?


結論からいうとセッティングが合っていない、無理なスロットルの開け方をしているためアブレーション(異常摩耗)が発生します。
「タイヤの内圧を下げれば、グリップ力が上がる」訳ではないのです。
イメージ的にパンパンに空気の入ったタイヤにより、ちょっと空気が抜けてるタイヤの方がグリップしてくれそうというイメージも分からないこともないですが、限度があります。

レース用タイヤにはタイヤごとの推奨内圧

公道使用不可のレース用タイヤの内圧調整は。指定の温度(大体80度)で1時間から1時間半程温めます。温め終わったら、「温間」での推奨値に調整をして走行を開始します。「温間」での調整も万能では無いため、ピットインしてすぐ内圧を測定し調整する「RunHot」という推奨内圧も存在します。走行するとタイヤウォーマー以上にタイヤが温まり、内圧が高くなってしまうこともあるためレーシングチームではRunHotでの調整をすることが多いです。「RunHot」での内圧を目指すために、「温間」時の内圧を少し下げて、タイヤが温まったら狙った内圧にする用に調整したりします。

パターン COLD(冷間) ウォーマー(温間) RUNHOT
KR151 200-210kPa 230-240kPa 210-250kPa
KR149 180-220kPa 230kPa 210-250kPa
KR133 110-130kPa 160kPa 160-180kPa

ツーリングタイヤでも、センター部分には硬く長距離の移動でも摩耗しにくいコンパウンドを使用し、サイドにはハイグリップタイヤのコンパウンドを使用しているタイヤが多く存在します。
分割コンパウンド構造のタイヤでは、境目で大きく段差になるほどの異常摩耗に繋がってしまいます。


他にも、ハイグリップタイヤは熱依存性が高いため、気温の低い状態での乗り出しには気をつけなくてはいけません。
グリップしないという点でも注意が必要ですが、衝撃によってタイヤが割れてしまうケースもあるのです。

タイヤに配合されている「シリカ」と「カーボンブラック」の割合によって乗り出しから安定した走行ができるタイヤと、サーキット走行等の高温に耐えるグリップ力に特化したタイヤが存在しているのです。

詳しくはこちらの記事をご参照ください。
https://www.webike.net/magazine/bargain/bargain-on-road_tire/57450/

つまりどうすればいいの?

推奨空気圧はタイヤの性能を発揮するために、メーカーが試験、設計した上での数値なのです。
ライダー間でされる空気圧がメーカー推奨空気圧から大きく異なっていないか確認してみてください。
サーキット走行をする方は、レーシングサービスにて相談に乗っていただけます。
不具合の症状、どういう方向性にしたいか、現在のセッティング(冷間、温間、RUNHOT、ウォーマー使用温度・時間)等の情報を集めて問い合わせに行くと、ライダー間の噂以上の情報を得ることができます。

 空気圧が低すぎて破損した場合、製品不良として扱われません。そのため、推奨空気圧以外に設定する場合は自己責任となります。

推奨空気圧より内圧を下げても良いタイムに繋がることは少なく、少し内圧を上げて走行したほうが問題の解決や、タイムが上がったりすることもあります。
そのため、推奨内圧より下げるのではなく少し内圧を上げてみることをおススメします。

サーキット走行をしない人も、この記事を読んで「あれ?最後に空気圧確認したのいつだっけ?」となったら、愛車の空気圧を点検してみましょう。燃費の向上や、トラブルの回避に繋がります。

こちらの記事もご参照ください
https://www.webike.net/magazine/bargain/bargain-on-road_tire/56527/

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