目を奪うのは、一瞬でケイファクトリー製と分かるチタンフルエキゾーストだ。しかし、本当に驚かされたのは、その美しさではなかった。走り出してすぐに新型Z900RSが持つ完成度の高さと、それを崩すことなく磨き上げたケイファクトリーの仕事が見えてきた。
⚫︎写真:大谷耕一
フルモデルチェンジを果たしたZ900RSシリーズに相応しい『黄金のフルエキ』
エンジンから伸びる連続的な曲線を描くエキゾーストパイプには直線部分がなく、それがいかにも効率の良さそうな排気を想像させる。美しい曲率は丸みを帯びたZ900RSカフェのデザインにフィットし、管楽器のような黄金の輝きがブラック基調となった2026年モデルに映える。
2026年に初のフルモデルチェンジを受けたZ900RSシリーズ。その完成度は圧巻だ。燃調や点火を緻密に煮詰めた電子制御スロットルを採用し、双方向のクイックシフトを装備。さらにミッションやカムシャフトも変更している。クロスレシオ化したミッションは1500rpmから使えるシフターとの相性が抜群で、その走りはシーンを問わずスムーズ。さらに最高出力は5PSアップを実現した。
そんな完成度の高いZ900RSシリーズは、カスタムで自分の美意識や価値観を反映させ、自由な感性で表現することに集中できるバイク。Z900RSのデビュー以来、様々なカスタムパーツを開発してきたケイファクトリーには、そんな自己表現のためのアイテムがたくさん揃っている。

スターティングゴールドの焼き色が施された「CLR-RG+ チタンフルエキ ヘキサゴンサイレンサー JMCA認証 (26年〜)(37万4000円)」。他にもブルーの焼け色付きの「CLR-R+ チタンフルエキ ラウンドサイレンサー JMCA認証(26年〜)(30万8000円〜)」や、エキパイのみなど、様々なマフラーを用意する。
今回はZ900RSカフェとCB1000F(こちらは別記事にて紹介)のデモ車をお借りして、元カワサキのテストライダーであり、現在はケイファクトリーのテストを務める齋藤昇司さんとツーリングに向かった。
走り出すとすぐにバランスが向上していることがわかる。Z900RSカフェの個性はそのままに、軽さが出ており、ブレーキやスロットル操作、さらに荷重移動での車体の動きが自然になっている。

元カワサキのテストライダーで、現在はケイファクトリーのパーツ開発やデモ車の確認を行う齋藤昇司さん(左)。1953年生まれ、1972年にカワサキに新卒で入社。カワサキのフラッグシップの開発を牽引した。柔らかな笑顔だが、バイクの評価は厳格。超ジェントルな大ベテランだ。

エッチング仕上げのステンレス製の「ラジエターコアガード(1万9800〜2万2000円)」は、4種から選べる。写真はケイファクトリーのロゴをあしらったタイプC。他バージョンの同社ロゴが入ったタイプAの他、無地のステンレスとブラック仕様も用意。
『輝き』と『音』が高い所有欲を満たしてくれる
「新型に乗って、カスタマーの声をしっかりと反映させた進化をしているZ900RSシリーズは、まだまだいけると思いましたね。ケイファクトリーのZ900RSカフェは、ライダーの思った通りに操れる感覚が強まっています。落ち着きがあってバランスが良い。長距離も疲れにくい。そんなノーマルの良さがカスタムでさらに伸びているようなイメージです。ライダーとバイクの対話がさらに自然になります」と齋藤さん。
「ノーマルの完成度が高いので、他のバイクとの差別化や所有する悦びを満たすためにカスタムを楽しんでいただきたいですね。特に2026年モデルは、マフラーの開発中にも進化を実感。旧モデルの仕様のまま試験に通るかな?とも思いましたがダメでした。エンジンがより高い性能を発揮し、加速力が強まっていることが数値からわかりました」とケイファクトリー代表の桑原さん。
カワサキはZ900RS、Z900RSカフェ、Z900RS SEとそれぞれを明確に作り分けており、それもカワサキの強さに直結。Z900RSにチタンフルエキゾーストを装着すればオーセンティックなネイキッドカスタムを楽しめるし、Z900RS SEならスポーツの資質を飛躍的に伸ばせるに違いない。
Z900RSカフェは、齋藤さんの言うようにとても穏やかなカフェレーサーだ。小さなカウルに身体を畳んでスロットルを開けると、チタンフルエキゾーストならではの甲高いエキゾーストノートが響く。まるで、エンジンそのものに精気がみなぎるようだ。ライダーとバイクが一体となり、同じ時間を共有していることを強く認識させてくれる。
バイクを降りて眺めると、角度によってキラリとマフラーが輝く。思わず見惚れる。取り回してみてもノーマルより少しだけ軽い。所有欲も満たされる。走っている時だけでなく、マフラーをリプレイスした悦びは度々訪れる。
自分だけのオリジナルをカスタムで築き上げていく
走るほどに感じるのはZ900RSとカスタムの相性の高さだった。齋藤さんも感心しきりである。
「もう性能は十分ですね。昔は市販車もあと1馬力、もう1馬力と必死でしたが、今は違います。カスタムも昔はマフラーを変えたら何馬力上がる、などと言われましたが、今はスロットルを開けられる場所もないため、そんな風に言う人も減ってきました。それよりも扱いやすさや軽さ、見た目が大切です。小さなパーツで少しずつ自分のバイクに仕上げていく楽しみもいい。ホンダからはCB1000Fも出ましたし、ネイキッドカスタムが盛り上がると良いですね」と齋藤さん。
ネイキッドの楽しみ方もずいぶん変わってきた。もはやZ900RSシリーズはコアなカワサキファンだけが楽しむバイクではない。ニッポンオリジナルのネオクラシックスタイルとして自由な感性で楽しむ方が増えている。そこには確実に新しい世界が広がっている。その自由な感性にさらにオリジナリティをプラスできるのがカスタムだ。
また、近年、Z900RSは中古車も充実。車両価格を抑えてカスタムにコストをかける方も増えている。Z900RSシリーズのフルモデルチェンジで、その流れはより強くなるかもしれない。
規制対応に合わせてネイキッドにも電子制御が充実し、市販車の完成度が高まった今、カスタムに求められるものは少しずつ変わってきている。だからケイファクトリーも性能だけを追いかけない。そこには、流れるような曲線のエキゾーストパイプ、職人が丁寧に施した深みのある焼け色、アルミ削り出しパーツの質感、そしてライダーとの対話をより自然にする走りがある。
完成されたZ900RSを尊重し、その魅力をさらに磨き上げること。それこそがケイファクトリーのブランド哲学なのである。
<K-FACTORY>https://www.k-factory.com/index.php
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