
タイヤの皮むきと言われた時の反応は主に2種類。
「あぁ、アレね……」と遠い目をされるタイプか、「何ソレ?おいしいの?」というタイプ。
前者はタイヤ交換直後にヒドイ目にあった方で、後者はこれからヒドイ目にあう方です。
しかーし!
タイヤとはそういうものだと知っていれば皮むきでヒドイ目にあう確率を大幅に減らせます。
皆様にささやかな幸せとバイクの知識をお送りするWebiQ(ウェビキュー)。
今回はタイヤの皮むきに関するちょっと突っ込んだお話です。
目次
誰もが通る道
バイクライフに欠かせないイベントとして車両購入やタイヤ交換があります。
新車を購入した、中古車を購入した、タイヤを交換した、どれも当たり前のようにある話ですよね?
ところが、このウキウキの時間からお店を出た直後に地獄に叩き落される残念なイベントを経験してしまった方が多数いらっしゃるはず。
そう、一瞬にしてタイヤが滑ってスリップダウンしてしまう泣くに泣けない例のアレです。
もちろん私自身も若かりし頃、タイヤ交換直後にお店の前で大スライドしてしまった経験者です。
幸い転倒は免れましたが単に運が良かっただけです。
お店を出発し、歩道から車道に出た瞬間に転倒してしまった可哀そうな方を目撃した事もありますよ!
しかも3回も!
なぜ店頭で転倒してしまうのか
これはタイヤ表面に超滑りやすい『あるもの』が思いっきり付着しているからです。
タイヤというグリップが命みたいな製品がそれのせいで表面ツルツルなのですからたまりません。
ホントに一瞬でスリップダウンしてしまうくらい滑るのです。
そんな大げさな……という方も一度経験すれば大げさでない事が解ってもらえるはず。
まぁ解った時には転倒してますけどね!!
なぜそんな物が付着しているのか
これは大きく別けて2種類の原因があります。
別に嫌がらせでバイク屋さんが塗りたくってるわけじゃあないですよ!
新車やタイヤ交換した場合
この場合、装着されているタイヤは新品になります。
当たり前ですね。
この新品タイヤというのが曲者(クセモノ)で、なんとタイヤ表面にワックスが塗ってあるのです。(!)
そんなバカな!と言いたいところですがホントです。
でもタイヤ屋さんやバイク屋さんに殴り掛かるのはちょっと待った!
新品タイヤの表面にワックスが塗ってあるのは仕方ない事なのです。
と言うのも、タイヤというのは製造工程としてタイヤ表面の模様が彫ってある型の中にまだ固まっていない半ナマみたいなタイヤを入れ、内側から膨らまして型に押し付ける事でトレッドパターンを作って固める事で製造します。
この時、そのままだと半ナマのゴムで出来たタイヤが型の中に張り付いてしまうのです。
グリップ力を重視して柔らかいゴムを使っているタイヤなら尚更で、張り付いて取れなくなってしまいます。
型に張り付かれては困るので、型に押し込む前にタイヤ表面にワックス(=剥離剤 = 主成分はシリコン)を塗っておき、タイヤ完成後に型から抜き出せるようにしなければなりません。
この『型から抜けやすくする物質 = 超滑りやすい物質』ですが、タイヤ完成後も表面に残ってしまいます。
取っとけよ!と言いたいところですが、タイヤ運送中や補完中の保護剤も兼ねているので安易に取るわけにはいきません。
このような理由で新品タイヤの表面は超滑りやすい物質でコーティングされているので、新品タイヤが装着されている新車やタイヤ交換後の新品タイヤは超滑るというわけです。
中古車の場合
中古車に新品タイヤが装着されている事は稀です。
一部のプレミアが付いているような車種を除くと中古バイクは皆さんの想像以上に利益が少なく、中古車を1台販売してもバイク屋さんはほとんど儲からないのが普通です。
僅かな利益しかないのですから新品タイヤに交換する余裕なんてあるわけがない。
かと言って仕入れた中古車両のタイヤは茶色く変色している事が多く(タイヤのゴムの中に含まれる老化防止剤が染み出してきて茶色くなる)、そのままでは非常に見栄えが悪い。
ではどうするか?
その対策としてタイヤ表面にワックスを塗るのです。(!)
そんなバカな!と言いたいところですがホントです(2回目)。
中古車屋さんの店頭に並んだバイクのタイヤが不気味なほど黒々としていて、トレッド表面に光沢すらあるような場合がありますが、そういうタイヤにはワックスが塗ってあるのです。
(普通に黒いだけのタイヤはしっかり洗っただけなので大丈夫です)
この店頭での見栄えの為に塗られたワックスですが、ご想像通り超滑ります。
ワックスは元々4輪車のタイヤの横を真っ黒にして見栄えを向上するための製品なのですが(主成分はシリコン)、その滑りっぷりたるや只事ではありません。
中古車を購入した際にタイヤ表面がテッカテカで真っ黒だった場合は要注意です。
皮むきとは?
新品タイヤや中古タイヤの表面に残っている超滑りやすい物をひん剥く事を言います。
まさに皮むき。
4輪用タイヤでも皮むきは実施されますが、仮に滑ったところで転倒に直結しない4輪車は皮むきの意味がバイク用とは少々異なり、タイヤをホイールに馴染ませたりタイヤ全体に過重を掛ける事でタイヤを揉み、タイヤの内部構造を馴染ませる事を指します。
もちろんバイク用のタイヤでもホイールに馴染ませたり内部構造を揉んだりするのは重要ですが、そんな事よりトレッド表面のワックスを取る事が大事なので、バイクで皮むきと言ったらトレッド表面のワックスを剥き取る事を指します。
このように、皮むきは必要なのか不要なのかではなく、絶対必要です。
皮むきをしなければ転倒のリスクがぐーーんと上がってしまいますからバイクでは必須です。
サーキットで言う皮むきは別物
サーキットで使うタイヤもやっぱり表面にはワックスが残っていますが、サーキットは路面状態が良い事もあって1周もしないうちにトレッド表面の皮むきは終わってしまいます。
あまり意識されてません。
サーキットで言う皮むきの意味は4輪車の場合と同じです。
トレッド表面の剥離剤を剥がす事よりも、ホイールと馴染ませたりタイヤ全体を揉んで内部簿構造を馴染ませたり……、そういう事の方が遥かに大事。
数週だけ走ってタイヤを馴染ませたあと、馴らしの終わったタイヤを本番用として温存したりするくらい大事。
なので、サーキットでよく聞く会話である「表面が滑る?そんなの半周も走れば大丈夫だよ!」を公道で安易に実践してしまうと転倒確率が急上昇します。
もちろん公道でもタイヤ内部構造のナラシは重要で、タイヤメーカーも交換後はしばらくゆっくり走るように注意を書いているはずです。
しかし新車や新品タイヤでいきなりブッ飛ばす人は居ないでしょうから、我々一般ライダーは表面の皮むきだけ気にしておけばだいたいOK。
表面の皮むきが終わる頃には自然とタイヤ自体の慣らしも終わっているので。
皮むきのやり方
「そんなモン、最初にちょっと注意しながら乗ってりゃ良いんだよ!ガハハハ!」
みたいな事を言うベテランライダーが多いですよね。
確かにその通りなのですが、それはそれが出来るベテランだから言える事であって、初心者へのアドバイスとしてはちょっと強引過ぎると思います。
ベテランライダーは特別な事をしなくても走りながら自然に皮剥きが出来るものですが、それは長年の経験からタイヤのグリップ状態を感じ取りつつ乗る事が出来るから。
スリップダウンしないように注意しながら徐々にタイヤ負荷を上げて行く……、そんなの初心者に出来るわけがありません。
走行しながら徐々にタイヤ表面の滑りやすい物質を擦り取っていくのが皮むきの基本ですが、滑る時は一気に滑って手遅れになってしまう物を「滑らせないように注意しましょう」と言ったところで何の参考にもなりません。
知りたいのは『転倒しないで表面をザッと接地させる方法』のはず!
というワケで!以下がその順番とコツです!
※あくまでも公道の話です、サーキットの方はご自由にどうぞ。
まずは直立状態から
転倒リスクを減らすには倒さなければ良いわけで、まずは直進から皮むき開始です。
最初期はとにかく倒さない(バンクさせない)事を重視します。
当然そのままではカーブを曲がれなくなるので、スピードは超遅め。
感覚としてはいつもの半分のスピード、幹線道路なら一番遅い車と同じくらいが目安です。
この段階でも交差点や路地やカーブを曲がったりする必要はありますが、いつも通り倒したり曲がっている最中にブレーキを掛けたり加速したりしてはいけません。
とにかく超慎重に、大きく速度を落としてあまり倒さないでやり過ごしましょう。
新品タイヤで転倒する人はだいたいこの段階で失敗しています。
ほんのちょっとの間なのでガマン!
急ブレーキは掛けられないので車間距離も超大きく取っておきます。
数kmも走ればタイヤセンター付近にあるワックスは十分取れているので、直立状態である事を意識しつつ(ココ重要)、徐々にいつも通りのブレーキングや加速をするようにしていきます。
数十km走ればタイヤも揉まれてタイヤ本体の慣らしもだいたい完了しています。
慣れている方なら10km程度でこの段階は終了できるはず。
徐々にバンク角を増やす
さて、直立状態でブレーキや加速を繰り返した事でタイヤ自体もしなやかになりました。
新品タイヤで最も転倒しやすい期間はもう過ぎているので、少しづつ倒しはじめます。
コツはどこまで倒れているのか(いまのバンク角はどのくらいなのか)を意識するのではなく、タイヤの感触を感じるように意識する事。
タイヤの丸い断面形状を意識するようにするとアラ不思議、新品タイヤで倒しはじめても怖くありません。
それまでは直立している事を超意識していたはずですが、徐々に左右に転がるタイヤ形状の範囲を増やしていく感じ。
でもコーナリング中のブレーキや加速はまだおあずけ!
のんびりツーリングしている時のような乗り方ですが、タイヤがどこまで接地しているかではなくタイヤの断面が丸い感触を感じられれば終了。
この段階で降りてタイヤを確認すると全然端っこまで接地していないはずですが問題ありません。
徐々にコーナーで過重を増やす
さて皮むきも最終段階。
先ほどまでの段階ではタイヤ断面の丸さを意識していたはずです。
で、それなりに倒しているけれどタイヤ表面の接地跡はまだ半分程度のはず。
そのタイヤの断面形状の感触を意識したまま、コーナリング中にだんだんブレーキや加速をして行きます。
弱くブレーキ掛けたまま倒し始めてみたり、交差点からの立ち上がりで少しずつ加速しながら脱出するようにしてみたり……。
いわゆる『荷重を掛けてタイヤを揉んで馴らす』と言われる事をしているわけですが、タイヤを揉むのは直立してる時に済ませてあるので、ここでは『徐々に普段通りの乗り方をしていく』を意識していればOK。
人間が新しいタイヤに慣れる事も兼ねているので、自身が新しいタイヤを楽しいと思えれば皮むき(と、タイヤとライダーの慣らし)終了です。
上手い人なら30km程度、慎重な方でも100km程度で完了出来ているはず。
無理に端まで接地させる必要は無い
皮むき&慣らし完了と言われても、端っこまで超余ってて全然接地してないんですけど!!
……と不安に思うかもしれませんが、問題ありません。
既に普段通りに乗っているのですから、それで接地していないのであれば今後も接地しません。
無理して普段使わない端っこまで皮むきなんかしなくて大丈夫です。
そうは言ってもイザって時に端まで使ったら滑ってしまうのでは……?
そんな不安があるかもしれませんが、その時は普段使わない領域まで使うほどの大荷重が掛かっている事になるので、皮むきしていなかった事が原因で突然スリップダウンしたりはしません。
そもそも、普段倒せていないならイザという時に急にフルバンクなんかできません。
ケミカルで皮むきが出来るのか?
新品タイヤが滑るといっても、ズルズル滑るわけではありません。
やたら滑り出しが早いのと、滑り出したらスパッと滑り出して止まらない、そんな滑り方になります。
なので、バイク屋さんから自宅まではドキドキしながら慎重な運転で(直立状態である事を意識しつつ)何とか帰宅したとしましょう。
しばらくドキドキしなから乗るのは精神衛生上好ましくないので、何とかしてタイヤ表面の『超滑る物質』を洗い流したり削り取ったりできないものか……。
1度でも新品タイヤで怖い思いをしたり転倒してしまった経験があればそう思うのは自然な事です。
この『乗らずに皮むきする方法』ですが、一応可能です。
しかも世の中には何種類かの皮むき方法があったりします。
以下はそれぞれの方法のメリットとデメリットの比較検証です!
クレンザーで洗い流す!
効能:ある程度有効。
タワシに台所用クレンザーを付けてゴシゴシ擦る方法で、タイヤ表面にあるワックスを擦り落とす事は可能です。
新品タイヤは表面が水を弾きますが、クレンザーで洗う事で水を弾かなくなります。
洗い落せた証拠ですね!
弱点はタイヤに含まれる油分などの有効成分も洗い流してしまう事。
あまり影響するとは思えませんが、デメリットと言えばデメリットでしょう。
あと、けっこうメンドクサイ。
パーツクリーナーで洗い流す!
効能:ある程度有効(だけどオススメしません)。
ウエスなどにパーツクリーナーを吹きかけてタイヤ表面を拭くという方法。
これもゴシゴシ擦るとタイヤ表面にあるワックスを擦り落とす事は可能です。
拭き取った布がまっ茶色になるのでビビるかもしれませんが、洗い落せた証拠ですね!
水も弾かなくなります。
弱点はタイヤに含まれる油分などの有効成分をクレンザーの比じゃない勢いで洗い流してしまう事。
思いっきり脱脂している事になるので、タイヤに染み込むとトレッドゴムに悪影響があるかもしれません。
というか多分影響あります。
タイヤメーカーでも明確に「油脂類を付着させるな」と謳っているはずです。
メーカーがダメと言っている事もあり、オススメはできません。
特にタイヤに直接パーツクリーナーを吹きかけたり、ダラダラ垂れるほど激しく濡らしたりすると、どんな事が起こるのか想像も付きません。
短期的には大丈夫かもしれませんが、長期的に見たらゴムが硬化してヒビ割れとか発生しそうな気がします。
ヤスリで削り取る!
効能:無駄。
紙ヤスリで表面を擦りまくるのですが、削れたタイヤの粉がベアリングの玉にみたいになって全然削れません。
変なケミカルが染み込まないのは救いですが、徒労に終わります。
頑張って削ったとしても、走ってもいないのに貴重なトレッドゴムが減るのはもったいないです。
洗剤で洗う!
効能:ある程度有効。
スポンジに台所用食器洗剤を付けて洗いまくる方法で、タイヤ表面にあるワックスをある程度は洗い流す事は可能です。
クレンザーと同様、タイヤ表面が水を弾かなくなります。
ただ、クレンザーの時より時間が掛かって大変。
タワシで「擦る」のとスポンジで「撫でる」の差ですかね?
弱点はクレンザーと同じくタイヤに含まれる油分などの有効成分も洗い流してしまう事。
また、クレンザーにしろパーツクリーナーにしろヤスリにしろ洗剤にしろ、実際に走行していません。
だからタイヤ表面の皮むきが終わってもタイヤの慣らしは終わっていません。
タイヤ本体の慣らしが完了するまではどちらにしても慎重に乗る必要があります。
だったら最初から慎重に走ってタイヤの皮むきしつつ、タイヤと人間の慣らしをした方がマシのような気がします。
8の字走行で強引に皮むきする!
効能:とても有効。
皮むきと慣らしを一気に終えるべく、クローズド環境で8の字を繰り返すという方法です。
これはすごく効果的で、めちゃくちゃ効率良く皮むきと慣らしを完了させる事ができます。
弱点は普通の人は『クローズド環境』が用意できない事。
そんな環境があるならタイヤの皮むきではなく真剣に8の字練習した方が良いです。
※駐車場などの公共の場所でやるのは、例えガラガラに空いていても大変迷惑なので絶対ダメです!
雨の日に乗って洗い流す!
効能:危険。
止めた方が身のためです。
雨の日は絶対転倒する……というわけではありませんが、『新品タイヤで雨』はベテランでも緊張するほど慎重さが求められるシチュエーション。
しかも、新品タイヤに水を掛けながらブラシで擦るとわかりますが、その程度ではタイヤ表面のワックスは落ちません。
つまり雨の中を走ったくらいでは洗い流されないのです。
ですので、敢えて雨の日に乗る意味は全くありません。
まとめ
- タイヤは製造過程で型から出す為に表面に離型剤(=ワックス)が塗ってあり、新品タイヤが良く滑る原因の一つです。
- 中古車は見栄えを良くするために表面にシリコン(=ワックス)が塗ってある場合があり、ピカピカのタイヤはよく滑ります。
- 皮むきとはこれらを剥がして一皮剥くことです。
- 皮むきは表面だけでなくタイヤ本体とライダーの慣らしも兼ねます。
- サーキットで言う皮むきは別の話なので参考にしてはいけません。
- 最初は直立付近のみを使用すれば転倒リスクを低減できます。
- バンク角にはこだわらず、タイヤの断面形状を意識すると怖くないです。
- 荷重は最後の仕上げとしてジワジワ増やして行き、最後に普段通り乗れたら終了です。
- 皮むき終了後、端っこが皮むき出来ていなくても気にしないでOK。
- クレンザーなどで洗うのはある程度有効です。
- 石油溶剤で拭くもの有効ですが、どんな悪影響があるのか未知数なのでオススメしません。
- ヤスリで皮むきは出来ません。
- 雨の日に乗っても皮むきはできません、むしろ危険。
- 8の字は皮むきに有効ですが、そんな場所は滅多にありません。
最後に、もしも皮むきのコツをベテランライダーに相談するなら、速いライダーに聞かない方が良いです。
速い人はだいたい何かがおかしいので、話半分で聞いても初心者には大して参考になりません。
難易度A級の話を初心者向けにCレベルまで落としてくれていたとしても、そのレベルに達していなければ混乱を招くばかり。
相談するなら多少遅くとも慎重なライダーの方がオススメです。
きっと過去にヒドイ目にあっているはずで、その時の体験を面白おかしく語りつつ超安全路線をオススメしてくれるでしょう。
あと、最近のタイヤは昔に比べると超高性能で、新品+雨という最悪の状況でもあまり滑らなくなりました。
私も最近タイヤ交換したのですが、残念ながらその日は雨。
おっかなビックリ乗り出したものの、「アレ?意外と滑らないぞ?」という感じで、昔だったら絶対転倒するような操作をしてもかなりのレベルまで滑りませんでした。
こんな部分もしっかり進化していて、タイヤを履き替える度に感心する事しきりです。
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