冬のバイクは結構汚い

乾燥した空気は静電気でホコリを呼ぶし、ちょっと寒い場所では凍結防止剤で塩まみれ。
夏のバイクがベットリした汚れ方だとすると、冬のバイクはカサカサした汚れ方なのが特徴です。
水洗いしたいけど寒いし、濡れたくないし、水に手を浸けたくないし……。

そんな時は拭き掃除!
できるだけ水を使わず、できるだけ濡れない洗車をすれば良いのです。
濡らさないから冷たくないし、拭き取りが要らないから早い!

そもそもバイク洗車の基本は拭き掃除!
水掛けて表面を洗うより細かい部分の汚れが落とせるってもんですよ!

バイクの洗車は4輪車の洗車とは全然違う

4輪車の洗車がボディ表面の汚れを落としてツヤを出す事を重視しているのに対して、バイクの洗車ではボディ表面の汚れ落としやツヤ出しなんてオマケみたいな物です。
フルカウルのスーパースポーツであればカウル面積が大きいので表面の掃除もそれなりに効果がありますが、バイクで重要なのはカウルやガソリンタンク表面のツヤ出しではありません。

バイクの洗車で重要なのはメカの部分!

様々なメカニズムが丸出しのバイクでは、そういう機能部品を掃除しないとパリっと仕上がりません。
どれだけカウル表面やタンク表面がピカピカでも、隙間から見える機能部品が汚れたままだと全然キレイに見えないのです。

それに、機能部品は清掃する事で調子を維持しやすくなります。

平坦でない部分の清掃こそがキレイに見える秘訣!

機能部品はボディ表面のように平坦な事は少なく、たいてい凸凹しています。
もともと水を掛けて拭き上げただけでは綺麗になりにくい部分なのです。
例えばホイールの掃除ではリムを磨いただけではイマイチで、キレイに見えるにはディスクローターとの接合部分など、水を掛けてブラシで擦っただけでは届かない部分の掃除こそがキレイに見えるためのキモです。

そういう部分は水洗いではなく拭いて磨くのが基本!

気合いと根性だけが正義じゃない!

拭いて磨くというと、ウエスで地道にコツコツと磨くイメージがあります。
それが一番なのは当然ですが、なにしろ寒いのでそんな掃除は面倒、というか寒い。
バイクはキレイにしたいけど、早く暖かい部屋にも戻りたい……。

そんな時は便利なケミカルを使った方が絶対良いです。
確かにケミカル代は掛かりますが、ケミカル無しで苦労して時間を掛けたその時間を時給換算すると……便利グッズを使った方がお得ですね!
『サクっと温かい部屋に戻って達成感と満足感に浸る代金』と思えば、ケミカル代くらい払っても良いと思うのですが、皆さんはどう思いますか?

カウルやタンクの表面ならこれ!

ソフト99 W219 フクピカ ストロング

「いきなりフクピカかよ……」とか言われそうですが、フカピカをナメてはダメです。
たしかに本格的な洗車ケミカルやワックスには劣ります。
しかし、これ以上お手軽に表面を洗車できるグッズはありません。

ウェットタイプなので乾いた汚れには最適で、いちいち水を掛けなくてもボディ表面の大部分を拭き上げる事ができます。
もちろん拭き取りも不要。
シートは自身が拭き取った細かい砂粒などでボディがキズだらけになるのを防止する構造になっていますが、砂粒を拭き上げているのは事実なので、最初にザックリと汚れを拭き取ったあと、シートを交換して本格的に拭き上げるのが作業のコツ。
最初のシートもまだ使えるので、ホイールやフェンダー裏側など、強烈に汚いけど拭き上げておきたい場所に使えば無駄にしないで済みます。
拭きすぎて乾いて来たら、ちょっと水を含ませると復活するのもありがたい。

チェーンの汚れならこれ!

モータウン:チェーンデグリーザー

別に冬でなくてもド定番のチェーン汚れ掃除ケミカルです。
こんなのでホントに油汚れが落ちるの?と思うかもしれませんが、チェーンルブでコテコテになったチェーンもガンガン洗えます。
スプレーしてブラシで擦って水で洗い流すだけ。

一般的な油脂類のエアゾール式ではないので無駄に飛び散らないし、汚れ落とし効果も全く遜色無し。
最後に水洗いしなければなりませんが、まぁそのくらいは仕方ないでしょう。
なにしろチェーンなので。

ホワイトチェーンルブが塊になったような物を溶かすのは苦手ですが、真っ黒になったルブを洗い落とすなら最強の逸品です。
詰め替え用ボトルもありますよ!

ホイールの汚れならこれ!

ユニコン:カークリーム

知る人ぞ知るプロ御用達の簡易ワックス
実はヤマハの純正指定だったりします。
黄色いボトルは目立つのでバイクショップで目撃した事がある方も多いのでは?

「つや出し液体ワックス」が本来の用途なのですが、ピッチやタールといった油汚れ落とし効果が凄まじく、ホイール掃除に使うと感動できます。
使い方も簡単で、ウエスに液体を出して拭くだけ。
たったこれだけで飛び散ったチェーンルブの汚れも楽々拭き取りできますし、そのままワックスまで完了してしまいます。
ホイール掃除の神!(ボディにも使えます)
しかも大容量でめちゃくちゃ安い!

見た目がダサい黄色いボトルはキャップを緩めると(キャップは紛失防止で外れない構造)先端からトロリと白い液体が出てくる独特の構造ですが、ガンガン使っているとこの方が便利です。
不注意で倒してもドバーと漏れないし、使う度にいちいちキャップを開けなくて済むので。

因みに製品パッケージが昭和臭丸出しの激ダサなので、21世紀の現在では一見の価値があるかもしれません。

シートにはこれ!

デイトナ:シートクリーナー

シートってたいてい黒いですし、多少凸凹しているので普段はあまり気にならないかもしれませんが、実はかなり汚れている部分だったりします。
試しに端っこを少しだけ本気で磨いてみてください、きっとウエスが真っ黒になって驚く事でしょう。

なぜそんなに汚いのか?
それはシートが上を向いていて汚れが降り積もりやすいうえ、ライダーが跨って汚れを塗り込んでいるようなものだから。

端っこを少し掃除するだけで結構大変だったと思いますが、そんな汚いシートを掃除するなら水洗いよりも断然コレです。
ちょっと値段が高いのが難点ですが、合成皮革の縫い目、ビニールの立体模様、ラバー表皮そのものといった部分の汚れを浮かせて拭き取りやすくしてくれます。

水を掛けてシャンプーして細部をブラシで擦って全体的にスポンジで……、といった一般的なシート洗いより短時間で、もっとキレイにできます。
ツヤは出るのに滑らないという不思議な効果もあります。
個人的にはグリップラバーに使用すると最強のケミカルなのではないかと感じています。

無塗装金属にはこれ!

NEVER-DULL(ネバダル):金属磨き/ツヤ出しネバダル

ネバーダルとも呼ばれ、大昔からある超有名な金属磨きです。
金属磨きというジャンルでは知名度と歴史でピカールと双璧。

今回ピカールではなくネバダルをオススメする理由はピカールよりもお手軽だから。

フタを開け、繊維をちょっと出して千切り、磨く。
たったこれだけで金属地肌(特にアルミに有効)がピカピカになります。
ペダル、レバー、ステッププレート、エンジンカバーなどが代表的な使用場所です(塗装面には使用できません)。

性能とは全く関係無いですが、使い終わった容器(金属缶)をガレージで小物入れにするとカッコイイのもポイントだったり……。

オイル系の汚れ落としならこれ!

コスモビューティー:パーツクリーナー 840ml TERA(テラ)

いわゆるパーツクリーナーです。
性能的に何か特徴があるわけではなく、極々普通の大容量パーツクリーナー。

最大の特徴は安い事!
ホームセンターなどの特価商材でもっと安い物もあるかもしれませんが、わざわざ買いに行く手間を考えると何かのついでに購入しておく方がお得でしょう。

使い方は普通のパーツクリーナーと同じで、油脂類の洗浄に使います。
とはいえ、最初からビャービャー吹いてるといかに大容量とは言えすぐに無くなってしまうので、激しい油汚れ部分は不要なエンジンオイルや灯油を使ってブラシで擦った後で「真っ黒くなったオイルを洗い流すのに使う」のが効果的です。

スイングアーム、フロントフォーク、ブレーキキャリパー、エンジン下などの掃除で欠かす事のできない用品です。

隙間を掃除するならこれ!

モトフィズ(TANAX motofizz):洗車ブラシセット PG-224

できるだけ水を掛けずに手早く洗車(掃除)しようとすると、どうしても必要になって来るのがこういったブラシです。
商品名は洗車ブラシですが、いわゆる洗車ブラシのような柔らかさは無いので、これでボディ表面を洗車してはいけません(キズだらけになります)。

このブラシはエンジンの隙間など、細かい部分を掃除するのに使うブラシです。
平ブラシはエンジンやフレーム表面の汚れを落とすのに便利ですし、丸ブラシはもっと奥まった部分、例えば空冷フィンの隙間などを掃除するのに便利です。

もちろん水を掛けた「洗車」でも使えるのですが、水を掛けずにブラシだけでササッと擦るだけでも大まかな汚れは落とせます。
むしろ濡らしてない方が砂汚れなどが落としやすいとも言えます。

樹脂類の保護ツヤだしにはこれ!

KURE(クレ):シリコンスプレー

オイルスプレーの「5-56」で有名な呉工業製のシリコンスプレーです。
水を掛けた洗車時にも使えるし、単なる保護目的でも使える万能選手です。
シリコーンオイルを噴射するので金属表面の保護やサビ防止にも使えますが、最も効果的なのは樹脂やゴム部品の保護ツヤだしです。

具体的には各種ワイヤーの外皮、無塗装樹脂表面、フロントフォークのオイルシール(ダストシール)表面、様々なゴム製カバー表面、シフトチェンジシャフトのオイルシールなど。
『油分は欲しいけれどオイルやグリスを塗る場所ではない』といった部分の潤滑に最適です。

数あるシリコンスプレーの中でKURE製のスプレーを推薦する理由は、ほぼ最安に近い低価格である事と噴霧されるシリコンオイルが濃い事!
特にオイルが濃いのは重要で、ボディ表面のような広範囲な保護ツヤだしには不向きですが、バイクのように局部的に潤滑したい場合には大変助かります。

ハンドルにあるスイッチボックス表面やテールランプ下のナンバーステーのように複雑な形状のパーツにとても有効で、シュッと一吹きするだけで無塗装樹脂本来の色彩と輝きを取り戻してくれます。
ハードなコーティング材ではないので持続効果は短いですが、気が向いた時にシュッと吹くだけなのでアリでしょう。
それに、外から見えているオイルシールやダストシール表面を保護出来るのはシリコンスプレーだけなので、それだけでも持っておく価値があります。

無塗装樹脂を本格的に保護したいならこれ!

モトフィズ(TANAX motofizz):PIT GEAR ガラスコートプロ艶 PG-273

上記のシリコンスプレーが一時的な保護ツヤ出し効果しか無いのに対して、強力なコーテイングで長期に渡って無塗装樹脂表面を保護するのがコレ!

たったの15ml(誤表記ではありません、ホントに15ml)なのに高価格でビビりますが、溶剤は水やシンナーと同じくらいサラサラの粘度で、塗るとメチャクチャ伸びるので心配ご無用!
「洗車」とはちょっと違うのですが、その効果は洗車したのと同等かそれ以上。
施工する最初の1回だけは時間が掛かりますが、それ以降はシンコンスプレーなどでメンテナンスする時間が不要になるので、春までの長い目で見ると時短になるのは間違いありません。

純粋に無塗装樹脂の光沢と色彩復活効果がスゴイので、別に洗車や時短が目的でなくてもオススメです。
私は青空駐車している車に使用していますが、ほぼ1年経過しても色褪せは極僅かで黒いままですし、撥水性すら少し残っていますので効果は本物だと断言出来ます。

持続性は劣るものの、塗布作業の簡易さで軍配の上がるVipro’s(ヴィプロス)製の『ヌリコム』もオススメです。

ボディ表面の最終仕上げならこれ!

ワコーズ:VAC バリアスコート

ボディ表面の砂ほこりを落としておく必要があるものの、強力な洗浄力とコーティング力でビカビカのボディ表面にしてくれるのがこのバリアスコート。
定番中の定番ですね!

効果の程はインプレッションを見ていただくのが早いです。
こんな高価なスプレーなのに5段階評価で4.4点という評価なのが高性能の証。

これのどこが爆速洗車なのかと言うと、まず最初の施工がワックスを塗って拭き上げる時間より短い事。
「塗る」工程が無い、「乾かす」工程が無い、「拭き上げ」が簡単、なので。
感覚としては普通のワックス掛けの1/5くらいのスピードで完了する気がします。

しかもワックスと違って防汚効果が高く、一度施工してしまえば次回からの洗車が爆速で済みます。
そのくらい汚れにくくなるのです、しかもツヤツヤっぷりもスゴイ。

寒いからって洗車しないとどうなる?

単に汚れているだけ……、で済むなら乗る時に気分が良くない以外に大した事は無いのですが、そうは行かないのがバイクという乗り物。
いろいろなメカニズムが剥き出しな事はバイクがカッコよく見える理由の一つですが、いかんせん剥き出しなので汚れたままにしておくと損傷や摩耗が進んでしまう場合がほとんどです。

サスペンションのリンク部分、インナーチューブの裏側、ブレーキキャリパーの内側、エンジン本体の奥まった部分、マフラーの裏側などなど、汚れを放置していると焼き付いて取れなくなったり腐食を促進させたりスムーズな作動を妨げたりする場所ばかり。
寒いからといって掃除を怠ると、春先には致命的にボロくなっている事も有り得ます。

そんな事にならないためにも、今回紹介したような便利グッズを駆使して、短時間で効果的に洗車(水はほとんど使わないけど)する事をオススメします!
表面的な水洗いと違って手の爪の中が真っ黒くなってしまう事が多いので、汚れ防止の手袋もオススメです。



とはいえ、塩化カルシウムまみれになってしまったら素直に流水洗車をした方が良いです。
そして、どうせ水を掛けるなら洗車場やガソリンスタンドにある高圧洗車機で一気に洗い流してしまう事をオススメします。
高圧洗車はバイクに良くないですが、そんな事より細部に入り込んだ塩化カルシウムの方が問題なので。

この記事にいいねする


今回紹介したブランドはこちら