
文/Webikeバイヤー:もぐぅ
チューブタイヤの交換は難しい?
前提として、チューブタイヤの交換は流派(作業手順)が多く「どれが正解?」となかなか言い切れません。
数ある流派のうち今回はウェビック随一のメカニック ヤスオ氏の流れを基に、チューブタイヤ交換のやり方、コツを解説します!
リアよりフロント。重量車よりも軽量車。
つまりタイヤ構造が柔らかいほうが作業難易度は低いので、初めてチューブタイヤを交換するという人は、スーパーカブなどのミニバイク系のタイヤからチャレンジしてくのがオススメです!
目次
今回の講師と車両のご紹介
ヤスオ氏はバイクディーラーのメカニックとして活躍していた経歴があり、腕前は文字通りプロ級。
タイヤ交換をする車両はヤスオ氏の愛車、YAMAHAセロー225。
準備する道具
【必要な道具】
- サービスマニュアル
- レンチ・ソケット類
- バルブ回し(虫回し)
- タイヤレバー
- オフロードスタンド
- ビードクリーム(ビードワックス)
- エアゲージ(空気圧計)
- エアーコンプレッサー(空気入れ)
- リムガード(リムプロテクター)
- ビードブレイカー
- タイヤチェンジャー
- ビードキーパー
車体からホイールを外す手順や、既定トルクを確認します。
車体からホイールを脱着するのに必要です。必要なサイズはサービスマニュアルで確認できます。
バルブの中にあるバルブコアの脱着に使用します。筆者的には背の低いものがオススメ。
ホイールからタイヤを脱着するためには必須のアイテム。2本以上あれば安心です。
オフロードバイク専用のスタンドです。車体(タイヤ)を地面から浮かして固定するのに使います。オンロードバイクで、センタースタンドが無い場合はフロントスタンド、リアスタンドが別途必要になります。
タイヤを装着する際に滑りを良くするのに使用します。
空気圧を測定し、適正値に調整するために使用します。エアーコンプレッサーとセットになっているものもあります。
【あると便利な道具】
タイヤに空気を入れるために使用します。手動の空気入れでもバルブの形状が合えば代用できます。ガソリンスタンドにも置いてあります。
タイヤレバーでタイヤをホイールから外す際に、リムに傷がつかないよう保護するカバーです。
ホイールからタイヤのビードを落とすのにあると便利です。
あるとタイヤ交換が飛躍的に効率化します。廃タイヤなども台座として代用できます。
タイヤのはめ込み時に、ビードが戻ってくるのを防いでくれるので、あるととても便利です。
チューブタイヤ交換の流れ
チューブタイヤ交換の流れは以下の通りです。
チューブタイヤ交換のやり方
車体からホイールを外す
車体からホイールを外すために、車体を固定し、ホイールを浮かせる必要があります。
オフロードバイクの多くは、オフロードスタンドを使用すれば簡単にジャッキアップできます。
ジャッキアップする前に、外すために強い力が必要になるアスクルナットをあらかじめ緩めておくと、この後の作業が安全にできます。
グラグラと安定しない時は、車体の後ろ側にウエイトを載せると安定します。
ブレーキキャリパーを外して、アスクルナットを緩めてアクスルシャフトを抜けばホイールが外れます。
ホイールからチューブ・タイヤを外す
バルブキャップを外し、虫回しでバルブコアを外して空気を抜きます。
この時、抜ける空気でバルブコアが一緒にどこかへ飛んでいってしまわないよう注意してください。
一度見失うと不思議なくらいに見つかりません。
バルブをリムに固定しているリムナットも忘れずに外しておきましょう
空気がある程度抜けたら、タイヤとリムが結着している部分を外していきます。
いわゆる「ビードを落とす」作業です。
画像のような、中央が空いた台座があると作業がやりやすくなります。廃タイヤなどでも代用できます。
チューブタイヤの場合は、リムに沿って体重をかけてグッグッと押し込めばたいていは外れます。
”ベコベコ”という感覚でリム中央にクボみにビードを落としていきます。
固くて手だけでなかなか落ちないときは、ビードブレーカーがあれば楽チンです。
裏表ともにビード落としが完了しました!
タイヤレバーを使って片面のビード部分をリムの外側に出します。
ホイールを傷つけたく無い場合は、リムプロテクターを使用してください。
この時タイヤレバーを深く差し込みすぎると、リムの間にチューブを噛みこんでしまうことがあるので注意が必要です!
噛み込んだ状態で力をかけてしまうと、チューブに穴が空いて使いものにならなくなります。
タイヤ片面のビードを外し終わったら、タイヤとリムの間から中のチューブを抜き出します。
チューブを再利用する場合は、バルブの根本が引きちぎれたり、チューブ表面にキズが付かないよう注意しましょう。
チューブを抜いたら、リムと裏側のタイヤの間にタイヤレバーを差し込んでレバーを反転させ、足の力も使ってグイグイと剥がす方向に押し込めば外れます。
※この画像のやり方だとリムへ傷が入ってしまうリスクがあります。ウエスや布などを挟むと傷を防止できます。
どうしても固い場合は、タイヤレバーを使ってゆっくり少しずつ外せば大丈夫です。
この時、レバーをあまり奥まで差し込み過ぎないことがポイントです。
これでタイヤが完全に外れました。
タイヤをはめる前に下ごしらえをする
新しいタイヤをはめ込んで行く前に、ホイール、タイヤ、チューブそれぞれに下ごしらえをしていきます。
スポークホイールの場合、リムバンドというゴムの輪っかがホイールに装着されています。
スポークとホイールを繫いでいる部分がむき出しになっているため、これがチューブを傷つけることを防止するためです。
リムバンドは消耗品なので、いつでも交換できるようストックを持っておいていいかもしれません。
オフロード走行時に空気圧を落とし、タイヤを潰して接地面を増やし、路面を掴む力を高める使い方をしますが、低圧ではタイヤとホイールがズレてしまい、チューブバルブが破損する場合があります。
その対策部品として、リムロック(ビードストッパー)というパーツがあります。
これを装備してのはめ込み作業は少し難易度が上がりますので、作業に慣れていない場合は専門家に依頼しましょう。
セットするときは、リムバンドがリムロックの上にかかる様にするのが正解です。
次に新しいタイヤの下ごしらえとして、ビード部分の外側、内側にビードクリームを充分に塗ります。
ビードクリームはケチっちゃダメです!タイヤ交換に慣れないうちはガンガン使うのが吉!
※チューブにビードクリームを塗る、という流派の方もいるようです。
最後にチューブの下ごしらえ。
新品チューブの場合は、一度軽く空気を入れてヨレを取っておくと後々楽です。
※この時に空気を僅かに残す方法と、バルブコアを抜いてフリーにしておく流派があります。組付けの際にタイヤレバーとリムの間にチューブが噛み込まないように配慮します。
ホイールにチューブ・タイヤをはめ込む
新しいタイヤをホイールにはめ込んでいきましょう!
まずは焦らず、タイヤのサイドウォールに記してある向き(ローテーション)を確認してください。
この画像の場合、この面が車体の左側になるよう組み付ければ正解です。
多くの国産タイヤ、特にオンロードタイヤの場合は、軽点という黄色いマーキングがあるのですが、オフ用には無い場合があります。
あれば通常はバルブ位置に合わせます。リムロック併用の場合は、リムロック部分に軽点を合わせます。
タイヤをはめ込んでいく際は、まずビード落としと同じ要領で体重をのせてグイグイはめ込んでいけば、イージーに入るケースが多いです。
半分くらいはめ込んで固くなってきたら、タイヤレバーを使って片面全てをリムにはめ込みます。
リムロックを併用している場合、タイヤのビード部分が画像の様にリムロックの内側に入り込んでいることがありますがこれはNG。
タイヤレバーなどでビードを引き上げ、内側からリム→ビード→リムロックの順番になるように組み込みます。
次にチューブを入れ込んでいきます。
まずチューブのバルブをホイールの側のバルブ穴にセットします。外れないようにリムナットを軽めにはめておきます。
指を使ってチューブをグイグイとタイヤの中に入れ込んでいきます。
チューブがねじれた状態で入れ込んでしまうと後々パンクの原因になるのでよく確認しながら行いましょう。
チューブがタイヤの中に収まりました!
さぁ、ここからが最大の難所ですよ!
タイヤのもう片側をホイールにはめ込んで行きます。
ちょっと固いですが、まずはできるだけ手と足を使ってはめ込んでいきます。
次第にどんどん固くなってきて、半分を超えるとキツくなってきます。
ここからタイヤレバーの出番。
さぁここで本記事最大の注意点!
タイヤレバーはなるべく90度より倒さないようにしてください!
タイヤを外す際も触れましたが、タイヤレバーを深く差し込みすぎると、リムの間でチューブを噛み込んでしまって、チューブを破ってしまうことがあります。
そうなると当然いくら新品と言えどチューブは使いものになりません。
できるだけタイヤレバーを使わずに、手足を使ってはめ込めると良いです。またリムにビードを入れ始めたポイントにビードキーパーを併用して固定すると、作業負荷が減ります。
チューブタイヤの交換もついに終盤!
欲張らず、少しずつ、ジリジリとやっていきましょう。
このくらいまではまれば、あとは手でグリグリやれば入る……はず!
はまった!
いまはめ込んだ側のタイヤのビード部分が、リムロックの内側に入り込んでいないか確認してください。
バルブコアを戻して空気を入れます。
指定よりも高圧まで上げていくと、ビードがリムの端面にヌルっとせり上がってきます。
1周、両面ともに均等にタイヤが張っている状態になることを確認します。
耳をすましてみて、ヒューと空気が抜ける音がしないか確認してください。
最後に、リムとタイヤの間を両側再度確認して、画像の様にピッタリとはまっていれば成功です!
部分的にビードが上がってこない場合は、ビードクリームの塗布不足か、内部でチューブが捻じれている可能性があります。
そうなると残念ですが、作業やり直しです。to be Continued……!
あとは、タイヤを外した時の逆の手順で戻していくだけ!
アスクルシャフトまわりのグリスアップも忘れずに。
ホイールをタイヤに組み付けて、アクスルナットを締めます。
最後に、ジャッキダウンしてタイヤを固定させてから、規定のトルクで締め付けて、空気圧の調整が終わればチューブタイヤの交換は完了です!
お疲れさまでした!
最後に
冒頭の繰り返しになりますが、チューブタイヤの交換のやり方にはいくつもの流派があり今回ご紹介した方法が「絶対正解!」とはいい切れません。
バイクやタイヤの種類、コンディション、道具の善し悪しで難易度は大きく変わります。
どうしても難しいという場合は、無理せず専門家、ショップに依頼するのが吉だと思います。
ただ、自分でチューブタイヤの交換ができるようになれば、自分の好きなタイミングでタイヤが交換できますし、走る路面の状況に応じたタイヤを選択できるようになるので、楽しみの幅がグッと広がります。
今回の記事を参考に、まずは練習と思って是非チャレンジしてみてください!
後日、ヤスオ氏は今回タイヤ交換したセロー225で全開エンジョイしたそう。
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これがド素人の作業。フロント上げてホイール外したなら必ずハブベアリングの点検とステムベアリングの具合も見る。まあ、タイヤだけ交換してグリスも塗らない店もあるけどね。どこでタイヤ交換しても同じ、じゃあないんだよ。
全く同感! さらに私は1Kps高い空気圧で入れて一晩置く。
さらにフォークの平行出しもする。まあ、仕事でやる人はそこまでやらないよね。それはしょうがない。
ただ、スプロケやフォークシール、ベアリングくらいは見て欲しいよね~プロならさ。