【PR】岸田精密工業 文:栗田晃

原付からリッターオーバーのビッグバイクまで、500機種を超えるキャブレター車向けに燃調キットを販売するキースターは、絶版車ユーザーはもちろん旧車専門ショップからも信頼を集めるキャブレターパーツ専門メーカーである。燃調キットは純正キャブのセッティング変更ができるのが最大の特長だが、その一方でケーヒンCRスペシャルやFCR、ミクニTMRといったレーシングキャブレター向けの燃調キットも開発している。そもそもセッティングを前提としたスペシャルキャブでも、燃調キットならではの特徴が盛り込まれている。

絶版車ユーザーの高評価は必然の燃調キット

新車では存在しない希少な純正キャブレターのセッティング変更が可能となり、オーバーホールやメンテナンスにも役立つ燃調キットに助けられているユーザーは多い。

キャブレターパーツを独自に開発することで、国産バイクメーカー500機種以上に対応する燃調キットを販売しているキースター。絶版車や旧車好きには既によく知られているとおり、純正キャブレターのセッティング変更ができるのが燃調キットの特徴。

純正キャブはバイクメーカーが新車を開発する際に、ノーマルエンジン、ノーマルマフラー、ノーマル吸気系でもっともバランス良くセッティングされており、そこで組み込まれているパイロットジェットやメインジェット、ジェットニードルのサイズは固定されている。

だがマフラーを交換したり、エアークリーナーボックスを取り外したり、エンジン内部のスペックを変更するなどカスタムを施すと、ノーマルセッティングの純正キャブでは気持ちよく走れなくなることもある。そんな時に純正サイズを中心に燃調を変更できるようサイズ違いのジェットやニードルを揃えた燃調キットが重宝するのだ。

主要機種ごとに標準セッティング済みで販売されるFCR燃調キット

FCR燃調キットの一例。FCRキャブレターは汎用品だが、キースターの燃調キットはベンチュリー径と車種に紐付いたベースセッティングを決めて製品化しているのが特徴。そのため例えばゼファー1100用キットにはφ37用、φ39用、φ41用の3種類のラインナップがある。

キャブセッティングというとメインジェットを触りたくなるが、実際の走行では(特に公道では)スロットル開度が小さい領域を受け持つパイロットジェットの設定が重要。大排気量車になるほど、スロットルを開けて走ることが難しくなるためだ。

FCR燃調キットには4本のジェットニードルが付属する。ニードルのストレート径はスロットル開度1/8~1/4あたりで効果がある。

市販車用の純正キャブが「ベースセッティング」が決まっているのに対して、「望み通り」にセッティングできるのが、汎用タイプのレーシングキャブレターの特徴であり魅力。ベンチュリー径が同じでもエンジンが400ccか750ccかでセッティングは異なるから、あくまでユーザーがジェットやニードルのサイズを決めていくのだ。

とはいえ、パワーを出したければジェットの穴径を大きくすれば良いという単純な話ではない。セッティングはエンジンがどれだけの混合気を吸えるかで決まるもので、ジェットもニードルも複数のサイズを揃えて、スパークプラグの焼け具合を観察しながら精度を上げていくことが必要。

キースターが開発しているケーヒンFCR用燃調キットは、メーカー純正キャブレター用の燃調キットと同様、FCRを装着する代表的車種であらかじめセッティングを決めているのが注目点のひとつ。

例えばφ37のホリゾンタルタイプでも、CB1100F用とGSX1100S用、ZRX1200R用ではジェットやニードルセットのサイズが異なる。これはさまざまな情報を総合してキースターが決めたものだ。その上で3サイズのパイロットジェット、6サイズのメインジェット、4サイズのジェットニードルによってセッティングが可能となっている。

レーシングキャブレターであるFCRは、純正ジェットやニードルを1サイズごと個別に購入できる。だが1サイズだけで納得がいくセッティングになるとは限らない。このような場面で、複数のジェットとニードルがあらかじめセットになっているFCR燃調キットの利便性の高さと柔軟性が光るのだ。

非分解部分のガスケット入りでフルオーバーホールが可能

二階建て構造のボディはビスと接着剤で固定されており分解前提ではない。だがここに組み込まれたガスケット交換を行うには、力技になるが分解しなくてはならない。

ボディ下部とスロットルバルブの中子に異形ガスケットが入っている。画像はほとんど傷んでいないが、長期放置後の洗浄でゴムとの相性が悪いケミカルやパーツクリーナーを使用すると、膨潤して変形し通路を塞いでしまうこともある。

キースターが独自で製作したガスケットは、キャブレターメーカーでも設定しない部品だ。これによって救われるFCRは多い。

FCR燃調キットの魅力はジェットとニードルの組み合わせだけではない。純正キャブ用の燃調キットと同様に、トップカバーやフロートチャンバー用ガスケットやフューエルジョイント部パッキン、ニードルバルブや加速ポンプダイヤフラムなどオーバーホールや整備の際に交換する部品も含まれているのだ。

中でも特筆すべきは「インターミディエイトボディ用ガスケット」である。FCRキャブはボディが二階建て構造となっており、さらにスロットルバルブに中子が組み込まれている。そのためボディと中子の間には、合わせ面からガソリンや空気が漏れないように特殊な形状のガスケットが入っている。

この部分はキャブレターメーカーが非分解設定としておりガスケットの部品設定もない。だが整備や内部洗浄で使用するケミカルの影響や経年劣化により、ガスケットが傷んでトラブルの原因となる場合がある。

そこでキースターはインターミディエイトボディ用ガスケットを独自で作成し、FCR燃調キットを購入することでガスケット交換を含むフルオーバーホールが可能となった。非分解前提のボディを分解するには、バイクいじりやキャブメンテの相応のスキルが必要だが、一般では入手できない部品が入手できる点では、大きな価値のあるキットと言えるだろう。

FCR特有の“段付き摩耗”を解消するFCR逆転蘇生キット

ボディ内部の摩耗を修復するFCR逆転蘇生キット。ボディの摩耗部分をガイドレールで塞ぐという発想が画期的だ。ステンレス製ガイドレールの他にスロットルバルブ用ベアリングや専用ローラーも付属する。逆転蘇生キットは単独では販売されておらず、FCR燃調キットとセットで購入する。

コの字状に成形されたガイドレールをボディ内に挿入するというアイデアがシンプルでユニーク。

燃調キットと並ぶ独創的でひと味違うFCR関連製品が「FCR逆転蘇生キット」である。FCRキャブにはエンジンの吸入負圧の脈動によってボディ内部が摩耗する特性がある。具体的には吸入負圧が最も大きいアイドリング近辺でスロットルバルブのローラーがボディに押し付けられて段付き摩耗が生じ、スロットル操作性が重くなってしまうのだ。

この症状に対して、キースターは0.1mm厚のステンレス製ガイドレールで段付き摩耗をカバーする方法を考案し、スロットルバルブ用ベアリングとローラーとともにFCR蘇生キットとして製品化。このキットを組み込むことでスロットルバルブの動きが改善し、軽く操作できるようになり多くのユーザーから高く評価されている。

TMRとCRスペシャル用燃調キットのジェットとニードルはユーザーが選択

セッティング要素に加えて、メンテナンスやオーバーホールにも対応する消耗品も入っている燃調キットの特徴は、TMR燃調キットにも受け継がれている。

FCR用と異なり、TMR燃調キットはジェットとニードルのサイズと組み合わせをユーザーが購入時に指定する。

長く使用してきたキャブのメンテナンスでは、バルブシートの当たり痕が付いたニードルバルブを交換したい。燃調キットにはニードルバルブとバルブシートが入っているので、想定外のオーバーフローを予防できる。

フューエルジョイントのOリングは、ガソリンに浸っている間は問題なくても、長期保管などで抜いた後に亀裂やひび割れることが多い。セッティング後にポタポタ漏れ出すとガッカリだが、キット内のOリングで予防メンテができる。

ケーヒンFCRと同様のフラットバルブを採用したもう一つのスペシャルキャブレターがミクニTMRである。キースターではTMR用燃調キットも開発しており、これはFCR燃調キットに対して設定がグッとシンプルになっている点に注目したい。

先に触れたとおり、FCR用燃調キットは車種と口径でベースセッティングが決まっている。これに対してTMR用の設定はφ28~35のスモールボディとφ36~41のラージボディの2セットのみ。どちらも単気筒用(キャブレター1個用)の設定で、2気筒なら2セット、4気筒なら4セットを購入することになる。

さらに特徴的なのが、セッティング要素であるパイロットジェットとメインジェット、ジェットニードルとニードルジェットをすべてユーザーがオーダー時に指定できる点。あまりに大きく外したサイズをオーダーするとまともに走らないリスクもあるが、ミクニにはボディサイズごとにベーシックセッティングテーブルという基準数値があり、これを参考に各セッティング要素をチョイスして内容を決めれば大外しにはなりづらい。

その上で燃調キットはパイロットジェット3サイズ、メインジェット6サイズが入っているので、エンジンやマフラーの仕様に対応したセッティング変更が可能となる。

このオーダーメイド式燃調キットは、ケーヒンCRスペシャル用にも適用されている。こちらはφ26~33のスモールボディとφ35~39のラージボディの違いに加えて単気筒用と4気筒用が分かれるため4セットとなるが、パイロットジェットとメインジェット、ジェットニードルのサイズ指定を行う点はTMR燃調キットと同様だ。

またTMR、CRスペシャルのどちらにも、トップカバーとフロートチャンバーガスケットや中子用ガスケット、ニードルバルブやバルブシートなどが含まれているので、整備やオーバーホール用としての価値もある。

純正キャブが絶滅したのと同様に、アフターマーケット用のスペシャルキャブレターの存続も予断を許さない状況にある。貴重なキャブレターを末永く楽しむ上でも、キースターの燃調キットが大いに役立つはずだ。

1970年代の絶版車にマッチするケーヒンCRスペシャル用燃調キットは、TMR用と同じくジェットとニードルのサイズ設定をユーザーが行う。セッティング変更の場合、現状のジェットから混合気を薄くしたいのか、濃くしたいのかの方向性を決めて注文サイズを決めると良い。

メインジェットは中心サイズに対して薄い2サイズ、濃い3サイズとなる。パイロットジェットは中心サイズに対して濃い、薄いが各1サイズとなる。ジェットニードルも中心基準で濃い、薄いが各1サイズずつ入っている。

トップカバーガスケットと中子用ガスケット(丸筒の左)は紙製で、フロートチャンバーガスケットはゴム製となる。中子はボディ底部にネジ止めされており、スロットルバルブが全開になった時にベンチュリー内面に凹凸のないスムースボアとなる。

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